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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成30年健保-第6問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)臓器移植を必要とする被保険者がレシピエント適応基準に該当し、海外渡航時に日本臓器移植ネットワークに登録している状態であり、かつ、当該被保険者が移植を必要とする臓器に係る、国内における待機状況を考慮すると、海外で移植を受けない限りは生命の維持が不可能となる恐れが高い場合には、海外において療養等を受けた場合に支給される療養費の支給要件である健康保険法第87条第1項に規定する「保険者がやむを得ないものと認めるとき」に該当する場合と判断できる。

(B)工場の事業譲渡によって、被保険者を使用している事業主が変更した場合、保険料の繰上徴収が認められる事由に該当することはない。

(C)任意継続被保険者が保険料を前納する場合、4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの6か月間のみを単位として行わなければならない。

(D)保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき療養費の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができるが、偽りその他不正の行為があった日から3年を経過したときは、この限りでない。

(E)日雇特例被保険者が出産した場合において、その出産の日の属する月の前4か月間に通算して30日分以上の保険料がその者について納付されていなければ、出産育児一時金が支給されない。



■解説

(A)正解
平成29年12月22日保保発1222第2号
被保険者等が下記の状態のいずれも満たす場合には、海外療養費の支給が認められる「やむを得ない」に該当する場合と判断できることとされている。
(1)臓器移植を必要とする被保険者等がレシピエント適応基準に該当し、海外渡航時に日本臓器移植ネットワークに登録している状態であること
(2)当該被保険者等が移植を必要とする臓器に係る、国内における待機状況を考慮すると、海外で移植を受けない限りは生命の維持が不可能となる恐れが高いこと
よって、問題文は正解となる。
なお、上記の状態にあるかについて判断を行うために、被保険者等に対する療養費の申請に際し、以下の書類の提出を求めることになっている。
(1)日本臓器移植ネットワークの登録証明書の写し
(2)臓器移植を必要とする被保険者等が、「レシピエント適応基準に該当し、日本臓器移植ネットワークに登録している状態であること」、「国内での待機状況を踏まえると、当該患者が、海外で移植を受けない限りは生命の維持が不可能となる恐れが高いこと」について、臓器移植を受ける被保険者等の主治医(学会認定の移植認定医)が作成した海外の施設への紹介状の写しに、部門長又は施設長がサインしたもの
(3)海外の施設に入院していた間の経過記録の写し

(B)誤り
法172条、昭和5年11月5日保理第513号
現に被保険者を使用しつつある工場又は事業場において譲渡により事業主に変更があったとき、前事業主は、工場又は事業場における財産をも有しない場合が多く、従って事業主変更前の保険料を法定納期限翌月末日までまって徴収しようとしても本人は無財産のために徴収不能の結果を生ずることは明白であり、このような場合には、前事業主経営の工場又は事業場はこれを廃止したのと同一の結果を生ずるので、被保険者の使用される事業所が廃止されたときに該当するものとして繰上徴収して差し支えないとされている。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法165条1項、令48条
保険料の前納は、4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの6月間又は4月から翌年3月までの12月間を単位として行うものとされているが、当該6月又は12月の間において、任意継続被保険者の資格を取得した者又はその資格を喪失することが明らかである者については、当該6月間又は12月間のうち、その資格を取得した日の属する月の翌月以降の期間又はその資格を喪失する日の属する月の前月までの期間の保険料について前納を行うことができることになっている。
よって、「4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの6か月間のみを単位として」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法120条
保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りでない。
よって、「3年を経過したとき」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法137条
日雇特例被保険者が出産した場合において、その出産の日の属する月の前4月間に通算して26日分以上の保険料が納付されている場合は、出産育児一時金が支給される。
よって、「30日分以上」とした問題文は誤りとなる。

  

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