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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成15年厚年-第10問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成15年厚年-第10問(法令全般関係)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)遺族厚生年金に加算される経過的寡婦加算額(平成20年度価額)は、妻の生年月日が昭和31年4月1日以前であるときは、生年月日に応じて最低34,100円から最高603,200円までの額として加算される。(一部改正)

(B)特別支給の退職共済年金を受給しながら、同時に厚生年金保険の被保険者である者が死亡し、その妻に遺族共済年金と遺族厚生年金が決定されたときで、遺族厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たないため、300月として年金額を決定したときは、この2つの年金は併給調整の対象となる。

(C)社会保険庁長官は、保険給付に関する処分に関し必要があると認めるときは、官公署に対し、法人の事業所の名称、所在地その他必要な資料の提供を求めることができる。

(D)昭和7年4月2日前に生まれた者で平成14年3月31日において第4種被保険者であった男子の場合において、この者が引き続き平成14年4月1日において厚生年金保険の適用事業所に使用されるときは、同日、第1種被保険者に切り替わることとされた。

(E)有限会社である事業所においては、常時5人未満の従業員を使用する場合には、強制適用事業所とならない。



■解説

(A)誤り
法附則73条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
平成20年度の経過的寡婦加算額は、物価スライド特例措置が適用されるため、生年月日に応じて最低で19,900円から最高で594,200円となっている。
なお、問題文の最低額34,100円は、配偶者加給年金額の特別加算の最低額(物価スライド率適用前)であり、最高額の603,200円は物価スライド適用前の経過的寡婦加算額の最高額である。

(B)正解
法64条の2、令3条の11
問題文の場合は、遺族である妻は長期要件の遺族共済年金と短期要件の遺族厚生年金の受給権を有することになる。
そして、短期要件の遺族厚生年金受給権を有するものが、同時に長期要件の遺族厚生年金の受給権を有する場合は、どちらかを選択して受給(併給調整の対象)することになる。

(参考)
短期要件の遺族共済年金 長期要件の遺族共済年金
短期要件の遺族厚生年金 選択受給 選択受給
長期要件の遺族厚生年金 遺族共済年金が優先 併給可能

(C)誤り
法100条の2第1項
社会保険庁長官は、被保険者の資格に関し必要があると認めるときは、官公署に対し、法人の事業所の名称、所在地その他必要な資料の提供を求めることができることになっている。
よって、「保険給付に関する処分に関し」とした問題文は誤りである。
なお、社会保険庁長官は、年金たる保険給付に関する処分に関し必要があると認めるときは、共済組合等に対し必要な資料の提供を求めることができることになっている。(法100条の2第2項)

(D)誤り
法附則15条(平成12年3月31日法律第18号)
従来は適用事業所に使用されている場合でも、65歳に達したときは厚生年金保険の被保険者資格を喪失していたが、平成14年4月1日から加入期間が70歳未満まで延長されたことに伴い、その経過措置として、昭和7年4月2日以後に生まれた者(平成14年4月1日で70歳未満の者)であり、かつ、平成14年3月31日において第4種被保険者であった者であって、平成14年4月1日において適用事業所に使用されるものは、同日に、当然被保険者の資格を取得し、当該第四種被保険者の資格を喪失する取扱いとされた。
よって、「昭和7年4月2日前」とした問題文は誤りである。

(参考)
厚生年金保険においては、歴史的な経緯等から、被保険者の性別や職業によって、保険料負担や受給資格期間に差が残っているため、被保険者を次の4種類に区分している。
第1種被保険者(男子被保険者で第3種、第4種以外の者)
第2種被保険者(女子被保険者で第3種、第4種以外の者)
第3種被保険者(坑内員及び船員被保険者)
第4種被保険者(任意継続被保険者)

(E)誤り
法6条1項2号、昭和18年4月5日保発第905号
法人の事業所又は事務所であって、常時従業員を使用するものは強制適用事業所となる。
なお、法人は、公法人たると、私法人たると、公益法人たると、営利法人たると、社団法人たると、財団法人たるとを問わないことになっている。(有限会社は営利法人に分類される。)
よって、「強制適用事業所とならない」とした問題文は誤りである。

  

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