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■平成29年国年-第2問(国民年金の給付)

国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

(ア)配偶者に支給する遺族基礎年金は、当該配偶者が、死亡した被保険者によって生計を維持されていなかった10歳の子と養子縁組をしたときは、当該子を養子とした日の属する月の翌月から年金額が改定される。

(イ)冬山の登山中に行方不明になり、その者の生死が3か月間分からない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用について、行方不明となった日にその者は死亡したものと推定される。

(ウ)死亡した被保険者について、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料が未納である月があったとしても、保険料納付済期間を25年以上有していたときには、遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子がいる場合、これらの者に遺族基礎年金の受給権が発生する。

(エ)厚生労働大臣が、障害基礎年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときに、障害基礎年金の額を改定することができるのは、当該受給権者が65歳未満の場合に限られる。

(オ)被保険者であった者が60歳以上65歳未満の間に傷病に係る初診日がある場合であって、当該初診日において、日本国内に住所を有しないときには、当該傷病についての障害基礎年金が支給されることはない。なお、当該傷病以外に傷病は有しないものとする。

(A)(アとウ)
(B)(アとエ)
(C)(イとエ)
(D)(イとオ)
(E)(ウとオ)



■解説

(ア)誤り
法39条
配偶者に支給する遺族基礎年金の子の加算額については、配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時に遺族の範囲に属し、かつ、その者と生計を同じくした子について行われるため、配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時に生計を同じくしていなかった子が生計を同じくするようになったとしても遺族基礎年金の額の改定は行われない。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、配偶者がその権利を取得した当時に遺族の範囲に属し、かつ、その者と生計を同じくした子とみなし、その生まれた日の属する月の翌月から、遺族基礎年金の額が改定されることになっている。

(イ)誤り
法18条の3
船舶及び航空機による事故により行方不明になった場合で、行方不明となった者の生死が3か月間分からない場合、又はこれらの者の死亡が3か月以内に明らかとなったがその死亡の時期が分らない場合は、事故のあった日、又はその者が行方不明となった日にその者は死亡したものと推定することとされている。
よって、この死亡の推定の規定は、冬山の登山中に行方不明になった場合は適用されないため、問題文は誤りとなる。

(ウ)正解
法37条4項
保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者の死亡であるため、保険料納付要件は問われない。問題文の場合は、遺族基礎年金の受給権が発生することになる。
よって、問題文は正解となる。

(エ)誤り
法34条1項
厚生労働大臣は、障害基礎年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、障害基礎年金の額を改定することができることになっている。
この規定は受給権者が65歳未満である場合に限られていない。
よって、問題文は誤りとなる。

(オ)正解
法30条1項
被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満である間に初診日のある傷病により、障害認定日に障害等級に該当し、保険料納付要件を満たしている場合は65歳以上であっても障害基礎年金は支給されるが、当該初診日に日本国内に住所を有しないときには、障害基礎年金は支給されない。
よって、問題文は正解となる。
なお、60歳から65歳までの間の被保険者でないときに初診日のある者について、その者が国内に居住していることを要件としているのは、海外に居住する者であって任意加入していない場合には、60歳前においては、過去に国民年金の加入期間を有している者が障害になった場合であっても障害基礎年金は支給されないこととなっているのと比較した場合、同じ条件で60歳を過ぎた者にあっては障害基礎年金が支給されることとなるのは不合理であるため、これを防止することとしたものである。

※正解の組合せは、(ウ)と(オ)であるため、(E)が正解となる。

  

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