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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成28年健保-第8問(保険給付)
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■平成28年健保-第8問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)傷病手当金は、その支給期間に一部でも報酬が支払われていれば支給額が調整されるが、当該支給期間以前に支給された通勤定期券の購入費であっても、傷病手当金の支給期間に係るものは調整の対象になる。

(B)被保険者が妊娠4か月以上で出産をし、それが死産であった場合、家族埋葬料は支給されないが、出産育児一時金は支給の対象となる。

(C)傷病手当金の支給要件として継続した3日間の待期期間を要するが、土曜日及び日曜日を所定の休日とする会社に勤務する従業員が、金曜日から労務不能となり、初めて傷病手当金を請求する場合、その金曜日と翌週の月曜日及び火曜日の3日間で待期期間が完成するのではなく、金曜日とその翌日の土曜日、翌々日の日曜日の連続した3日間で待期期間が完成する。

(D)健康保険法第104条の規定による資格喪失後の傷病手当金の支給を受けるには、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)である必要があり、この被保険者期間は、同一の保険者でなければならない。

(E)被保険者が死亡し、その被保険者には埋葬料の支給を受けるべき者がいないが、別に生計をたてている別居の実の弟が埋葬を行った場合、その弟には、埋葬料の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額が支給される。



■解説

(A)正解
法108条1項、昭和27年12月4日保文発7241号、昭和37年6月28日保険発71号
通勤費についてその数か月分を一括して現金又は定期券等により支給するのは、単に支払上の便宜によるものとみられるから、年4回以上支給されない通勤費(6か月ごとに支給される定期券等)は、報酬の範囲に含まれるものと解される。
よって、傷病手当金の支給期間以前に支給された通勤定期券の購入費であっても、傷病手当金の支給期間に係るものは調整の対象になるため、問題文は正解となる。

(B)正解
法101条、法113条、昭和23年12月2日保文発898号、昭和27年6月16日保文発第2427号
健康保険による出産育児一時金は、母体を保護する目的のために、分娩の事実にもとづいて支給されるので、妊娠4ヵ月以上(85日以後)の分娩については、生産、死産、流産(人工流産を含む。)又は早産を問わずすべて出産育児一時金が支給される。
しかしながら、健康保険法において家族埋葬料を支給するのは、扶養者の死亡に限るのであって、仮令死産児につき法律上埋葬手続を必要としても、死産は所謂被扶養者ではないから家族埋葬料は支給されないこととされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、妊娠4ヵ月未満のものにあっては療養の給付のみの対象とすることとされている。(昭和27年9月29日保発第56号)

(C)正解
法99条、昭和2年2月5日保理659号、昭和3年1月31日保発第2号の2
待期は、労務不能状態が3日間連続することが必要であり、かつ、これをもって足り「休休休休」の場合は待期完成であるが、「休出休休」は待期は完成していない。また、この3日間に公休日等が含まれていても療養のため労務に服することができない状態にあれば待期は完成する。
よって、問題文は正解となる。
なお、療養のため欠勤したが、この欠勤開始の日から3日間を年次有給休暇として処理された場合にも、待期は完成し傷病手当金は給与計算上の欠勤開始日から支給される。(昭和26年2月20日保文発419号)

(D)誤り
法104条
資格喪失後の傷病手当金の支給を受けるためには、被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったことが必要であるが、この被保険者期間は、必ずしも同一保険者でなくてもよく、また資格の得喪があっても法律上の被保険者としての資格が連続していればよいこととされている。
よって、「同一の保険者でなければならない。」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法100条2項、昭和26年6月28日保文発2162号
埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、埋葬料の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給することとされている。
その被保険者が全然生計を維持していなかった父母又は兄弟姉妹或は子等が現に埋葬を行なった場合には、埋葬料でなく、埋葬に要した費用に相当する金額が支給されることになる。
よって、問題文は正解となる。

  

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