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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成16年厚年-第1問(障害厚生年金)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年厚年-第1問(障害厚生年金)

障害厚生年金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法第77条の規定による障害補償との調整によって、障害厚生年金の受給権者であるが当該給付の支給が停止されている者に対しては、社会保険庁長官による障害厚生年金の受給権者の確認等は行われない。(一部改正)

(B)2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合において、当該死亡した者により生計を維持されていた夫が1級の障害の状態にあるとき、遺族厚生年金については、夫の年齢要件は問われない。

(C)障害厚生年金の受給権者が、障害の程度が増進したことにより障害厚生年金の額の改定を請求する場合には、受給権を取得した日又は社会保険庁長官の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければならない。

(D)2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、その後、3級の障害の状態になり、65歳以降に再び障害の程度が増進して2級の障害の状態になったとき、2級の障害基礎年金及び障害厚生年金が支給される。

(E)障害厚生年金の受給権者で、65歳に達する日前に障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったために支給が停止されていた者が、66歳の時点で再度障害等級に該当する程度の障害の状態になった場合には、停止されてから3年を経過していなければ障害厚生年金の支給が開始される。



■解説

(A)正解
法54条1項、則51条
社会保険庁長官は、支払期月の前月において、住民基本台帳法の規定による当該支払期月に支給する障害厚生年金の受給権者に係る本人確認情報の提供を受け、必要な事項について確認を行うものとされているが、当該障害厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときにはこの社会保険庁長官の確認は行われないこととされている。
よって、問題文は正解である。
なお、本人確認情報の提供を受けることができない受給権者や加給年金額の対象者がある障害厚生年金の受給権者については、所定の事項を記載し、かつ、自ら署名した届書(自ら署名することが困難な受給権者にあっては、当該受給権者の代理人が署名した届書)を、社会保険庁長官に提出しなければならないことになっているが、その場合でも、障害厚生年金が全額支給停止になっている場合は現況届の提出は不要である。(則51条の2、則51条の3)

(B)誤り
法59条1項1号
遺族厚生年金を受給できる遺族が、夫、父母又は祖父母の場合は、被保険者等が死亡したときに55歳以上であることが要件となっている。
よって、「夫の年齢要件は問われない」とした問題文は誤りとなる。
なお、被保険者等が死亡した日が平成8年4月1日前である場合で、夫、父母又は祖父母が障害等級1級又は2級の障害の状態には年齢要件は問われないことになっているので注意すること。(法附則72条(昭和60年5月1日法律第34号))

(C)正解
法52条2項・3項
障害厚生年金の受給権者は、社会保険庁長官に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができるが、その請求は、障害厚生年金の受給権を取得した日又は社会保険庁長官の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができないことになっている。

(D)正解
法52条7項
障害の程度が増進したことにより障害等級3級の障害厚生年金から障害等級2級への等級改定が行われた場合、事後重症による障害基礎年金の支給があったものとみなされる(国年法30条の2第4項)ことになっており、障害等級2級の障害厚生年金には必ず、障害等級2級の障害基礎年金が支給されることになっている。
しかしながら、事後重症による障害基礎年金の受給権の発生は65歳に達するまでとされているため、65歳以後に障害の状態が3級から2級に増進した場合には、障害基礎年金は支給されない。
このような場合に、障害等級2級の障害厚生年金のみが支給されないように、65歳以後は3級から2級及び1級への等級改定は行われないこととされている。
なお、65歳以上の障害等級3級の障害厚生年金の受給権者のうち、以前に障害等級2級の障害状態に該当していたことがあり、障害基礎年金の受給権を有している者については、問題が生じないため、障害の状態が増進して再び障害等級2級の状態に該当したときは、障害基礎年金については支給停止が解除され、障害厚生年金についても3級から2級に等級改定が行われることになる。

(E)正解
法53条2号、法54条2項
障害等級に該当しなくなったときは、65歳までの間は、障害厚生年金を支給停止し、65歳に達したときに失権することになっている。(この結果、65歳に達するまでの間にその障害が悪化した場合は、再び障害厚生年金が支給されることになる)
ただし、障害等級に該当しなくなった時から65歳に達するまでの期間が3年未満であるときは、該当しなくなった時から3年を経過したときに受給権が消滅することとされている。

  

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