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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年健保-第8問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは、傷病手当金又は出産手当金の継続給付、資格喪失後の死亡に関する給付及び資格喪失後の出産育児一時金の給付は行われない。

(B)高額療養費支給申請書に記載する傷病名は、被保険者が正確な傷病名を知らないときは、症状程度であって、診療科の推定されるようなものであればよいこととされている。

(C)保険者は、被保険者が少年院その他これに準ずる施設に収容されたときには、疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る保険給付(傷病手当金及び出産手当金の支給にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る。)を行わないが、被扶養者に係る保険給付を行うことは妨げられない。

(D)保険者は、給付事由が被保険者に対する第三者の行為によって生じた場合に保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。この際、自動車損害賠償責任保険において、被保険者の重過失減額が行われた場合は、過失により減額された割合で減額した額を求償することができる。

(E)被保険者の被扶養者が死産をしたときは、被保険者に対して家族埋葬料として5万円が支給される。



■解説

(A)正解
法107条
傷病手当金又は出産手当金の継続給付、資格喪失後の死亡に関する給付、資格喪失後の出産に関する給付については、被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは、保険給付されないことになっている。
これは、船員保険の被保険者となった場合は、船員保険により同様の給付を受けることができるため健康保険における保険給付は停止されるためである。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号
高額療養費支給申請書に記載させる傷病名は、正確なものでなく症状程度(例えば、「腹痛、胸痛」等)であって、診療科の推定されるようなものであればよいとされている。
これは、本人が申請書に記載するにあたって、正確な傷病名を知らない場合もあり、また、病名(例えば、「がん」等)によっては本人、家族に知らせていない場合もあり得ると思われるからである。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
高額療養費に関する参考通達

1.高額療養費の時効起算日は?
時効起算日は、診療月の翌月の1日であり、傷病が月の途中で治ゆした場合においても同様である。ただし、診療費の自己負担分を、診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日が起算日となる。(昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号)

2.事後に照合したレセプトが減点されているとき
高額療養費を領収明細書に基づき支給した場合、事後に照合したレセプトが減点されているときは、その減点されたレセプトによりその額を決定することになるので、事後に減点分に対応する高額療養費額について返納措置を講ずるものとする。(昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号)

3.高額療養費支給後の過誤調整した場合
高額療養費の支給は「レセプトの決定点数を基準とする」とのことであるが、被保険者に対してその決定点数によって支払った後、保険者において更に減点をしなくてはならぬ要因を発見し、過誤調整をした場合、過誤調整後の点数を基準として、さきの支給額を更正し、返納を命ずる必要が生ずる。(昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号)

4.薬剤の支給を受けた場合
医療機関において薬剤の投与に代えて処方せんが交付された場合は、当該処方せんに基づく薬局での薬剤の支給は、処方せんを交付した医療機関における療養の一環とみなして取扱うよう配慮されたいこと。この場合、その薬剤の支給を行なった薬局において領収書が発行されているときは、それに基づき支給してさしつかえないこと。(昭和48年10月17日保険発第95号・庁保険発第18号)

(C)正解
法118条
被保険者又は被保険者であった者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る保険給付(傷病手当金及び出産手当金の支給にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る。)は、行わないことになっている。

1.少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき。
2.刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき。

しかしながら、保険者は、被保険者又は被保険者であった者が前項各号のいずれかに該当する場合であっても、被扶養者に係る保険給付を行うことを妨げないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法57条1項、昭和49年1月28日保険発第10号・庁保険発第1号
保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
この場合において、自動車損害賠償保障法による自動車損害賠償責任保険または自動車損害賠償責任共済において被保険者の重過失が認められ、保険金額または共済金額の減額が行われた場合には、裁判所の判決の場合に準じて過失により減額された割合で減額した額でもって求償して差し支えないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
昭和23年保文発第898号
死産児は被扶養者に該当にないので家族埋葬料は支給しないこととされている。
よって、「被保険者に対して家族埋葬料として5万円が支給」とした問題文は誤りとなる。
なお、分娩後2、3時間経過した生産児死亡の場合は支給される。このような場合、戸籍上は氏名を記載しないときが多いが、事実を立証できるときに戸籍上の氏名の有無を問わず右のように取り扱うこととされている。(昭和22年7月3日保発第797号)

  

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