社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成25年健保-第9問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成25年健保-第9問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)被保険者が、雇用又は使用される事業所の労働組合の専従役職員となりその職務に従事するときは、従前の事業主との関係では被保険者資格を喪失し、労働組合に雇用又は使用される者としてのみ被保険者となる。

(B)被保険者(任意継続被保険者又は特例退職被保険者を除く。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して5日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、1日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る。以下同じ。)を平均した額の30分の1に相当する額(その額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。)の5分の2に相当する金額(その金額に、50銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする。)が支給される。ただし、同日の属する月以前の直近の継続した期間において標準報酬月額が定められている月が12月に満たない場合にあっては、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額の5分の2に相当する金額(その金額に、50銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする。)が支給される。
(1)傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額(その額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。)
(2)傷病手当金の支給を始める日の属する年度の前年度の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額の30分の1に相当する額(その額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。)(一部改正)


(C)事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日より3年間、保存しなければならない。

(D)季節的業務に使用される者が、当初4か月未満使用される予定であったが、業務の都合により、継続して4か月以上使用されることになった場合には、そのときから被保険者となる。

(E)被保険者に支払う報酬から控除した保険料の額が被保険者の負担すべき額に満たない場合には、事業主は被保険者の負担すべき保険料の不足部分の納付義務はない。



■解説

(A)正解
法3条1項、昭和24年7月7日職発第921号
被保険者が労働組合の専従職員になれば、労働組合法第2条及び第7条の規定により、その者に対するすべての報酬の支給は明確に禁止されるので、健康保険等の保険料及び保険給付は労働組合より支給される報酬の額に基づいて算定されなければならなくなる。従って、健康保険法等の適用上は従前の事業主に雇用又は使用される者として取扱われず、従前の事業主との関係では資格を喪失し、労働組合に雇用又は使用される者としてのみ被保険者となることができる。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法99条1項
被保険者(任意継続被保険者又は特例退職被保険者を除く。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、1日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る。以下同じ。)を平均した額の30分の1に相当する額(その額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。)の3分の2に相当する金額(その金額に、50銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする。)が支給される。ただし、同日の属する月以前の直近の継続した期間において標準報酬月額が定められている月が12月に満たない場合にあっては、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額の3分の2に相当する金額(その金額に、50銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする。)が支給される。
(1)傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額(その額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。)
(2)傷病手当金の支給を始める日の属する年度の前年度の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額の30分の1に相当する額(その額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。)
よって、「5日を経過した日」とした点、「5分の2に相当する金額」とした点から問題文は誤りとなる。

(C)誤り
則34条
事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日より2年間、保存しなければならないことになっている。
よって、「完結の日より3年間」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法3条1項、昭和9年4月17日保発第191号
当初4か月未満の使用期間であったが、業務の都合により、継続して4か月以上使用されることになった場合においても被保険者としない。
よって、「継続して4か月以上使用されることになった場合には、そのときから被保険者となる。」とした問題文は誤りとなる。
なお、季節的業務の稼動日数の予定は、事業主の主観的申告により決定すべきものではなく、事業主の意見を参酌し、四囲の事情により保険者が認定すべきものである。(昭和12年5月4日保規第96号)

(E)誤り
法161条2項、昭和2年2月14日保理第218号
事業主は、被保険者に支払う報酬から控除した被保険者の負担する保険料の額のいかんにかかわらず保険料全額の納付義務を負うべきものとされている。
よって、「不足部分の納付義務はない。」とした問題文は誤りとなる。

(参考)
保険料の納付義務に関する解釈

(1)被保険者の資格取得届の遅延と保険料の徴収とは無関係であり、届が遅延している被保険者であっても資格を取得し、確認により効力を発生した日からの分を納付しなければならない。(昭和2年1月15日保理第217号)
(2)事業主は、被保険者に支払う報酬から控除した被保険者の負担する保険料の額のいかんにかかわらず保険料全額の納付義務を負うべきものである。(昭和2年2月14日保理第218号)
(3)被保険者の負担する保険料を被保険者に支払う報酬から控除し得ないことがあっても、納付義務は免れることはできない。(昭和2年保理第713号)
(4)被保険者に対し支払うべき報酬のないため保険料を控除し得ぬ場合又は支払っても控除し得ぬ場合であっても、被保険者の負担すべき保険料は、納付すべき義務を負う。(昭和2年2月14日保理第578号)(昭和4年1月18日事発第125号)
(5)被保険者の資格を喪失した者に関する保険料であって事業主において当該被保険者であった者に支払う報酬から控除し得ない場合であっても、事業主はこれを組合に納付すべき義務がある。(昭和2年2月18日保理第696号)

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(健康保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved