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トップページ過去問研究室(国民年金法) 平成27年国年-第9問(振替加算)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成27年国年-第9問(振替加算)

振替加算に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)在職老齢年金を受給していた67歳の夫(昭和23年4月2日生まれ)が、厚生年金保険法第43条第3項に規定する退職時の年金額の改定により初めて老齢厚生年金の加給年金額が加算される被保険者期間の要件を満たした場合、夫により生計を維持されている老齢基礎年金のみを受給している66歳の妻(昭和24年4月2日生まれ)は、「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を提出することにより、妻の老齢基礎年金に振替加算が加算される。

(B)67歳の夫(昭和23年4月2日生まれ)と66歳の妻(昭和24年4月2日生まれ)が離婚をし、妻が、厚生年金保険法第78条の2の規定によるいわゆる合意分割の請求を行ったことにより、離婚時みなし被保険者期間を含む厚生年金保険の被保険者期間の月数が240か月以上となった場合、妻の老齢基礎年金に加算されていた振替加算は行われなくなる。

(C)20歳から60歳まで国民年金のみに加入していた妻(昭和25年4月2日生まれ)は、60歳で老齢基礎年金の支給繰上げの請求をした。当該夫婦は妻が30歳のときに婚姻し、婚姻以後は継続して、厚生年金保険の被保険者である夫(昭和22年4月2日生まれ)に生計を維持されている。妻が65歳に達した時点で、夫は厚生年金保険の被保険者期間の月数を240か月以上有するものの、在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金が配偶者加給年金額を含め全額支給停止されていた場合であっても、妻が65歳に達した日の属する月の翌月分から老齢基礎年金に振替加算が加算される。

(D)特例による任意加入被保険者である妻(昭和23年4月2日生まれ)は、厚生年金保険の被保険者期間の月数が240か月以上ある老齢厚生年金の受給権者である夫(昭和22年4月2日生まれ)に継続して生計を維持されている。夫の老齢厚生年金には、妻が65歳に達するまで加給年金額が加算されていた。妻は、67歳の時に受給資格期間を満たし、老齢基礎年金の受給権を取得した場合、妻の老齢基礎年金に振替加算は加算されない。

(E)日本国籍を有する甲(昭和27年4月2日生まれの女性)は、20歳から60歳まで海外に居住し、その期間はすべて合算対象期間であった。また、60歳以降も国民年金に任意加入していなかった。その後、甲が61歳の時に、厚生年金保険の被保険者期間の月数を240か月以上有する乙(昭和24年4月2日生まれの男性)と婚姻し、65歳まで継続して乙に生計を維持され、乙の老齢厚生年金の加給年金額の対象者となっていた場合、甲が65歳になると老齢基礎年金の受給要件に該当するものとみなされ、振替加算額に相当する額の老齢基礎年金が支給される。



■解説

(A)正解
法附則14条2項(昭和60年5月1日法律第34号)、則17条の3
老齢基礎年金の受給権者が、大正15年4月2日以後昭和41年4月1日までの間に生まれた場合(昭和61年4月1日に55歳以上で旧厚生年金保険法の老齢年金又は共済組合の退職年金等を受ける者を除く)であって、その者が65歳に達した日において、その者の配偶者に支給する厚生年金保険の老齢厚生年金が加算年金額の対象になっている場合にあっては、そのときからその者の老齢基礎年金に生年月日に応じた額を加算することとされている。
この場合において、老齢基礎年金の受給権者が65歳に達したとき以後に、配偶者の老齢厚生年金が加算年金額の対象となる要件を満たした場合(老齢基礎年金額加算開始事由該当届を提出)には、その時から振替加算を支給することになっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法附則14条1項(昭和60年5月1日法律第34号)、昭和61年経過措置令25条
振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が、配偶者である老齢厚生年金の受給権者と離婚したとしても振替加算は支給停止されないが、離婚による年金分割を行った結果、離婚時みなし被保険者期間又は被扶養配偶者みなし被保険者期間を含めた被保険者期間の月数240月以上の老齢厚生年金を受給できる場合は、振替加算は行われない。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法附則14条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
老齢基礎年金を繰上げ受給した場合であっても要件を満たしている場合には、65歳から振替加算が行われる。
また、配偶者の老齢厚生年金が在職老齢年金の仕組みにより全額支給停止(加給年金額を含む。)されているときであっても、老齢基礎年金の受給権者が65歳に達したときは、振替加算が行われることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法附則14条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
配偶者が加給年金が加算された老齢厚生年金を受給している場合であっても、65歳に達したときにおいて老齢基礎年金の受給権がない場合は振替加算は行われない。
しかしながら、65歳以後に老齢基礎年金の受給権が発生した場合は、その時から老齢基礎年金に振替加算が加算されることになる。
よって、「妻の老齢基礎年金に振替加算は加算されない。」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法附則15条1項・2項(昭和60年5月1日法律第34号)
振替加算の対象となる者と同年齢に属する者であるが、国外居住等の理由により、65歳に達するまでの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間(学生納付特例と若年者納付猶予の期間は除く。)を有することとならなかった者に対しては、振替加算と同額の老齢基礎年金を支給することとされており、この老齢基礎年金を受給するためには、合算対象期間を25年以上有する者であることが必要とされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、本条の趣旨は、合算対象期間を25年以上有するために支給要件を満たしているにもかかわらず、保険料納付済期間及び保険料免除期間を有しないために年金額がゼロとなってしまう者に対して、振替加算相当の老齢基礎年金を支給することである。
また、学生納付特例制度(若年者納付猶予も同様)による保険料免除期間については、追納がなされない限り年金額の計算の基礎としないこととしているため合算対象期間と同様の取扱いとされている。

  

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