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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成20年厚年-第1問(障害厚生年金等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年厚年-第1問(障害厚生年金等)

障害厚生年金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)厚生労働大臣は、障害厚生年金の受給権者が、重大な過失により、その障害の程度を増進させたときは、当該障害厚生年金の額の一部につき、その支給を停止し、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、当該障害厚生年金の額の改定を行うことができる。(一部改正)

(B)障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給される障害厚生年金の額に加算されている配偶者の加給年金額は、配偶者の生年月日にかかわらず、当該配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月分から加算されなくなる。

(C)傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有する状態であって、厚生労働大臣が定めるものは、障害等級3級の障害の状態に該当する。

(D)障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から障害等級の1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)に、65歳に達する日以後に更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給される。

(E)傷病の初診日において被保険者であった者について、障害認定日には障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、同日後65歳に達する日の前日までに当該傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態になり、かつ、初診日において保険料納付要件を満たしているときは、65歳以後であっても障害等級に該当した日から3年を経過していなければ、障害厚生年金の支給を請求することができる。



■解説

(A)誤り
法74条、法77条
厚生労働大臣は、障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、職権による増額改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、職権による減額改定を行うことができる。
また、障害厚生年金の受給権を有する者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の回復を妨げたときは、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。
よって、職権による増額改定を行わない(または、職権による減額改定を行う)ことができるのは、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、「その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたとき」であるが、障害厚生年金の全部又は一部につき支給停止することができるのは、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、「その障害の回復を妨げたとき」のみであり、「障害の程度を増進させたとき」については該当しないため問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法50条の2、法60条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
障害等級1級又は2級に該当する者に支給される障害厚生年金の額には配偶者加給年金額が加算さるが、その加算対象となる配偶者は65歳未満の者に限られている。
しかしながら、障害厚生年金の加給年金額の対象者となる配偶者が昭和61年4月1日において60歳以上である場合(大正15年4月1日以前に生まれた者である場合)には、その者には、老齢基礎年金が支給されないことから、その代わりに配偶者が65歳に到達した後も加給年金額は引き続き支給されることとされている。
よって、「配偶者の生年月日にかかわらず」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法47条2項、令3条の8、令別表第1
傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生労働大臣が定めるものについては、障害等級3級の障害の状態に該当する。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法48条1項
障害厚生年金の受給権者に対して、更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じた場合には、前後の障害を併合した程度の障害厚生年金を支給することとされているが、併合認定が行われるためには、先発の障害厚生年金が短期間でも障害等級1級又は2級の状態にあったことが必要である。
よって、受給権を取得した当時から障害等級1級又は2級に該当したことのない、障害等級3級の障害厚生年金の受給権者に、更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じた場合であっても、併合認定は行われないため、「前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給される。」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法47条の2第1項
傷病の初診日において被保険者であった者について、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その期間内に障害厚生年金の支給を請求することができる。
よって、事後重症による障害厚生年金は65歳に達する日の前日までの間に請求しなければならず、「65歳以後であっても障害等級に該当した日から3年を経過していなければ、障害厚生年金の支給を請求することができる。」とした問題文は誤りとなる。

  

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