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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成16年厚年-第4問(特別支給の老齢厚生年金等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年厚年-第4問(特別支給の老齢厚生年金等)

特別支給の老齢厚生年金等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者が、被保険者の資格を喪失したまま1月を経過したときは、喪失した日までのすべての被保険者期間を年金額の計算の基礎として計算し、当該1月を経過した日の属する月から年金額が改定される。

(B)特別支給の老齢厚生年金と雇用保険法第22条第1項に規定する基本手当を受けることができるときは、当該給付の調整対象期間中に基本手当の支給を受けた日とみなされる日及びこれに準ずる日として政令で定める日が1日もない月があった場合には、その月について老齢厚生年金が支給される。

(C)昭和21年4月1日以前生まれで船員たる被保険者期間が15年以上あって、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25年以上ある者は、55歳から特別支給の老齢厚生年金を受給できる。

(D)特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した者の標準報酬月額が、60歳到達時の賃金額(みなし賃金月額)の61%未満である場合には、標準報酬月額の6%相当額の年金額が支給停止され、75%以上又は高年齢雇用継続給付の支給限度額を超えるときは、支給限度額から標準報酬月額を控除して得た額に15分の6を乗じて得た額を支給停止する。

(E)特別支給の老齢厚生年金の受給権者について、被保険者期間のうち基金の加入員であった期間を有する場合、在職老齢年金については、当該期間を加入員でなかったものとして計算した老齢厚生年金の額に基づいて支給停止額を計算する。



■解説

(A)正解
法43条3項
被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から、年金額が改定されることになっている。
なお、問題文では「喪失した日までのすべての被保険者期間を年金額の計算の基礎として計算」となっているが、被保険者期間は、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までとされている(法19条1項)ので、正しいと判断する。

(B)正解
法附則7条の4第3項、法附則11条の5
65歳未満の老齢厚生年金の受給権者(平成10年4月1日前に権利を取得した者を除く。)が雇用保険法の基本手当を受給するために求職の申し込みをした場合は、求職の申し込みをした月の翌月から基本手当の受給期間(原則として離職日の翌日から1年)が経過した日の属する月、又は、基本手当の所定給付日数の支給を終了した日の属する月(調整対象期間)まで、65歳未満の老齢厚生年金は全額支給停止される。
ただし、調整対象期間であっても、基本手当を受けたとみなされる日及びこれに準ずる日(待期期間や給付制限期間など)が1日もない月については、支給停止は解除されることになっている。
そして、調整対象期間が終了すると、年金支給停止月数から基本手当の支給対象となった日数(支給された日及び支給されたとみなされる日)を30で除して得た数(1未満の端数については1に切り上げる)を控除し、その数が1以上である場合は、その数に相当する月数分の支給停止が解除され、遡って年金が支給されることになっている。

(C)正解
法附則9条の4第1項、法附則15条1項(平成6年11月9日法律第95号)
平成6年の法改正により坑内員・船員に係る老齢厚生年金の支給開始年齢が引き上げられることになったが、引き上げ対象となる前の世代の者については、経過措置として従前と同様に55歳から特別支給の老齢厚生年金が支給されることになっている。
具体的には、昭和21年4月1日以前に生まれた者であって、坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が15年以上(3分の4倍、5分の6倍しない実期間)ある者については、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢を55歳とすることとされている。

(D)誤り
法附則11条の6第6項
特別支給の老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者であり、雇用保険法の高年齢雇用継続給付を受給することができる場合は、在職老齢年金の仕組みにより、老齢厚生年金の支給額が支給停止されることに加え、さらに次のとおり支給停止されることになっている。

1.標準報酬月額が、みなし賃金月額の61%未満である場合は、標準報酬月額の6%が支給停止される
2.標準報酬月額が、みなし賃金月額の61%以上75%未満である場合は、標準報酬月額に年金停止率を乗じて得た額が支給停止される
3.標準報酬月額と高年齢雇用継続給付の額が支給限度額を超える場合は、支給限度額から標準報酬月額を控除した額に15分の6を乗じて得た額が支給停止される
4.標準報酬月額が、みなし賃金月額の75%以上、又は支給限度額以上である場合は、高年齢雇用継続給付は支給されず調整されない。

よって、「75%以上又は高年齢雇用継続給付の支給限度額を超えるときは、支給限度額から標準報酬月額を控除して得た額に15分の6を乗じて得た額を支給停止する」とした問題文は誤りである。

(E)正解
法附則11条5項
特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、厚生年金基金の加入員であった期間を有する者である場合においては、政府が支給する老齢厚生年金の額については、厚生年金基金に加入していた期間を加入していなかったものとして計算した老齢厚生年金の額に基づき、在職老齢年金の支給停止額を計算することになっている。

  

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