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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 令和1年厚年-第9問(厚生年金保険の保険給付)
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■令和1年厚年-第9問(厚生年金保険の保険給付)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)夫の死亡により、前妻との間に生まれた子(以下「夫の子」という。)及び後妻に遺族厚生年金の受給権が発生した。その後、後妻が死亡した場合において、死亡した後妻に支給すべき保険給付でまだ後妻に支給しなかったものがあるときは、後妻の死亡当時、後妻と生計を同じくしていた夫の子であって、後妻の死亡によって遺族厚生年金の支給停止が解除された当該子は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

(B)障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、16歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに当該受給権は消滅する。一方、障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、19歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、20歳に達したときに当該受給権は消滅する。

(C)老齢厚生年金と雇用保険法に基づく給付の調整は、特別支給の老齢厚生年金又は繰上げ支給の老齢厚生年金と基本手当又は高年齢求職者給付金との間で行われ、高年齢雇用継続給付との調整は行われない。

(D)被保険者期間が6か月以上ある日本国籍を有しない者は、所定の要件を満たす場合に脱退一時金の支給を請求することができるが、かつて、脱退一時金を受給した者が再入国し、適用事業所に使用され、再度、被保険者期間が6か月以上となり、所定の要件を満たした場合であっても、再度、脱退一時金の支給を請求することはできない。

(E)被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、その妻の有する遺族厚生年金に当該子の加給年金額が加算される。



■解説

(A)正解
法37条2項・3項
保険給付の受給権者が死亡した場合において、死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であったときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であった者の子であって、その者の死亡によって遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、未支給の保険給付を請求できる子とみなすこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法63条2項
子又は孫の有する遺族厚生年金の受給権は、次のいずれかに該当するに至ったときは、消滅することになっている。
(1)子又は孫について、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。ただし、子又は孫が障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあるときを除く。
(2)障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき。ただし、子又は孫が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く。
(3)子又は孫が、20歳に達したとき。
問題文の場合、最初の事例は正しいが、「障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、19歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合」は、その事情がやんだとき(障害等級3級に該当する障害の状態になったとき)に受給権が消滅する。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法附則7条の4、法附則7条の5、法附則11条の5
老齢厚生年金と雇用保険法に基づく給付の調整は、特別支給の老齢厚生年金又は繰上げ支給の老齢厚生年金と基本手当又は高年齢雇用継続給付との間で行われることになっている。高年齢求職者給付金との調整は行われない。
よって、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法附則29条1項
脱退一時金の支給要件は、(1)請求のときに日本国籍を有しないこと、(2)厚生年金保険の被保険者期間が6か月以上でること、(3)老齢厚生年金等の保険料納付要件を満たしていないこと、(4)脱退一時金の支給の請求をしたこととされている。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、脱退一時金の支給を請求できないことになっている。
(1)日本国内に住所を有する場合
(2)本人の納付した保険料が障害厚生年金等の給付の受給権に結び付いたことがある場合
(3)最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過している場合
問題文の事例の場合のように、「脱退一時金を受給した者が再入国し、適用事業所に使用され、再度、被保険者期間が6か月以上となり、所定の要件を満たした場合」は再度、脱退一時金の支給を請求することができる。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法59条、法60条、法62条、法附則73条(昭和60年5月1日法律第34号)
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向って、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなされ、遺族厚生年金を受けることができる遺族になるとされているが、遺族厚生年金に子の加給年金額は加算されない。
なお、遺族厚生年金の加算されるのは、遺族厚生年金の受給権者が中高年の寡婦である場合について一定額の加算(中高年齢寡婦加算)と65歳以降の寡婦に対する経過的加算(経過的寡婦加算)である。
よって、問題文は誤りとなる。
  

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