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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成29年健保-第9問(特定適用事業所)
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■平成29年健保-第9問(特定適用事業所)

健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。なお、本問における短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である者又は1か月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1か月間の所定労働日数の4分の3未満である者のことをいう。

(ア)特定適用事業所とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所のことをいう。

(イ)特定適用事業所に使用される短時間労働者の年収が130万円未満の場合、被保険者になるか、被保険者になることなく被保険者である配偶者の被扶養者になるかを選択することができる。

(ウ)特定適用事業所に使用される短時間労働者について、健康保険法第3条第1項第9号の規定によりその報酬が月額88,000円未満である場合には、被保険者になることができないが、この報酬とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのものをいう。

(エ)特定適用事業所において被保険者である短時間労働者の標準報酬月額の定時決定は、報酬支払いの基礎となった日数が11日未満である月があるときは、その月を除いて行う。また、標準報酬月額の随時改定は、継続した3か月間において、各月とも報酬支払いの基礎となった日数が11日以上でなければ、その対象とはならない。

(オ)特定適用事業所に使用される短時間労働者について、1週間の所定労働時間が20時間未満であるものの、事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った結果、残業等を除いた基本となる実際の労働時間が直近2か月において週20時間以上である場合で、今後も同様の状態が続くと見込まれるときは、当該所定労働時間は週20時間以上であることとして取り扱われる。

(A)(アとエ)
(B)(アとオ)
(C)(イとウ)
(D)(イとエ)
(E)(ウとオ)

■解説

(ア)正解
法附則46条1項(平成24年8月22日法律第62号)
特定適用事業所とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される通常の労働者及びこれに準ずる者(1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であり、かつ、その1か月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3以上である短時間労働者をいう。)の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所とされている。
よって、問題文は正解となる。

(イ)誤り
法3条1項、法附則46条1項(平成24年8月22日法律第62号)
特定適用事業所に使用される短時間労働者が次の要件をすべて満たす場合は被保険者となる。
(1)1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
(2)当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれること。
(3)賃金の月額が88,000円以上であること。
(4)学生でないこと。
よって、被保険者の要件に該当した場合は、当然に被保険者となり、被保険者になるか被扶養者になるか選択することはできない。

(ウ)誤り
法3条1項、則23条の4
特定適用事業所に使用される短時間労働者が被保険者になる要件の1つである、「賃金の月額が88,000円以上」であるかどうかを判断する場合の報酬には、「臨時に支払われる賃金」、「1月を超える期間ごとに支払われる賃金」、「時間外労働・休日労働・深夜業に対して支払われる賃金」、「最低賃金において算入しないことを定める賃金」は含めないこととされている。
よって、問題文は誤りとなる。

(エ)正解
法41条、法43条
特定適用事業所において被保険者である短時間労働者の標準報酬月額の定時決定、育児休業等終了時改定、産前産後休業終了時改定は、算定基礎日数が11日未満である月を除いて報酬月額を算定する。随時改定については、継続した3か月間において、各月とも算定基礎日数が11日以上なければ対象とはならない。
よって、問題文は正解となる。

(オ)正解
平成28年5月13日 年管管発0513第1号・ 保保発0513第1号
所定労働時間又は所定労働日数と実際の労働時間又は労働日数が乖離していることが常態化している場合、所定労働時間又は所定労働日数は4分の3基準を満たさないものの、事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った結果、実際の労働時間又は労働日数が直近2月において4分の3基準を満たしている場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間又は当該所定労働日数は4分の3基準を満たしているものとして取り扱うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

※誤っているものの組合せは、(イ)と(ウ)であるため、(C)が正解となる。

  

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