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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成20年厚年-第7問(保険給付等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年厚年-第7問(保険給付等)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)60歳台前半の老齢厚生年金が雇用保険法に規定する基本手当との調整により支給停止されている場合において、支給停止の解除に係る当該調整対象期間の各月における基本手当の支給を受けたとみなされる日に準ずる日として政令で定める日には、雇用保険法に規定する基本手当を支給しないとされる待期の期間に属する日が含まれており、当該待期の日が属する月があるときは、その月は支給停止が解除される。

(B)厚生年金保険法第38条の2に規定される受給権者の申出による年金たる保険給付の支給停止は、申出を行った日の属する月の翌月分から支給停止される。また、支給停止の申出を撤回したときは、その旨の申出を行った日の属する月の翌月分から支給が開始される。

(C)父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60歳に達するまでの期間、その支給が停止されるが、平成8年4月1日前に死亡した者の遺族に該当する父母は、遺族厚生年金の受給権を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある間は、受給権取得時の年齢にかかわらず、60歳に達するまでの期間についても支給される。

(D)老齢厚生年金の受給権者に厚生年金基金が支給する老齢年金給付は、厚生年金基金の規約の有無にかかわらず、老齢厚生年金の受給権の消滅理由以外の理由によって、その受給権を消滅させるものであってはならない。

(E)障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、6年間、その支給が停止されるが、厚生年金基金の障害給付金の受給権者が、当該傷病について労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、厚生年金基金は規約で定めるところにより、当該受給権者の障害給付金の全部又は一部の支給を停止することができる。



■解説

(A)誤り
法附則7条の4、法附則11条の5
60歳台前半の老齢厚生年金(繰上げ支給の老齢厚生年金も含む)の受給権者が、雇用保険法の基本手当を受給する場合には、求職の申込みを行った月の翌月から基本手当の受給期間が経過した月又は所定給付日数の基本手当を受け終わった月までの間(調整対象期間)、全額支給停止されることになっている。
ただし、調整対象期間であっても基本手当を受けたとみなされる月及びこれに準ずる日が1日もない月については、支給停止されないことになっている。
しかしながら、ある月において1日でも基本手当の支給を受けた日がある場合には、60歳台前半の老齢厚生年金等の全額が支給停止となるが、同じ日数分の基本手当を受給した者であっても年金の支給停止月数が異なることになるのは必ずしも合理的なことでないため、基本手当の受給終了後において一定の調整を行うこととされている。(事後清算)
事後清算の具体的な仕組みは、60歳台前半の老齢厚生年金等の支給が停止された月数から、基本手当の支給を受けた日とみなされる日の数を30で除して得た数(1未満の端数は1に切上げ)を控除して得た数が1以上であるときは、年金が支給停止された月のうち、当該控除して得た数に相当する月数分の直近の各月については、支給停止が行われなかったものとみなし、その月分の年金を支給することになっている。
よって、待期の日が属する月の支給停止が必ずしも解除されるとは限らないため、問題文は誤りとなる。

(B)正解
法38条の2、平成19年3月29日庁保険発329009号
受給権者の申出による年金給付の支給停止に係る支給停止及び支給停止解除の時期は、いずれも受給権者が申出をした日(申出書受理日)の属する月の翌月分からとなることとされている。
よって、問題文は正しい。
なお、支給停止及び支給停止の申出の撤回は、支給事由が同一の年金(例えば老齢基礎年金と老齢厚生年金)であっても、それぞれの年金について申し出る必要がある。

(C)正解
法65条の2、法附則72条2項・4項(昭和60年5月1日法律第34号)
夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金については、被保険者が死亡した当時、55歳以上であることが支給の要件とされているが、その場合であっても、その者が60歳に達するまでの間はその支給を停止することとされている。
しかし、平成8年4月1日前に死亡した者の遺族に対する遺族厚生年金については、死亡当時その者の夫、父母又は祖父母が障害等級1級又は2級に該当するものであれば、死亡当時55歳未満であっても遺族とすることとされ、60歳に達するまでの期間についても支給されることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法131条3項
老齢厚生年金の受給権者に厚生年金基金が支給する老齢年金給付は、老齢厚生年金の受給権の消滅理由以外の理由によって、その受給権を消滅させるものであってはならないとされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法54条1項、基金令26条の4
障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、6年間その支給を停止することとされている。
厚生年金基金の障害給付金の受給権者が、次のいずれかに該当することとなったときは、規約で定めるところにより、障害給付金の全部又は一部の支給を停止することができるとされている。
(1)老齢年金給付を支給されたとき
(2)脱退一時金を支給されたとき
(3)当該傷病について労働基準法の規定による障害補償、労働者災害補償保険法の規定による障害(補償)給付、船員保険法による障害を支給事由とする給付を受ける権利を取得したとき
よって、問題文は正解となる。

  

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