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■平成30年健保-第9問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、その資格を喪失した際、その資格を喪失した日の前日以前から傷病手当金の支給を受けている者は、その資格を喪失した日から1年6か月間、継続して同一の保険者から当該傷病手当金を受給することができる。

(B)全国健康保険協会管掌健康保険において、給与計算期間の途中で昇給した場合、昇給した給与が実績として1か月分確保された月を固定的賃金の変動が報酬に反映された月として扱い、それ以後3か月間に受けた報酬を計算の基礎として随時改定に該当するか否かを判断するものとされている。

(C)被保険者の資格喪失後の出産により出産育児一時金の受給資格を満たした被保険者であった者が、当該資格喪失後に船員保険の被保険者になり、当該出産について船員保険法に基づく出産育児一時金の受給資格を満たした場合、いずれかを選択して受給することができる。

(D)傷病手当金は、療養のために労務に服することができなかった場合に支給するものであるが、その療養は、医師の診療を受けた場合に限られ、歯科医師による診療を受けた場合は支給対象とならない。

(E)出産手当金の支給要件を満たす者が、その支給を受ける期間において、同時に傷病手当金の支給要件を満たした場合、いずれかを選択して受給することができる。



■解説

(A)誤り
法104条
被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができることになっている。
よって、「その資格を喪失した日から1年6か月間」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集(平成29年6月2日事務連絡)
給与計算期間の途中で昇給・降級した場合、昇給・降給した給与が実績として1か月分確保された月を固定的賃金変動が報酬に反映された月として扱い、それ以後3か月間に受けた報酬を計算の基礎として随時改定の判断を行うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法106条、法107条
1年以上被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後6か月以内に出産したときは、被保険者として受けることができるはずであった出産育児一時金の支給を最後の保険者から受けることができるが、被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは、資格喪失後の保険給付は行われないことになっている。
よって、「いずれかを選択して受給」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法99条1項、昭和2年4月27日保発第345号
被保険者(任意継続被保険者を除く。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金が支給される。
なお、傷病手当金は、医師又は歯科医師について療養を受けない場合でも支給される場合がある。これには、病後静養した期間、疾病にかかり医師について診察を受くべく中途に費した期間等を含むが、この期間については、医師の意見書、事業主の証明書等を資料として正否を判定することとされている。
よって、「歯科医師による診療を受けた場合は支給対象とならない。」とした問題文は誤りとなる。
なお、療養は必ずしも保険医について診療を受けた場合にかぎられない。(昭和4年2月20日保理第489号)

(E)誤り
法103条1項
出産手当金と傷病手当金とは、その性格はともに生活保障であるから、両者が競合するときはいずれか一つを支給すれば、その目的が達せられるのであり、健康保険法では、出産手当金の支給事由が発生していれば傷病手当金の支給を停止されることになっている。(競合した場合は出産手当金が優先)
ただし、その受けることができる出産手当金の額が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給することとされている。
よって、「いずれかを選択して受給」とした問題文は誤りとなる。

  

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