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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成15年厚年-第5問(厚生年金基金)
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■平成15年厚年-第5問(厚生年金基金)

厚生年金基金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)厚生年金基金が老齢厚生年金の受給権者に支給する老齢年金は、老齢厚生年金の受給権の消滅理由以外の理由によって、その受給権を消滅させることはできない。

(B)厚生年金基金が支給する遺族給付金を受けることができる遺族の範囲には、基金の規約に定めることによって、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の他に、給付対象者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたその他の親族も含めることができる。

(C)事業主が厚生年金基金を設立するときには規約を作成することになっているが、当該規約の作成及び変更についてはすべて厚生労働大臣の認可を得なければその効力を生じない。

(D)厚生年金基金が設立された当時その事業所に使用されていた者は全て加入者となるが、その後に使用されるに至った者についても、本人の意志にかかわらず加入者になる。

(E)厚生年金基金が設立事業所を増加させるときは、その増加に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意のほか、その増加に係る適用事業所の被保険者の3分の1以上で組織される労働組合があるときはその組合の同意を必要とする。



■解説

(A)正解
法131条2項
老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付は、老齢厚生年金の受給権の消滅理由以外の理由によって、その受給権を消滅させることはできないことになっている。

(B)正解
法130条3項、基金令26条2項
加入員又は加入員であった者の死亡に関し支給する遺族給付金を受けることができる者は、加入員又は加入員であった者のうち規約で定めるもの(給付対象者)の遺族とされており、具体的には次に掲げる者のうち規約で定めるものとされている。
1.配偶者(内縁関係も含む)
2.子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
3.給付対象者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたその他の親族

(C)誤り
法111条、法115条2項
適用事業所の事業主は、基金を設立しようとするときは、基金を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得て、規約をつくり、厚生労働大臣の認可を受けなければならないとされているが、規約の変更については、政令で定める事項に係るもの以外は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないこととされている。
よって、「変更についてはすべて厚生労働大臣の認可を得なければその効力を生じない」とした問題文は誤りである。
なお、政令で定める事項とは、「事務所の所在地、基金の設立に係る適用事業所の名称及び所在地、代議員及び代議員会に関する事項、役員に関する事項等」であり、これらの事項に係る規約の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならないことになっている。

(D)正解
法122条、法123条
基金の設立事業所に使用される被保険者は、当該基金の加入員となる。
そして、加入員は、次のいずれかに該当するに至った日に、加入員の資格を取得することになっている。
1.設立事業所に使用されるに至ったとき。
2.その使用される事業所又は船舶が、設立事業所となったとき。
3.設立事業所に使用される者が、適用除外の規定に該当しなくなったとき。
なお、基金の設立事業所に使用される被保険者のうち、高齢任意加入被保険者については、保険料の負担及び納付につき事業主の同意がないものは、基金の加入員とならない(法附則4条の4第2項)が、問題文は原則として正しい肢と判断する。

(E)正解
法144条1項・2項
厚生年金基金がその設立事業所を増加させ、又は減少させるには、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得なければならない。
そして、厚生年金基金がその設立事業所を増加させる場合において、その増加に係る適用事業所に使用される被保険者の3分の1以上で組織する労働組合があるときには、別に労働組合の同意を得ることも必要となる。

  

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