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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成23年厚年-第2問(厚生年金保険の保険給付)
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■平成23年厚年-第2問(厚生年金保険の保険給付)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)保険給付の受給権者の死亡に係る未支給の保険給付がある場合であって、当該未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、当該同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給する。

(B)厚生年金基金が支給する障害給付金については、年金たる給付として支給するほか、当該受給権者の希望があれば年賦払として支給することができるが、その全部を一括して支給することはできない。(参考問題)

(C)平成16年4月1日以前に受給権を取得した60歳台前半の老齢厚生年金(繰上げ支給の老齢厚生年金を含む。)については、雇用保険法に規定されている基本手当との調整は行わない。

(D)在職老齢年金の支給停止調整額は、法律上、賃金等の変動に応じて改定する仕組みとなっている。平成27年度の在職老齢年金の支給停止調整額については、46万円から47万円に改定された。(一部改正)

(E)障害厚生年金の受給権者が死亡したにもかかわらず、当該障害厚生年金の給付に過誤払いが生じた場合、返還金請求権に係る債務を弁済すべき者に支払うべき老齢厚生年金の支払金の金額を当該過誤払いによる返還金債権の金額に充当することができる。



■解説

(A)誤り
法37条5項
未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなすことになっている。
よって、「当該同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給する。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤りだった
公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63号)が平成26年4月1日に施行され、施行日以後は厚生年金基金の新設は認めないこととし、施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し解散を進めるとともに、厚生年金基金から他の企業年金等への積立金の移行についての特例等が設けられたため参考問題とする。
なお、本問の規定は、存続厚生年金基金については適用される。
厚生年金基金が支給する障害給付金については、年金たる給付として支給するほか、その全部を一括して支給することができる。

(C)誤り
法附則25条1項(平成6年11月9日法律第95号)
雇用保険法の失業給付(基本手当)と60歳台前半の老齢厚生年金との調整は、受給権者が平成10年4月1日以後に老齢厚生年金の受給権を取得した場合に限って適用することとされている。
よって、「平成16年4月1日以前に受給権を取得」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法46条3項、国民年金法による改定率の改定等に関する政令5条
在職老齢年金の支給停止調整額は、48万円に平成17年度以後の各年度の名目賃金変動率を乗じて得た額が1万円単位で変動した場合は改定されることになっており、平成26年度の在職老齢年金の支給停止調整額については46万円、平成27年度・平成28年度については47万円とされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法39条の2、則89条の2
年金たる保険給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権への充当は、次の場合に行うことができる。
(1)年金たる保険給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族厚生年金の受給権者が、当該年金たる保険給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる保険給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。
(2)遺族厚生年金の受給権者が同一支給事由に基づく他の遺族厚生年金の受給権者の死亡に伴う当該遺族厚生年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。
よって、返還金請求権に係る債務を弁済すべき者に支払うべき老齢厚生年金の支払金の金額を過誤払いによる返還金債権の金額に充当することは認められず、問題文は誤りとなる。

  

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