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■平成30年健保-第8問(法令全般関係)

健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。なお、本問における短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である者又は1か月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1か月間の所定労働日数の4分の3未満である者のことをいう。

(ア)特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者資格の取得の要件の1つである、1週間の所定労働時間が20時間以上であることの算定において、1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動し、通常の週の所定労働時間が一通りでない場合は、当該周期における1週間の所定労働時間の平均により算定された時間を1週間の所定労働時間として算定することとされている。

(イ)短時間労働者を使用する特定適用事業所の被保険者の総数(短時間労働者を除く。)が常時500人以下になり、特定適用事業所の要件に該当しなくなった場合であっても、事業主が所定の労働組合等の同意を得て、当該短時間労働者について適用除外の規定の適用を受ける旨の申出をしないときは、当該短時間労働者の被保険者資格は喪失しない。

(ウ)全国健康保険協会管掌健康保険の特定適用事業所に使用される短時間労働者が被保険者としての要件を満たし、かつ、同時に健康保険組合管掌健康保険の特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者としての要件を満たした場合は、全国健康保険協会が優先して、当該被保険者の健康保険を管掌する保険者となる。

(エ)特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者資格の取得の要件の1つである、報酬の月額が88,000円以上であることの算定において、家族手当は報酬に含めず、通勤手当は報酬に含めて算定する。

(オ)全国健康保険協会管掌健康保険において、短時間労働者ではない被保険者は、給与締め日の変更によって給与支給日数が減少した場合であっても、支払基礎日数が17日以上であれば、通常の定時決定の方法によって標準報酬月額を算定するものとして取り扱われる。

(A)(アとエ)
(B)(アとオ)
(C)(イとウ)
(D)(イとオ)
(E)(ウとエ)



■解説

(ア)正解
平成28年5月13日保保発0513第1号
特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者資格の取得の要件の1つである、1週間の所定労働時間が20時間以上であるかどうかは次のとおり算定することとされている。
(1)1週間の所定労働時間とは、就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の週に勤務すべきこととされている時間をいう。この場合の「通常の週」とは、祝祭日及びその振替休日、年末年始の休日、夏季休暇等の特別休日(週休日その他概ね1か月以内の期間を周期として規則的に与えられる休日以外の休日)を含まない週をいう。
(2)1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動し、通常の週の所定労働時間が一通りでない場合は、当該周期における1週間の所定労働時間の平均により算定された時間を1週間の所定労働時間とする。
(3)所定労働時間が1か月の単位で定められている場合は、当該所定労働時間を12分の52で除して得た時間を1週間の所定労働時間とする。
(4)所定労働時間が1か月の単位で定められている場合で、特定の月の所定労働時間が例外的に長く又は短く定められているときは、当該特定の月以外の通常の月の所定労働時間を12分の52で除して得た時間を1週間の所定労働時間とする。
(5)所定労働時間が1年の単位で定められている場合は、当該所定労働時間を52で除して得た時間を1週間の所定労働時間とする。
(6)所定労働時間は週20時間未満であるものの、事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った結果、実際の労働時間が直近2月において週20時間以上である場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間は週20時間以上であることとして取り扱うこととする。
(7)所定労働時間が、就業規則、雇用契約書等から明示的に確認できない場合は、実際の労働時間を事業主等から事情を聴取した上で、個別に判断することとする。
よって、問題文は正解となる。

(イ)正解
法附則46条2項(平成24年8月22日法律第62号)
短時間労働者を使用する特定適用事業所の被保険者の総数(短時間労働者を除く。)が常時500人以下になり、特定適用事業所の要件に該当しなくなった場合であっても、当該適用事業所の事業主が、事業主が所定の労働組合等の同意を得て、当該短時間労働者について適用除外の規定の適用を受ける旨の申出をしないときは、当該短時間労働者の被保険者資格は喪失しないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(ウ)誤り
則1条1項
被保険者は、同時に2以上の事業所又は事務所に使用される場合において、保険者が2以上あるときは、その被保険者の保険を管掌する保険者を選択しなければならないことになっている。
よって、「全国健康保険協会が優先」とした問題文は誤りとなる。

(エ)誤り
平成28年5月13日保保発0513第1号
特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者資格の取得の要件の1つである、報酬の月額が88,000円以上であるかどうかの算定においては、最低賃金法で賃金に算入しないものに相当する次のものを除くこととされている。
(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
(2)1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)
(4)所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
(5)深夜労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
(6)最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)
よって、「家族手当は報酬に含めず、通勤手当は報酬に含めて算定」とした問題文は誤りとなる。

(オ)正解
標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集(平成29年6月2日事務連絡)
給与の締め日が変更になった場合、変更月では支払基礎日数が通常の月よりも増減することになるが、定時決定の際には、以下のように取扱うこととされている。
(1)支払基礎日数が増加する場合
支払基礎日数が暦日を超えて増加した場合、通常受ける報酬以外の報酬を受けることとなるため、超過分の報酬を除外した上で、その他の月の報酬との平均を算出し、標準報酬月額を保険者算定する。
(例)給与締め日が20日から25日に変更された場合
締め日を変更した月のみ給与計算期間が前月21日〜当月25日となるため、前月21日〜前月25日の給与を除外し、締め日変更後の給与制度で計算すべき期間(前月26日〜当月25日)で算出された報酬をその月の報酬とする。
(2)支払基礎日数が減少した場合
給与締め日の変更によって給与支給日数が減少した場合であっても、支払基礎日数が17日以上であれば、通常の定時決定の方法によって標準報酬月額を算定する。給与締め日の変更によって給与支給日数が減少し、支払基礎日数が17日未満となった場合には、その月を除外した上で報酬の平均を算出し、標準報酬月額を算定する。
よって、問題文は正解となる。

※誤っているものの組合せは、(ウ)と(エ)であるため、(E)が正解となる。

  

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