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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成16年厚年-第2問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年厚年-第2問(法令全般関係)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)厚生労働大臣は、年度毎に年金の積立金の運用の状況及びその年金財政に与える影響並びに年金資金運用基金における年金資金の管理及び運用の評価を記載した報告書を作成し、国会に提出すると共にこれを公表する。(参考問題)

(B)保険料の納付義務者である事業主が国税等の滞納処分を受けるときや強制執行、破産手続開始の決定を受けたとき、あるいは競売の開始があったときなどは納期前であってもすべて徴収することができる。繰上げ徴収する場合には社会保険庁長官は当該事業主に対してその旨を督促状によって通知しなければならない。(一部改正)

(C)国庫は、基礎年金拠出金の2分の1に相当する費用(平成19年度から特定年度の前年度までの間は、基礎年金拠出金の3分の1に1,000分の32を加えた率を乗じて得た額)のほか、昭和36年4月1日前の期間に係る給付に対する費用として、第3種被保険者に対する給付費は、5分の1について負担する。(一部改正)

(D)保険料納付義務者が納付した保険料が納付すべき額を超えていた場合には、社会保険庁長官は、超過して納入した保険料について、納付した日から起算して6か月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰上げて徴収したものとみなす。

(E)日本に短期在留を繰り返す外国人の厚生年金保険の脱退一時金の支給要件には回数に関する制限はない。



■解説

(A)誤りだった
旧法79条の5第1項
厚生労働大臣は、年度毎に年金の積立金の運用の状況及びその年金財政に与える影響並びに年金資金運用基金における年金資金の管理及び運用の評価を記載した報告書を作成し、社会保障審議会に提出すると共にこれを公表するとされており、「国会」とした問題文は誤りであった。
なお、平成18年4月1日からこの規定は削除されたため、参考問題とする。

(B)誤り
法85条、法86条
保険料その他厚生年金保険法による徴収金を滞納する者があるときは、社会保険庁長官は、期限を指定して、これを督促しなければならないことになっているが、保険料の繰上徴収を行う場合は督促する必要はない。
よって、「繰上げ徴収する場合には社会保険庁長官は当該事業主に対してその旨を督促状によって通知しなければならない」とした問題文は誤りである。

(参考)
保険料の繰上徴収
保険料は、次に該当する場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができることになっている。
1.納付義務者が、次のいずれかに該当する場合
(1)国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき
(2)強制執行を受けるとき
(3)破産手続開始の決定を受けたとき
(4)企業担保権の実行手続の開始があったとき
(5)競売の開始があったとき
2.法人たる納付義務者が、解散をした場合
3.被保険者の使用される事業所が、廃止された場合
4.被保険者の使用される船舶について船舶所有者の変更があった場合、又は当該船舶が滅失し、沈没し、若しくは全く運航に堪えなくなるに至った場合

(C)誤り
法80条、法附則32条(平成16年6月11日法律第104号)、法附則79条1号(昭和60年5月1日法律第34号)
国庫は、毎年度、基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額(経過措置により、平成19年度から特定年度の前年度までの間は、基礎年金拠出金の3分の1に1,000分の32を加えた率を乗じて得た額)を負担することになっている。
また、昭和36年4月1日前の期間に係る給付費については、一般の被保険者期間については給付費の100分の20、第3種被保険者期間に係るものについては100分の25、旧適用法人共済組合員期間については100分の15.85を国庫負担することと等の経過措置もおかれている。
よって、「昭和36年4月1日前の期間に係る給付に対する費用として、第3種被保険者に対する給付費は、5分の1(100分の20)について負担する」とした問題文は誤りである。

(D)誤り
法83条2項
社会保険庁長官は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったときは、そのこえている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から6か月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。
よって、「納付した日から起算して6か月以内」とした問題文は誤りである。
なお、納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなしたときは、社会保険庁長官は、その旨を当該納付義務者に通知する必要がある。(法83条3項)

(E)正解
法附則29条
脱退一時金の支給要件に支給回数の制限規定はなく、短期在留を繰り返す外国人であっても、支給要件を満たせば、その都度、脱退一時金の支給を受けることができる。

  

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