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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年国年-第1問(国民年金の給付等)

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)死亡一時金の額は、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における付加保険料に係る保険料納付済期間が3年以上である者の遺族に支給される場合、8,500円が加算されるが、脱退一時金の額は、付加保険料を3年以上納付している者に対して支給される場合であっても別途加算されることはない。

(B)障害基礎年金の受給権者(被保険者又は被保険者であった者であって老齢基礎年金の受給権を有しないものとする。)は、厚生労働大臣の承認を受け、保険料の免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前10年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部について、追納することができる。ただし、その一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料については、その残余の額につき、納付されたときに限られる。また、老齢基礎年金の受給権者は、追納することができない。(一部改正)

(C)いわゆる20歳前の障害に基づく障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が一定の額を超えるときは、原則として、その年の8月から翌年の7月まで、政令で定めるところにより、その全部又は2分の1(子の加算額が加算された障害基礎年金にあっては、その額から子の加算額を控除した額の2分の1)に相当する部分の支給が停止される。

(D)65歳に達している者の老齢基礎年金と遺族厚生年金、老齢基礎年金と障害厚生年金は、いずれも併給することができる。

(E)年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。



■解説

(A)正解
法52条の4第2項、法附則9条の3の2第3項
付加保険料を3年以上納付していた者の遺族に支給される死亡一時金の額には8,500円が加算されることになっているが、付加保険料を3年以上納付していた者が脱退一時金の支給を受ける場合には加算はない。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法89条、法94条1項
被保険者又は被保険者であった者(老齢基礎年金の受給権者を除く。)は、厚生労働大臣の承認を受け、保険料免除(学生等の納付特例)の規定により納付することを要しないものとされた保険料及び保険料4分の3免除、半額免除、4分の1免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前10年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部につき追納をすることができる。ただし、保険料4分の3免除、半額免除、4分の1免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料については、その残余の額につき納付されたときに限られている。
よって、老齢基礎年金の受給権者については追納が認められていないが、障害基礎年金の受給権者であっても要件を満たす限り追納することができるため問題文の記述は正しい。

(C)正解
法36条の3第1項
20歳前障害に係る障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する控除対象配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の8月から翌年の7月まで、政令で定めるところにより、その全部又は2分の1(子の加算額が加算された障害基礎年金にあっては、その額から子の加算額を控除した額の2分の1)に相当する部分の支給を停止することとされている。これは、20歳前障害に係る障害基礎年金については、受給権者が全く保険料を拠出していないか、ほとんど拠出していないにもかかわらず支給されるものであり、その支給に要する費用は広く国民が負担している租税ないし他の加入者の保険料により賄われているためである。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法20条1項、法附則9条の2の4
65歳に達している者の老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給することが可能であるが、老齢基礎年金と障害厚生年金は併給することができず、選択受給となる。
よって、「いずれも併給することができる。」とした問題文は誤りとなる。

(参考)
併給調整一覧表
老齢厚生年金 障害厚生年金 遺族厚生年金
老齢基礎年金 可能 選択 可能(65歳未満は選択)
障害基礎年金 可能(65歳未満は選択) 可能 可能(65歳未満は選択)
遺族基礎年金 選択 選択 可能
※障害基礎年金と老齢厚生年金の組合せを選択した場合に障害基礎年金について子の加算額が加算されていれば、老齢厚生年金の子の加給年金額は支給停止される。

※配偶者である65歳以上の遺族の場合は次の組合せを選択することも可能である。
老齢基礎年金+遺族厚生年金の3分の2+老齢厚生年金の2分の1
なお、平成19年4月1日より配偶者である65歳以上の遺族の場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金が全額支給され、その老齢厚生年金額が「遺族厚生年金」又は、「遺族厚生年金の3分の2+老齢厚生年金の2分の1」のうち、どちらか大きい方の額より少ない場合は、その差額を「遺族厚生年金」として支給するしくみに改正された。
しかしながら、受給権者が昭和17年4月1日以前生まれであり、平成19年3月31日以前に受給権が発生した遺族厚生年金については、改正前の選択方法で受給することになる。

(E)正解
法21条2項
年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。
よって、問題文は正解となる。
なお、障害基礎年金又は遺族基礎年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として減額しない額の障害基礎年金又は遺族基礎年金が支払われた場合における当該障害基礎年金又は遺族基礎年金の当該減額すべきであった部分についても、同様とされている。

  

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