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トップページ過去問研究室(国民年金法) 平成30年国年-第9問(老齢基礎年金等)
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■平成30年国年-第9問(老齢基礎年金等)

老齢基礎年金等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)63歳のときに障害状態が厚生年金保険法に規定する障害等級3級に該当する程度に軽減し、障害基礎年金の支給が停止された者が、3級に該当する程度の状態のまま5年経過後に、再び障害状態が悪化し、障害の程度が障害等級2級に該当したとしても、支給停止が解除されることはない。

(B)45歳から64歳まで第1号厚生年金被保険者としての被保険者期間を19年有し、このほかには被保険者期間を有しない老齢厚生年金の受給権者である68歳の夫(昭和25年4月2日生まれ)と、当該夫に生計を維持されている妻(昭和28年4月2日生まれ)がいる。当該妻が 65歳に達し、老齢基礎年金の受給権を取得した場合、それまで当該夫の老齢厚生年金に加給年金額が加算されていれば、当該妻の老齢基礎年金に振替加算が加算される。

(C)60歳から64歳まで任意加入被保険者として保険料を納付していた期間は、老齢基礎年金の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されるが、60歳から64歳まで第1号厚生年金被保険者であった期間は、老齢基礎年金の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されない。

(D)繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、65歳に達するまでは、繰上げ支給の老齢基礎年金と遺族厚生年金について併給することができないが、65歳以降は併給することができる。

(E)平成30年度の老齢基礎年金の額は、年金額改定に用いる名目手取り賃金変動率がマイナスで物価変動率がプラスとなったことから、スライドなしとなり、マクロ経済スライドによる調整も行われず、平成29年度と同額である。(参考問題)



■解説

(A)誤り
法35条、法36条2項
障害基礎年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間、その支給が停止されることになっている。障害基礎年金が支給停止されている場合であっても、厚生年金保険の障害等級3級に該当している間は、障害基礎年金の受給権は失権しないため、再度、障害等級2級に該当したときは、障害基礎年金の支給停止が解除されることになる。
よって、「支給停止が解除されることはない。」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法附則14条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
振替加算の要件は次のとおりとなっている。
1.大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者であること。
2.65歳に達して自分の老齢基礎年金の受給権を取得したこと。
3.65歳に達した日の前日において、その者の配偶者が受給権を有する次の年金給付の加給年金額の計算の基礎となっていたこと。
(1)老齢厚生年金又は退職共済年金(原則として、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)
(2)障害厚生年金又は障害共済年金(当該障害厚生年金又は当該障害共済年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有する者に限る。)
なお、昭和25年4月2日生まれの男性は、40歳以後19年以上の厚生年金被保険者期間があれば老齢厚生年金の受給権者(中高齢期間短縮特例)になり、要件を満たす配偶者がいる場合は加給年金が加算される。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法附則5条10項、法附則8条4項(昭和60年5月1日法律第34号)
第1号厚生年金被保険者(第2号被保険者)としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間を有する者の20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間に係る当該保険料納付済期間は、保険料納付済期間に算入せず、合算対象期間に算入することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法20条1項、法附則9条の2の4
国民年金の年金給付は、その受給権者が国民年金の他の年金給付(付加年金を除く。)又は厚生年金保険法による年金たる給付を受けることができるときは、その間、その支給を停止することとされている。しかしながら、同一の支給事由に基づいて支給されるもの、受給権者が65歳に達している場合の(1)老齢基礎年金と遺族厚生年金(2)障害基礎年金と老齢厚生年金又は遺族厚生年金は併給が可能である。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解だった
年金額の改定は、物価変動率、名目手取り賃金変動率がともにプラスで、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合には、年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともに名目手取り賃金変動率を用いることとされている。
平成30年度の老齢基礎年金の額は、年金額改定に用いる名目手取り賃金変動率がマイナスで物価変動率がプラスとなったことから、スライドなしとなり、マクロ経済スライドによる調整も行われなかった。
よって、問題文は正解であった。
なお、平成31年度の年金額の改定は、年金額改定に用いる物価変動率(1.0%)が名目手取り賃金変動率(0.6%)よりも高いため、新規裁定年金・既裁定年金ともに名目手取り賃金変動率(0.6%)を用い、さらに平成31年度は、名目手取り賃金変動率(0.6%)にマクロ経済スライドによる平成31年度のスライド調整率(ー0.2%)と平成30年度に繰り越されたマクロ経済スライドの未調整分(-0.3%)が乗じられることになり、改定率は0.1%となった。

  

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