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トップページ過去問研究室(国民年金法) 平成21年国年-第3問(振替加算)
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■平成21年国年-第3問(振替加算)

振替加算に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)遺族基礎年金の支給を受けている者に老齢基礎年金の受給権が発生したときは、いずれかを選択することになるが、遺族基礎年金を選択した場合であっても、振替加算の加算要件を満たす場合には、当該遺族基礎年金の額に振替加算相当額が加算される。

(B)振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が障害基礎年金の受給権を有するときに、当該障害基礎年金の全額につき支給が停止されている場合においても、振替加算に相当する部分の支給は停止される。

(C)振替加算の受給対象者であって、保険料納付済期間と保険料免除期間(いわゆる学生納付特例と若年者納付猶予の期間は除く。)を合算して1月以上1年未満の者が老齢基礎年金の受給権を取得したときは、65歳に達した月において振替加算相当額のみの老齢基礎年金が支給される。

(D)振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が、配偶者である老齢厚生年金の受給権者と離婚したことを事由として、振替加算は支給停止とはならない。

(E)振替加算の受給対象者が老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をしたときは、振替加算も繰下げ支給され、当該振替加算額に政令で定める増額率を乗じて得た額が加算される。



■解説

(A)誤り
法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号)、法附則16条(昭和60年5月1日法律第34号)
老齢基礎年金の受給権者が、大正15年4月2日以後昭和41年4月1日までの間に生まれた場合(昭和61年4月1日に55歳以上で旧厚生年金保険法の老齢年金又は共済組合の退職年金等を受ける者を除く)であって、その者が65歳に達した日において、その者の配偶者に支給する厚生年金保険の老齢厚生年金、共済組合の退職共済年金等の加算年金額の対象になっている場合にあっては、そのときからその者の老齢基礎年金に生年月日に応じた額を加算することとされている。
よって、振替加算は老齢基礎年金の額に加算されるものであり、「遺族基礎年金の額に振替加算相当額が加算される」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法附則16条(昭和60年5月1日法律第34号)
老齢基礎年金の振替加算については、その者が障害基礎年金等の給付を受けることができる場合には、当該加算に相当する額の支給を停止することとしている。これは、厚生年金保険の加給年金額についても、その対象となる配偶者が他の年金を受給できるときに調整を行っているのと同旨のものである。ただし、その者が老齢基礎年金のみを受給できるような場合には、その加入期間のいかんを問わず振替加算を合わせて支給することとされている。
よって、「振替加算に相当する部分の支給は停止される」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法附則15条1項・2項(昭和60年5月1日法律第34号)
振替加算の対象となる者と同年齢に属する者であるが、国外居住等の理由により、65歳に達するまでの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間(学生納付特例と若年者納付猶予の期間は除く。)を有することとならなかった者に対しては、振替加算と同額の老齢基礎年金を支給することとされており、この老齢基礎年金を受給するためには、合算対象期間を25年以上有する者であることが必要とされている。
よって、保険料納付済期間及び保険料免除期間(学生納付特例と若年者納付猶予の期間は除く。)を1月以上有している場合は、振替加算相当額の老齢基礎年金を受給することはできないため、「振替加算相当額のみの老齢基礎年金が支給される」とした問題文は誤りとなる。
なお、本条の趣旨は、合算対象期間を25年以上有するために支給要件を満たしているにもかかわらず、保険料納付済期間及び保険料免除期間を有しないために年金額がゼロとなってしまう者に対して、振替加算相当の老齢基礎年金を支給することである。
また、学生納付特例制度(若年者納付猶予も同様)による保険料免除期間については、追納がなされない限り年金額の計算の基礎としないこととしているため合算対象期間と同様の取扱いとされている。

(D)正解
法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号)
振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が、配偶者である老齢厚生年金の受給権者と離婚したとしても振替加算は支給停止されない。
よって、問題文は正解となる。
なお、離婚による年金分割を行った結果、離婚時みなし被保険者期間又は被扶養配偶者みなし被保険者期間を含めた被保険者期間の月数240月以上の老齢厚生年金を受給できる場合は、振替加算は行われない。

(E)誤り
法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号)
老齢基礎年金を繰上げ受給した場合であっても65歳から本条に規定する額の振替加算が行われ、繰下げ受給した場合は、振替加算はそのときから同様に本条に規定する額のものが加算されることになっている。
よって、「政令で定める増額率を乗じて得た額が加算される」は誤りとなる。

  

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