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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成22年厚年-第7問(厚生年金保険の保険給付等)
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■平成22年厚年-第7問(厚生年金保険の保険給付等)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)政府は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。また、この場合において、受給権者が既に当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けていたときは、政府は保険給付をしないことができる。

(B)老齢厚生年金の受給権者の死亡に係る遺族厚生年金の額の計算において、老齢厚生年金の受給権を有する配偶者(65歳以上の者に限る。)が遺族であるとき、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数について300か月に満たないときに300か月として計算するが、給付乗率については生年月日による読み替えを行わない。

(C)障害厚生年金の受給権者が、故意または重大な過失によりその障害の程度を増進させたときは、直ちに、その者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当する者として額の改定を行うものとする。

(D)老齢厚生年金の受給権者が、正当な理由がなくて、厚生年金保険法施行規則の規定により行わなければならない届出またはこれに添えるべき書類を提出しない場合には、保険給付の全部または一部を一時停止することができる。

(E)老齢厚生年金の受給権を有する65歳以上の遺族厚生年金の受給権者が、当該遺族厚生年金の裁定請求を行う場合には、厚生労働大臣は、当該受給権者に対し、老齢厚生年金の裁定の請求を求めることとする。



■解説

(A)誤り
法40条2項
政府は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。この場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、保険給付をしないことができるとされている。
よって、「その給付の価額の限度で」という記述が抜けている問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法60条1項、法附則59条1項昭和60年5月1日法律第34号)
遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者又は被保険者であった者の被保険者記録を基礎として老齢厚生年金額の例により計算した額の4分の3に相当する額とされ、短期要件に該当する場合において、その計算の基礎となる被保険者期間が300月に満たない場合は、300月として計算することとされているが、老齢厚生年金の受給権者等の死亡に係る長期要件に該当した場合の遺族厚生年金の額の計算においては300月の被保険者期間の保障は行われない。また、長期要件に該当した場合の遺族厚生年金の額の計算においては、給付乗率の生年月日による読み替えが適用されることになっている。
よって、問題文の事例において、「被保険者期間の月数について300か月に満たないときに300か月として計算する」、「給付乗率については生年月日による読み替えを行わない」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法74条
厚生労働大臣は、障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、職権による増額改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、職権による減額改定を行うことができることとされている。
よって、「直ちに、その者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当する者として額の改定を行う」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法78条
受給権者が、正当な理由がなくて、厚生年金保険法施行規則の規定により行わなければならない届出またはこれに添えるべき書類を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができることになっている。
よって、「保険給付の全部または一部を一時停止することができる」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法33条、則60条の3、平成19年3月29日庁保険発0329009号
遺族厚生年金請求者が老齢厚生年金、退職共済年金又は遺族共済年金の受給権を有しているが、これらの年金が裁定又は決定されていない場合は、裁定又は決定の請求を求めた上で、これらの年金が裁定又は決定された後に当該遺族厚生年金の裁定を行うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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