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■社会保険労務士試験過去問研究室




■令和1年国年-第9問(国民年金の保険給付)

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)厚生年金保険法に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して当該障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年が経過したことにより、平成6年10月に障害基礎年金を失権した者が、平成31年4月において、同一傷病によって再び国民年金法に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当した場合は、いつでも障害基礎年金の支給を請求することができ、請求があった月の翌月から当該障害基礎年金が支給される。

(B)合算対象期間を25年以上有し、このほかには被保険者期間を有しない61歳の者が死亡し、死亡時に国民年金には加入していなかった。当該死亡した者に生計を維持されていた遺族が14歳の子のみである場合、当該子は遺族基礎年金を受給することができる。

(C)昭和61年2月、25歳の時に旧国民年金法による障害年金(障害福祉年金を除く。以下同じ。)の受給権を取得した者が、平成31年2月、58歳の時に事故により別の傷病による障害基礎年金の受給権が発生した場合、前後の障害の併合は行われず、25歳の時に受給権を取得した旧国民年金法による障害年金(受給権発生時から引き続き1級又は2級に該当する障害の状態にあるものとする。)と58歳で受給権を取得した障害基礎年金のどちらかを選択することになる。

(D)平成31年4月に死亡した第1号被保険者の女性には、15年間婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある第1号被保険者の男性との間に14歳の子がいた。当該女性が死亡時に当該子及び当該男性を生計維持し、かつ、所定の要件が満たされている場合であっても、遺族基礎年金の受給権者は当該子のみであり、当該男性は、当該子と生計を同じくしていたとしても遺族基礎年金の受給権者になることはない。

(E)20歳前傷病による障害基礎年金を受給中である者が、労災保険法の規定による年金たる給付を受給できる(その全額につき支給を停止されていないものとする。)場合、その該当する期間、当該20歳前傷病による障害基礎年金は支給を停止する。



■解説

(A)誤り
法附則4条1項(平成6年11月9日法律第95号)
平成6年改正により、障害基礎年金等の受給権者が障害等級に該当しなくなった場合、その後3年間経過すると受給権が消滅するという取り扱いを改善して、65歳までの間は支給停止することとされたことにより、平成6年改正法の施行日(平成6年11月9日)前に既に障害等級不該当3年経過等を理由に障害基礎年金等の受給権が消滅した者のうち、同一の傷病によって現在の障害等級1級・2級に該当する状態にある者又は65歳に達する日の前日までの間に障害等級に該当する状態に至った者は、障害基礎年金の支給を請求することができることとされている。この場合の障害基礎年金の支給は請求があった月の翌月とされている。
よって、「いつでも障害基礎年金の支給を請求することができ」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法37条、法附則9条1項
保険料納付済期間及び保険料免除期間を合算して25年に満たない場合であっても、合算対象期間を合わせて25年ある場合は、遺族基礎年金の支給要件のうち、「老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が、死亡したとき」、「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき」の「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上」の加入期間要件を満たしたものとして取り扱われる。
問題文の事例の場合は、合算対象期間のみで25年であるため、遺族基礎年金は支給されない。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法附則26条(昭和60年5月1日法律第34号)
昭和61年4月1日前に受給権が発生していた旧国民年金法、旧厚生年金保険法又は旧共済年金各法による障害年金については、昭和61年4月1日以後に障害基礎年金を受ける権利が生じたときは、両年金間で併合認定を行うこととしている。
ただし、併合認定前の旧法による年金給付については、他の年金との併給調整関係等において従前どおりの取り扱いとされることが有利となる場合も生じ得ることから、その受給権は消滅しないものとし、新年金との併給調整の結果、有利な年金を本人が選択できることとされている。
よって、「前後の障害の併合は行われず」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法5条7項、法37条の2
遺族基礎年金の対象となる遺族の範囲は、いずれも被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していたものである。このうち配偶者については、被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持されていたその者の子と生計を同じくすることを要件としている。また、子については被保険者等の死亡の当時、18歳未満の誕生日の属する年度の年度末までの間にあるか、又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ結婚していないことを要件としている。
また、国民年金法において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとされている。
よって、問題文の事例にある事実上婚姻関係と同様の事情にある第1号被保険者の男性は遺族基礎年金の受給権者となることができる。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)正解
法36条の2
20歳前傷病による障害基礎年金は、恩給法に基づく年金たる給付・労働者災害補償保険法の規定による年金たる給付等(その全額につき支給を停止されている場合を除く。)を受給できる場合は、支給停止されることになっている。
よって、問題文は正解となる。


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