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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成28年健保-第3問(保険給付)
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■平成28年健保-第3問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)70歳未満の被保険者又は被扶養者の受けた療養について、高額療養費を算定する場合には、同一医療機関で同一月内の一部負担金等の額が21,000円未満のものは算定対象から除かれるが、高額介護合算療養費を算定する場合には、それらの費用も算定の対象となる。

(B)定期的健康診査の結果、疾病の疑いがあると診断された被保険者が精密検査を行った場合、その精密検査が定期的健康診査の一環として予め計画されたものでなくとも、当該精密検査は療養の給付の対象とはならない。

(C)被保険者が就業中の午後4時頃になって虫垂炎を発症し、そのまま入院した場合、その翌日が傷病手当金の待期期間の起算日となり、当該起算日以後の3日間連続して労務不能であれば待期期間を満たすことになる。

(D)患者申出療養とは、高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものをいい、被保険者が厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関のうち、自己の選定するものから患者申出療養を受けたときは、療養の給付の対象とはならず、その療養に要した費用について保険外併用療養費が支給される。

(E)70歳以上の被保険者が人工腎臓を実施する慢性腎不全に係る療養を受けている場合、高額療養費算定基準額は、当該被保険者の所得にかかわらず、20,000円である。



■解説

(A)誤り
法115条、法115条の2、令41条、令43条の2、平成21年4月30日保保発第430001号
70歳未満の被保険者又は被扶養者の受けた療養(70歳に達する日の属する月までに受けた療養)について、高額療養費を算定する場合には、同一医療機関で同一月内の一部負担金等の額(現物給付の高額療養費等の支給がある場合にあっては、それらの給付を受ける前の額)が21,000円未満のものは算定対象から除かれることになっている。
また、高額介護合算療養費の算定についても70歳未満の被保険者又は被扶養者が受けた療養(70歳に達する日の属する月までに受けた療養)にあっては、レセプト単位での一部負担金等の額が21,000円未満のものは除かれることとされている。
よって、「それらの費用も算定の対象となる。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
昭和39年3月18日保文発176号
集団検診を行った結果、病状の疑いありとするものが、同日又は他日、自己の選定する医療機関(検診を行った医療機関を含む。)で精密検査を受けた場合は、当該精密検査が集団検診の一環として予め計画され又は予定されていたものでないことが客観的に明らかである場合に、集団検診の結果、疾病又はその疑いがあると診断された患者について、治療方針を確立するなどのために精密検査を行う必要がある場合には、当該精密検査を保険給付として取り扱って差し支えないこととされている。
よって、「当該精密検査は療養の給付の対象とはならない。」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
昭和5年10月13日保発第52号
労務に服することができない期間は、労務に服することができない状態になった日から起算する。ただしその状態になった時が業務終了後である場合は翌日とすることになっている。
問題文の場合は、「就業中の午後4時頃になって虫垂炎を発症」しているため、待期期間はその日から起算することになる。
よって、「その翌日が傷病手当金の待期期間の起算日」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法63条2項、法86条1項
患者申出療養とは、高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものをいう。
そして、被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費が支給される。
よって、問題文は正解となる。
なお、評価療養とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養(患者申出療養を除く。)として厚生労働大臣が定めるものをいい、選定療養とは、被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養をいう。

(E)誤り
令41条9項、令42条9項、昭和59年9月28日厚生省告示第156号(最終改正 平成21年4月30日厚生労働省告示第291号)
長期にわたって高額な医療費が必要となる次の特定疾病については、負担の軽減を図るため、特例により自己負担限度額が10,000円(下記(1)のうち70歳未満で標準報酬月額530千円以上の被保険者とその被扶養者は20,000円)となっており、自己負担限度額を超える分が高額療養費として支給されることになっている。
(1)人工腎臓を実施している慢性腎不全
(2)血漿分画製剤を投与している先天性血液凝固第[因子障害又は第\因子障害
(3)抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染を含み、血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症に関する医療を受けているものに限る。)
よって、「20,000円」とした問題文は誤りとなる。

  

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