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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成26年健保-第9問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年健保-第9問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法に基づく解雇予告手当又は退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるもの若しくは事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものは報酬又は賞与には含まれない。

(B)5月23日に被保険者資格を取得した者の健康保険料の源泉控除について、その者の給与支払方法が月給制であり、毎月20日締め、当月末日払いの場合、事業主は、最初の給与(5月23日から6月20日までの期間に係るもの)で5月分の健康保険料を控除することができるが、毎月末日締め、当月25日払いの場合、最初の給与(5月23日から5月末日までの期間に係るもの)では健康保険料を控除することができない。

(C)勤務していた適用事業所を5月31日で退職し、被保険者資格を喪失した者の健康保険料の源泉控除について、その者の給与支払方法が月給制であり、毎月末日締め、当月25日払いの場合、事業主は、5月25日支払いの給与(5月1日から5月31日までの期間に係るもの)で4月分及び5月分の健康保険料を控除することができる。

(D)月給制の被保険者について3月に行うべき昇給が、事業主の都合により5月に行われ、3月に遡った昇給差額が5月に支払われた場合、随時改定の対象になるのは5月、6月及び7月の3か月間に受けた報酬の総額(昇給差額を除く。)を3で除して得た額であり、それが随時改定の要件に該当したときは8月から標準報酬月額が改定される。

(E)5月25日が出産予定日(多胎妊娠ではない。)である被保険者が、同年3月20日に勤務していた適用事業所を退職し、被保険者の資格を喪失した場合、資格喪失日の前日において引き続き1年以上の被保険者期間(任意継続被保険者期間、特例退職被保険者期間又は共済組合の組合員である期間を除く。)があれば、資格喪失後に出産手当金の継続給付を受けることができる。



■解説

(A)正解
法3条5項・6項、昭和24年6月24日保発第1175号、平成15年10月1日保保発第1001002号・庁保険発第1001001号
解雇予告手当又は退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるもの又は事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものについては、従来どおり、法第3条第5項又は第6項に規定される報酬又は賞与には該当しないものと取り扱うこととされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、被保険者の在職時に、退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対償としての性格が明確であり、被保険者の通常の生計にあてられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として、法第3条第5項又は第6項に規定する報酬又は賞与に該当するものであることとされている。支給時期が不定期である場合についても賞与として取り扱い、これが年間4回以上支払われているものであれば、報酬として通常の報酬月額に加算して取り扱うこととされている。

(B)正解
法167条1項、昭和2年2月5日保発第112号
事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができることになっている。
よって、事業主が報酬より控除することを得べき被保険者の負担する保険料は前月分の保険料に限られており、当月分の給与から保険料を控除することができないため、問題文は正解となる。

(C)正解
法167条1項
事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法43条、法43条1項、法44条1項、昭和36年1月26日保発第4号
3月に遡って昇給が行われ、その昇給による差額給与が5月に支払われた場合の固定的賃金の変動月は5月となる。このため随時改定の算定の対象となるのは、5月、6月、7月の報酬月額であり、その3月間の平均報酬月額(この場合は保険者算定の対象となり、5月分の報酬に含まれている3月分、4月分の昇給差額分は控除して平均報酬月額を計算する)に該当する標準報酬月額が従前の標準報酬と比べ2等級以上変動しているときは8月より標準報酬月額が改定されることになる。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法104条
被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができることになっている。
問題文の場合、5月25日が出産予定日であり、産前期間は4月14日(出産予定日以前42日)からとなるため、退職日が4月14日以降であれば出産手当金の継続給付を受けることができるが、3月20日に退職しており資格を喪失した際に出産手当金を受給していないため継続給付を受けることができない。
よって、「資格喪失後に出産手当金の継続給付を受けることができる。」とした問題文は誤りとなる。
なお、退職日まで報酬が支払われていたとしても、退職して報酬が支払われなくなれば資格喪失後の出産手当金は支給される。これは出産手当金の報酬との調整規定は、被保険者の給付受給権の消滅を意味するのではなく、その停止を意味するにすぎないから、その者が資格を喪失し、事業主より報酬を受けられなくなれば、法第104条により当然にその日より傷病手当金又は出産手当金は支給すべきものと思料されるためである。(昭和27年6月12日保文発第3367号)

  

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