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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成25年国年-第8問(法令全般関係)

次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問においてすべての者は昭和29年4月2日生まれとし、「現在」は平成25年4月12日とする。

(A)20歳前から引き続き日本に住所を有する外国籍の者が、30歳で日本人と結婚しその後永住許可を受けた。20歳から永住許可を受けた日の前日までの期間は合算対象期間となる。

(B)大学を卒業後22歳から50歳まで厚生年金保険に加入していた者が、会社を退職後50歳から55歳まで海外へ移住しその後帰国した。帰国後は国民年金の加入手続きをし保険料を納付している。海外へ移住していた期間は任意加入被保険者であったが、その期間の一部について保険料を納め忘れていた場合、この者は現在厚生労働大臣の承認を受け、納め忘れていた保険料を納付することができる。

(C)大学を22歳で卒業後就職し厚生年金保険の被保険者であった女性が、26歳で退職と同時に厚生年金保険の被保険者である会社員と結婚し被扶養配偶者となった。その後国民年金には未加入、昭和61年4月から第3号被保険者となり現在に至る。この者は60歳から報酬比例部分相当の老齢厚生年金の支給が開始されるため、60歳以降国民年金の任意加入の申出をしても任意加入被保険者になることはできない。

(D)20歳から23歳まで会社に就職し厚生年金保険に加入していた女性が、23歳で会社を退職する際に当該期間に該当する脱退手当金を受給した。その後現在まで国民年金の保険料納付済期間及び保険料免除期間がない場合、現在において脱退手当金を受給した期間は合算対象期間となる。

(E)20歳から現在まで引き続き国民年金の被保険者として保険料を滞納することなく納付している者が、現在、第1号被保険者として地域型国民年金基金に加入している場合、希望すれば60歳以降も、最長で65歳まで、引き続き当該国民年金基金に加入することができる。なお、この者は、保険料免除の適用を受けたことがない。



■解説

(A)誤り
法附則8条5項(昭和60年5月1日法律第34号)、旧国民年金法7条
昭和36年5月1日以後に日本に帰化した者(20歳に達した日の翌日から65歳に達した日の前日までの間に日本国籍を取得した者に限る。)その他政令で定める者(永住許可者等)に係る昭和36年4月1日から昭和57年1月1日前の期間であって日本国内に居住していた期間等のうち20歳に達した日以後59歳までの期間について合算対象期間とされている。
昭和29年4月2日生まれの者が20歳に到達するのは昭和49年4月1日であり、結婚した30歳の時は、昭和59年であるため国籍要件撤廃後である。
よって、合算対象期間とされるのは、昭和49年4月1日から昭和56年12月31日までであり、「20歳から永住許可を受けた日の前日までの期間」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法附則2条(平成23年8月10日法律第93号)
国民年金の保険料の納付の特例として、平成24年10月1日から平成27年9月30日までの間において、国民年金の被保険者又は被保険者であった者(老齢基礎年金の受給権者を除く。)は厚生労働大臣の承認を受け、その者の国民年金の被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の期間(承認の日の属する月前10年以内の期間であって、当該期間に係る国民年金の保険料を徴収する権利が時効によって消滅しているものに限る。)の各月につき、当該各月の国民年金の保険料に相当する額に政令で定める額を加算した額の国民年金の保険料(後納保険料)を納付することができることになっている。
よって、昭和29年4月2日生まれの者は、平成25年4月12日において59歳であるため、老齢基礎年金の受給権者ではなく、平成25年に後納する場合は平成15年までさかのぼって保険料を納付することができる(納め忘れていた保険料は50歳から55歳までの期間であるため平成16年から平成21年までの期間)ので、問題文は正解となる。
なお、平成27年10月1日から平成30年9月30日までの間、国民年金の被保険者又は被保険者であった者(老齢基礎年金の受給権者を除く。)は、厚生労働大臣の承認を受け、その者の国民年金の被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の期間(承認の日の属する月前5年以内の期間であって、当該期間に係る国民年金の保険料を徴収する権利が時効によって消滅しているものに限る。)の各月につき、当該各月の国民年金の保険料に相当する額に政令で定める額を加算した額の国民年金の保険料(後納保険料)を納付することができることになっている。(法附則10条(平成26年5月30日法律第42号))

(C)誤り
法附則5条1項
昭和29年4月2日生まれの女子の報酬比例部分相当の老齢厚生年金の支給開始年齢は60歳である。本問の場合は、厚生年金保険の被保険者期間が4年で、国民年金の第3号被保険者期間が27年であるため60歳代前半の老齢厚生年金の受給権を取得することになり、60歳から報酬比例部分相当の老齢厚生年金が支給される。
しかしながら、被用者年金の老齢年金受給権者であっても国民年金の任意加入することができるため、「60歳以降国民年金の任意加入の申出をしても任意加入被保険者になることはできない。」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法附則8条5項(昭和60年5月1日法律第34号)
厚生年金保険又は船員保険の脱退手当金の計算の基礎となった期間は合算対象期間とすることとされているが、この期間についてはそれらの期間が昭和36年4月1日以後のものであり、かつ、この規定の適用を受ける者が、昭和61年4月1日から65歳に達する日の前日までの間に保険料納付済期間又は保険料免除期間を有することとなったときに限り、この規定が適用されることとされている。
よって、本問の場合は昭和61年4月1日以降に保険料納付済期間又は保険料免除期間がないため、脱退手当金を受給した期間は合算対象期間とならず、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法116条1項、法附則5条12項
国民年金基金制度は、自営業者にはこれまで存しなかった基礎年金の上乗せ年金を整備するものであるから、国民年金基金に加入できるのは第1号被保険者及び60歳以上65歳未満の任意加入者に限られており、国民年金の保険料を納付することとされていない第2号被保険者、第3号被保険者並びに第1号被保険者のうち保険料を免除されている者、及びすでに上乗せ年金のある農業者年金の被保険者は国民年金基金に加入することができない。
一方、国民年金の任意加入者は保険料掛け捨て防止の観点から、満額の老齢基礎年金を受けることができる加入期間を満たした場合には資格喪失することとされている。
本問の昭和29年4月2日生まれの者は、平成25年4月12日において59歳であり、20歳から保険料を滞納することなく納付しているため、保険料納付済期間は39年となる。このまま60歳まで保険料を納付すると保険料納付済期間が40年間となり、60歳以降は国民年金に任意加入できないことになる。
よって、60歳以降は国民年金基金に加入することはできないため、「引き続き当該国民年金基金に加入することができる。」とした問題文は誤りとなる。

  

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