社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成16年厚年-第7問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年厚年-第7問(法令全般関係)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)毎月の保険料は翌月末日までに納付しなければならないが、これを滞納したため発生した延滞金を計算するにあたり、保険料額に500円未満の端数があるときはその端数を切り捨て、延滞金の金額に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。

(B)被保険者の死亡により遺族厚生年金の受給権が発生した34歳の妻と15歳の子の場合において、その子が成長して年齢に係る失権事由により受給権を失権したときは、その翌月から妻に中高齢の寡婦加算が支給される。

(C)障害厚生年金の受給権者が当該障害以外の支給事由によって労働基準法第77条の規定による障害補償を受けた場合であっても、当該障害年金は6年間支給停止される。

(D)受給権者の年齢が65歳未満の場合と65歳以上の場合では、在職老齢厚生年金の額の計算式は異なるが、総報酬月額相当額と基本月額の計算式は年齢にかかわらず同じである。

(E)加給年金額の対象となる配偶者及び子のいない特別支給の老齢厚生年金を受給する被保険者について、その年金額が150万円、総報酬月額相当額が28万円であるとき、その者に支給すべき特別支給の老齢厚生年金は月額5万円である。



■解説

(A)誤り
法87条3項・5項
延滞金を計算するにあたり、保険料額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てることになっている。
よって、「保険料額に500円未満の端数があるときはその端数を切り捨て」とした問題文は誤りである。
なお、延滞金の金額に100円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てることになっている。

(B)誤り
法62条1項
中高齢寡婦加算の対象となる寡婦は、夫の死亡時において、子のない場合については、40歳以上の者とし、子のある場合については、40歳未満であっても40歳に達したときに遺族基礎年金の支給要件に該当する子と生計を同じくしている者とされている。
なお、中高齢寡婦加算は寡婦が65歳に達するまでの間、加算されることになっている。
問題文の場合は、15歳の子が年齢に係る失権事由により遺族基礎年金の受給権を失権したとき(18歳の年度末から20歳までの間)であっても、34歳の妻は40歳に到達していないため、中高齢寡婦加算の支給要件を満たすことはできない。
よって問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法54条1項
障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、6年間その支給を停止することになっている。
よって、「当該障害以外の支給事由」によって障害補償を受けた場合であっても、障害厚生年金は支給停止されず、「6年間支給停止される」とした問題文は誤りである。

(D)正解
法46条1項、法附則11条1項
60歳台前半の在職老齢年金と60歳台後半の在職老齢年金の支給停止額の計算式は異なるが、総報酬月額相当額と基本月額の計算式は同じである。

(参考)
1.基本月額
老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)を12で除して得た額
2.総報酬月額相当額
標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額を合算した額
なお、本試験の出題当時は、60歳台前半の在職老齢年金を計算する場合の基本月額は、老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)の100分の80に相当する額を12で除して得た額とされており、社会保険労務士試験センター発表の解答では「誤り」とされていた。

(E)誤り
法附則11条1項・2項
60歳台前半の在職老齢年金の支給停止額の計算式は次のようになっている。

1.基本月額と総報酬月額相当額の合計額が280,000円以下
全額支給
2.総報酬月額相当額が480,000円以下で基本月額が280,000円以下
(総報酬月額相当額+基本月額−280,000円)÷2
3.総報酬月額相当額が480,000円以下で基本月額が280,000円以上
総報酬月額相当額÷2
4.総報酬月額相当額が480,000円超で基本月額が280,000円以下
((480,000円+基本月額−280,000円)÷2))+(総報酬月額相当額−480,000円)
5.総報酬月額相当額が480,000円超で基本月額が280,000円超
(480,000円÷2)+(総報酬月額相当額−480,000円)

問題文の場合は、年金額が150万円なので、基本月額は125,000円、総報酬月額相当額が280,000円なので、上記2の計算式で計算すると、支給停止額は、「(280,000円+125,000円−280,000円)÷2」で62,500円となる。
年金支給月額125,000円−支給停止額62,500円で支給調整後の支給額は62,500円となる。
よって、「支給すべき特別支給の老齢厚生年金は月額5万円である」とした問題文は誤りである。
なお、本試験出題当時の計算式で計算した在職老齢年金の支給額は月額5万円であり、社会保険労務士試験センター発表の解答では「正解」とされていた。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(厚生年金保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved