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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成18年厚年-第7問(加給年金額等)
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■平成18年厚年-第7問(加給年金額等)

老齢厚生年金の加給年金額等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)加給年金額に係る生計維持関係は、受給権者がその権利を取得した当時その者と生計を同じくする者であり、かつ厚生労働大臣が定める年収850万円(年間所得655万5千円)以上の収入を有すると認められない者であって、近い将来に年収が850万円(年間所得655万5千円)未満になると見込まれる者については、維持関係があるとは認定されない。

(B)老齢厚生年金及び障害厚生年金の受給権者の配偶者に対する加給年金額、老齢厚生年金の受給権者の子に対する加給年金額については、受給権者本人が68歳以降になっても、基礎年金の新規裁定者の改定率と同様の改定率によって改定する。

(C)老齢厚生年金の受給権者であって、大正15年4月2日以後から昭和41年4月1日以前生まれの者については、その者の配偶者が65歳に達したときに加給年金額が加算されなくなり、振替加算も行われない。

(D)老齢厚生年金に加算される子に係る加給年金額は、20歳に達する日前までに障害等級1級又は2級になった子がある場合には、当該子が20歳に達するまで支給される。

(E)老齢厚生年金と障害基礎年金を併給する者に老齢厚生年金の加給年金額の対象となる子がある場合に、その者に障害基礎年金の子の加算を行うときは、当該加算額に相当する部分について加給年金額の額を減額して支給停止する。



■解説

(A)誤り
法44条5項、令3条の5、平成6年11月9日庁保発第36号、平成6年11月9日庁文発第3235号
生計維持関係があると認められるのは、受給権者と生計を同じくしていた者であって厚生労働大臣の定める金額以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のものその他これに準ずる者として厚生労働大臣が定める者とされている。
そして、生計維持認定対象者に係る収入に関する認定にあたっては、次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外の者に該当するとされている。
1.前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること
2.前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること
3.一時的な所得があるときは、これを除いた後、上記1又は2に該当すること
4.上記1から3に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円となると認められること
よって、問題文の場合は、生計維持関係が認定されることになり、「維持関係があるとは認定されない」とした問題文は誤りである。

(B)正解
法44条2項
加給年金額の改定に係る改定率は、年齢にかかわらず、基礎年金の新規裁定者に対する改定率(名目手取り賃金変動率)によって改定されることになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、加給年金額に上乗せして支給される特別加算額についても同様に名目手取り賃金変動率を基準として改定されることになっている。

(C)誤り
法44条4項、法附則14条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
昭和61年4月1日施行の新法の適用を受ける老齢厚生年金の受給権者(原則として大正15年4月2日以後生まれの者)であれば、生年月日にかかわりなく、その受給権者の配偶者が受給する老齢基礎年金に振替加算が行われる。
なお、振替加算が行われる配偶者については、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた者であり、その配偶者自身が老齢厚生年金等(原則として被保険者期間が240月以上であるものに限る)の受給権を有していないことが要件となっている。
よって、問題文は誤りとなる。

(参考)
振替加算は受給権者及びその配偶者ともに、新法適用者である場合に行われることになっており、そのどちらかが旧法適用者である場合には、振替加算は行われず、厚生年金保険の老齢厚生年金等の受給権者に対する配偶者加給年額が引き続き加算されることになっている。

(D)誤り
法44条4項
老齢厚生年金に加算される子に係る加給年金額は、18歳に達した日以後最初の3月31日までに障害等級1級又は2級になった子がある場合には、減額事由に該当しない限り、当該子が20歳に達するまで支給される。(18歳の年度末後20歳になるまでに障害等級1級又は2級の障害者となった場合でも加給年金額は加算されない)
よって、「20歳に達する日前までに障害等級1級又は2級になった子がある場合」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法44条1項
老齢厚生年金と障害基礎年金を併給している場合に、障害基礎年金で子の加算が行われている場合(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、老齢厚生年金では、当該子についての加給年金額は支給停止されることになっている。
よって、「当該加算額に相当する部分について加給年金額の額を減額して支給停止する」(障害基礎年金の子の加算が行われる場合は、老齢厚生年金の子に係る加給年金額は全額支給停止)とした問題文は誤りである。

  

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