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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成21年厚年-第5問(保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成21年厚年-第5問(保険給付)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)厚生年金保険法附則第7条の3に規定する繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者が、65歳に達している厚生年金保険の被保険者である場合において、その被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前までの被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとする。

(B)遺族厚生年金における子の受給権は、当該子が母と再婚した夫(直系姻族)の養子となったことを理由として消滅することはない。

(C)被保険者期間が300月以上である被保険者の死亡により、配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者が2人以上であるときは、それぞれの遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額の計算の例により計算した額の4分の3に相当する額を受給権者の数で除して得た額である。

(D)遺族厚生年金の受給権者である妻で一定の要件を満たす者に加算される中高齢寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使用し算出されるが、経過的寡婦加算の額は、当該妻の生年月日にかかわらず、一定の金額とされている。

(E)65歳未満の被保険者が平成38年4月1日前に死亡した場合であって、当該死亡日において国民年金の被保険者でなかった者については、当該死亡日の前日において当該死亡日の属する月の前々月以前における直近の国民年金の被保険者期間に係る月までの1年間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときは、当該死亡した者の遺族に遺族厚生年金が支給される。(一部改正)



■解説

(A)正解
法43条3項、法附則7条の3第5項、法附則15条の2
厚生年金保険法附則7条の3の規定による繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者が、受給権を取得した後65歳到達前に被保険者期間を有した場合は、その者が65歳に達したときに、退職時改定を伴わずとも年金額の改定を行うこととされている。退職時改定については、65歳に達するまでは退職時改定を行わず、65歳の改定以後に被保険者期間を有した場合は、法43条3項の規定により退職改定が行われることになっている。なお、受給権を取得した後の期間にかかる増額分については、減額措置は講じられないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法63条1項、昭和36年11月7日保文発9826号
遺族年金の受給権者である妻が再婚し、加給年金額対象者の子が妻の夫と養子縁組した場合、子は直系姻族の養子となったものであるから失権しないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法60条1項・4項
配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者が2人以上であるときのそれぞれの遺族厚生年金の額は、受給権者ごとにそれぞれの生年月日に応じて適用される再評価率を乗じて得た平均標準報酬額に基づき、「平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数×3/4」の計算式で算定した額を受給権者の数で除して得た額とされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法62条1項、法附則73条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
中高齢寡婦加算の額は、遺族基礎年金の4分の3に相当する額とされており、経過的寡婦加算の額は、中高齢寡婦加算額から満額の老齢基礎年金の額に生年月日に応じた率を乗じて得た額を控除した額とされている。
よって、「中高齢寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使用し算出」、「経過的寡婦加算の額は、当該妻の生年月日にかかわらず、一定の金額」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法58条1項、法附則64条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
被保険者が死亡した場合及び初診日において被保険者であった者がその傷病により被保険者でなくなった後に死亡した場合(初診日から5年以内)については、死亡日前の被保険者期間中に保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上ある場合について遺族厚生年金を支給することとされている。
しかし、平成38年4月1日前に死亡した者についての保険料納付要件については、死亡日(65歳未満である場合に限る。)の前1年間に保険料の滞納がない場合でも、遺族厚生年金を支給することとしている。
よって、問題文は正解となる。

  

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