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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成18年厚年-第5問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成18年厚年-第5問(法令全般関係)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)特例老齢年金の年金額の計算において、旧共済組合員期間のうち、昭和17年6月から昭和20年8月までの期間は、被保険者期間の月数に5分の6を乗じた月数を基礎にして報酬比例部分の額を計算する。

(B)納付すべき厚生年金保険の保険料の一部を滞納した者に対し、公示送達による督促を行った場合には、当該滞納部分の保険料額に14.6%(当該納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については、年7.3%)の延滞金が課せられる。(一部改正)

(C)脱退一時金は、日本国籍を有する者には支給されず、その者が最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日又は同日において日本に住所を有していた場合には資格喪失後初めて日本国内に住所を有しなくなった日から起算して2年を経過しているときにも支給されない。

(D)平成12年の法改正により、基金が支給する代行部分についても給付水準の5%適正化の対象となったが、昭和16年4月1日以前生まれの者及び平成12年4月1日前に老齢厚生年金の受給権を取得した者については適用されない。

(E)老齢厚生年金の経過的加算の額の計算における老齢基礎年金相当部分の額を計算する場合に、厚生年金保険の被保険者期間のうち、昭和36年4月1日以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間については、生年月日に応じた乗率を乗じて得た月数を基礎とする。



■解説

(A)誤り
法附則28条の3、法附則28条の3
被保険者期間が1年以上ある者について、旧共済組合の組合員であった期間のうち、昭和17年6月から昭和20年8月までの期間がある場合には、その期間はその者の老齢又は死亡に関して支給する保険給付について、厚生年金保険の被保険者であった期間とみなされることになっているが、このみなし規定は、支給要件等を計算する場合及び定額部分の額を計算する場合にのみ適用され、報酬比例部分の額を計算する場合には適用されないことになっている。
また、昭和17年6月から昭和20年8月までの旧共済組合員期間については、坑内員たる被保険者及び船員たる被保険者以外の被保険者であった期間とみなされることになっており、定額部分の額を計算する場合も5分の6倍しない実際の期間に基づいて算定されることになっている。
よって、「被保険者期間の月数に5分の6を乗じた月数を基礎にして報酬比例部分の額を計算する」とした問題文は誤りである。

(参考)
特例老齢年金
老齢基礎年金の受給資格期間を満たさないことにより老齢厚生年金を受給することができない者が、60歳以上であり、かつ、1年以上の被保険者期間を有し、被保険者期間と旧共済組合員期間とを合算した期間が20年以上である場合には、特例老齢年金が支給されることになっている。
なお、特例老齢年金の支給額は、定額部分と報酬比例部分の額とを合算した額(特別支給の老齢厚生年金の額と同額)とされている。

(B)誤り
法87条1項3号
保険料等の督促をしたときは、厚生労働大臣は、保険料額につき年14.6パーセント(当該納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については、年7.3パーセント)の割合で、納期限(督促状の納期限でなく最初の納期限)の翌日から、保険料完納又は財産差押の日の前日までの日数によって計算した延滞金を徴収することになっているが、次に該当する場合又は滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合は延滞金は徴収しないことになっている。
1.保険料額が1,000円未満であるとき
2.納期を繰り上げて徴収するとき
3.公示送達の方法によって督促したとき
よって、「延滞金が課せられる」とした問題文は誤りである。

(C)正解
法附則29条1項
脱退一時金は、被保険者期間が6月以上である日本国籍を有しない者(国民年金の被保険者でないものに限る。)が、老齢厚生年金等の保険料納付要件を満たしていない場合に請求することによって支給されるが、次に該当する場合には脱退一時金の請求ができないことになっている。
1.日本国内に住所を有するとき
2.障害厚生年金等の受給権を有したことがあるとき
3.最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた場合は、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているとき
4.外国との年金通算協定により、厚生年金保険の老齢給付に相当する給付を受けることができるようになったとき
よって、問題文は正解である。

(D)誤り
法132条2項、法附則9条1項(平成12年3月31日法律第18号)、法附則24条(平成12年3月31日法律第18号)
平成12年の法改正により、厚生年金基金が支給する代行部分についても給付水準の5%適正化(給付の引き下げ)の対象となっているが、昭和15年4月1日以前に生まれた者(平成12年4月1日において60歳以上の者)及び平成12年4月1日前に支給事由の生じた老齢厚生年金の受給権者については、経過措置として、給付水準の5%適正化の対象になっていない。(昭和61年改正の給付率が適用される)
よって、「昭和16年4月1日以前生まれの者及び平成12年4月1日前に老齢厚生年金の受給権を取得した者については適用されない」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法附則59条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
経過的加算は、特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、65歳に達したことにより定額部分が老齢基礎年金に代わった場合においても、年金の総支給額が低下しないように加算するものであるので、その額は、定額部分の額から昭和36年4月1日以後の20歳から60歳までの期間に係る厚生年金保険の被保険者期間のみを保険料納付済期間として計算した老齢基礎年金の額に相当する額を控除した額となっている。
よって、「生年月日に応じた乗率を乗じて得た月数を基礎とする」とした問題文は誤りである。

  

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