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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年国年-第5問(法令全般関係)

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)遺族基礎年金の支給に当たり、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていた妻又は子であって、年額850万円以上の収入又は年額655万5千円以上の所得を将来にわたって得られないと認められる者は、当該被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していたと認められる。

(B)大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者であって、65歳に達した日において、合算対象期間といわゆる学生納付特例による被保険者期間を合計した期間が25年あり、かつそれ以外の被保険者期間はすべて保険料未納期間である者が、振替加算の要件に該当する場合は、振替加算相当額の老齢基礎年金が支給される。

(C)いわゆる基準障害の規定による障害基礎年金は、所定の要件に該当すれば受給権は発生するため、当該障害基礎年金の請求は65歳に達した日以後でも行うことができるが、支給は当該障害基礎年金の受給権が発生した月の翌月から開始される。

(D)国民年金法において、政府は、社会保障制度に関する国会の審議を踏まえ、社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合を図り、公的年金制度について必要な見直しを行うものとされている。

(E)昭和36年5月1日以後、20歳に達した日の翌日から65歳に達した日の前日までの間に日本の国籍を取得した者について、日本国内に住所を有していた20歳以上60歳未満の期間で日本国籍を取得していなかった等のために、国民年金の被保険者となれなかった期間のうち、昭和36年4月から昭和56年12月までの期間は合算対象期間に算入される。なお、この者は被用者年金制度に加入したことはないものとする。



■解説

(A)正解
法37条の2、令6条の4、平成6年11月9日庁保発第36号、平成6年11月9日庁文発第3235号
生計維持関係があると認められるのは、受給権者と生計を同じくしていた者であって厚生労働大臣の定める金額以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のものその他これに準ずる者として厚生労働大臣が定める者とされている。
そして、生計維持認定対象者に係る収入に関する認定にあたっては、次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外の者に該当するとされている。
1.前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること
2.前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること
3.一時的な所得があるときは、これを除いた後、上記1又は2に該当すること
4.上記1から3に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円となると認められること
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法附則15条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
振替加算の対象となる者と同年齢に属する者であるが、国外居住等の理由により、65歳に達するまでの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間を有することとならなかった者に対しては、振替加算と同額の老齢基礎年金が支給されることになっている。この老齢基礎年金を受給するためには合算対象期間を25年以上有する者であることが必要とされている。
学生等の納付特例制度による保険料免除期間については、追納がなされない限り年金額の計算の基礎としないこととされているため合算対象期間と同様の取扱いとなる。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法30条の3
基準障害による障害基礎年金は、単独の障害では障害等級に該当しない複数の障害を併合して初めて2級以上の障害に該当する場合に支給されることになっている。この場合、障害を併合して初めて2級以上の障害に該当するそのきっかけとなる傷病を基準傷病とし、この基準傷病に係る障害(基準障害)の障害認定日を持って基準障害による障害基礎年金の障害認定日とすることとなる。(したがって、保険料の納付要件等についてはこの基準障害についてその要件を判断することになる。)
しかしながら、基準障害による障害基礎年金は受給権が発生しても当然に支給が開始されるのではなく、請求のあった月の翌月から開始されることになっている。
よって、「障害基礎年金の受給権が発生した月の翌月から開始される」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法附則3条(平成16年6月11日法律第104号)
政府は、社会保障制度に関する国会の審議を踏まえ、社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合を図り、公的年金制度について必要な見直しを行うものとされている。
そして、公的年金制度についての見直しを行うに当たっては、公的年金制度の一元化を展望し、体系の在り方について検討を行うものされている。

(E)正解
法附則8条5項10号(昭和60年5月1日法律第34号)
昭和56年の難民条約への加入に伴う関係法律の改正に伴う国民年金法の改正(昭和57年1月1日施行)により、日本国籍を有していない者についても日本国内の居住する場合はすべて国民年金の適用対象とすることとされたが、昭和57年1月1日前の期間については、特別の措置は講じられていなかった。この点について、昭和60年改正では、日本に帰化した者その他政令で定める者(永住許可者等)に係る昭和57年1月1日前の期間であって日本国内に居住していた期間等については、合算対象期間とすることとした。なお、これらの期間についてもその者が20歳に達した日以後59歳までの間の期間であって昭和36年5月1日以後のものに限られている。
よって、問題文は正解となる。

  

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