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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成15年厚年-第6問(法令全般関係)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)第4種被保険者について、平成15年3月まではその被保険者の資格を取得する前の最後の月の標準報酬月額に基づき保険料を徴収するが、総報酬制導入後は、その月の標準報酬月額とその月から直近1年間に支払われた標準賞与額の合計を12で除した額との合計額である総報酬月額相当額に基づき保険料を徴収する。

(B)社会保険庁長官は、毎年4月から6月までを算定基礎としてその年9月から翌年8月までの標準報酬月額を決定するが、6月1日から12月31日までの間に初めて被保険者資格を得た者については、資格取得時に決定された額をもって翌年8月までの各月の標準報酬月額とする。

(C)在職老齢厚生年金の支給停止額については、その者の標準報酬が改定された場合には、改定された月の翌月から新たな標準報酬に基づいて計算された額に変更される。

(D)65歳未満の老齢厚生年金の受給権者(平成10年4月1日前に権利を取得した者を除く。)であって、雇用保険法の規定による基本手当との調整による年金停止月がある者について、基本手当の受給期間満了後に5箇月の年金停止月と100日の基本手当の支給を受けたとみなされる日数があるときは、この者に2箇月分の老齢厚生年金がさかのぼって支給される。

(E)退職共済年金を受給しており、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ある者に対しては、60歳から特例老齢年金が支給される。この額は特別支給の老齢厚生年金の額の計算の例により計算される。



■解説

(A)誤り
法附則50条1項(昭和60年5月1日法律第34号)、旧法26条、経過措置令20条(平成12年3月31日政令第180号)
第4種被保険者の各月の標準報酬月額は、その被保険者の資格を取得する前の最後の標準報酬月額によるものとされている。
よって、「総報酬制導入後は、その月の標準報酬月額とその月から直近1年間に支払われた標準賞与額の合計を12で除した額との合計額である総報酬月額相当額に基づき保険料を徴収する」とした問題文は誤りである。

(B)正解
法21条1項・2項、法22条2項
社会保険庁長官は、被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定することになっており、そうして決定された標準報酬月額は、随時改定に該当しない限り、その年の9月から翌年の8月までの各月の標準報酬月額となる。(定時決定)
なお、被保険者資格を取得した際に決定された標準報酬月額については、随時改定に該当しない限り、被保険者資格取得月からその年の8月(6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額となる。

(C)誤り
法46条1項、法附則21条1項(平成6年11月9日法律第95号)
在職老齢年金の支給停止額は、受給権者が厚生年金保険の被保険者である日の属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額(総報酬月額相当額)と年金額(加給年金額は除く)を12で除して得た額(基本月額)に応じて計算されることになっている。
よって、在職中に標準報酬月額が変更になった場合は、その月から新たな標準報酬月額に基づいて計算された額に変更されることになり、「改定された月の翌月から」とした問題文は誤りである。

(D)誤り
法附則7条の4第3項、法附則11条の5
65歳未満の老齢厚生年金の受給権者(平成10年4月1日前に権利を取得した者を除く。)が雇用保険法の基本手当を受給するために求職の申し込みをした場合は、求職の申し込みをした月の翌月から基本手当の受給期間(原則として離職日の翌日から1年)が経過した日の属する月、又は、基本手当の所定給付日数の支給を終了した日の属する月(調整対象期間)まで、65歳未満の老齢厚生年金は全額支給停止される。
ただし、調整対象期間であっても、基本手当を受けたとみなされる日及びこれに準ずる日(待期期間や給付制限期間など)が1日もない月については、支給停止は解除されることになっている。
そして、調整対象期間が終了すると、年金支給停止月数から基本手当の支給対象となった日数(支給された日及び支給されたとみなされる日)を30で除して得た数(1未満の端数については1に切り上げる)を控除し、その数が1以上である場合は、その数に相当する月数分の支給停止が解除され、遡って年金が支給されることになっている。
これを問題文の事例に当てはめてみると、基本手当の日数(100日)を30で除して得た数4(端数は切上げ)に相当する月数分の支給停止が解除され、1か月分の老齢厚生年金がさかのぼって支給されることになる。
よって、「2箇月分の老齢厚生年金がさかのぼって支給される」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法附則28条の3
老齢基礎年金の受給資格期間を満たさないことにより老齢厚生年金を受給できない者が、被保険者期間と旧共済組合員期間とを合算した期間を20年以上有する場合に、特例老齢年金が支給されることになっている。
退職共済年金を受給している者は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていることになり、特例老齢年金は支給されない。
よって、「特例老齢年金が支給される」とした問題文は誤りである。

(参考)
老齢基礎年金の受給資格期間を満たさない者が次の要件に該当する場合は、特例老齢年金が支給されることになる。
なお、特例老齢年金の支給額は、定額部分と報酬比例部分を合算した額とされている。
1.60歳以上であること
2.1年以上の被保険者期間を有すること
3.被保険者期間と旧共済組合員期間とを合算した期間が20年以上であること

  

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