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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成23年厚年-第3問(遺族厚生年金等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成23年厚年-第3問(遺族厚生年金等)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)平成8年4月1日前に死亡した者の遺族に対する遺族厚生年金については、遺族厚生年金の受給権者である夫が55歳未満であっても、障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にあるときは、遺族厚生年金の受給権者となることができるが、その後55歳に達する前にその事情がやんだときは当該受給権は消滅する。

(B)被保険者であった者の死亡により、死亡した者の子(障害等級1級又は2級に該当する者を除く。)が遺族厚生年金の受給権者となった場合において、その後当該子が10歳で父方の祖父の養子となった場合でも、18歳に達する日以後の最初の3月31日が終了するまでは受給権は消滅しない。

(C)平成14年4月1日後に設立された厚生年金基金(同日以前に設立された基金が合併し、又は分割したことにより、同日以後に設立されたものを除く。)が支給する脱退一時金について、老齢年金給付の額が、厚生年金基金令第23条第1号又は第2号により算定される額に、同第3号に規定される加算額を加算する方法によって算定される加入員であって、当該老齢年金給付に当該加算額が加算されないものに支給する脱退一時金は、当該加算額の算定の基礎となる加入員であった期間が3年以上の者に支給するものとされている。(参考問題)

(D)遺族厚生年金の受給権は、遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に到達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日から起算して5年を経過したときに、消滅する。

(E)配偶者の死亡に係る遺族厚生年金の遺族の取扱いについて、離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされている場合には、その後に事実上婚姻関係と同様の事情にあり、当事者間に、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があり、その事実関係が存在するときであっても、配偶者の死亡に係る遺族厚生年金の遺族とはしない。



■解説

(A)正解
法附則72条(昭和60年5月1日法律第34号)
平成8年4月1日前に死亡した者の遺族に対する遺族年金については、死亡の当時その者の夫、父母、祖父母が障害等級1級又は2級に該当するものであれば、死亡の当時55歳未満であっても遺族とすることとされている。これは、夫、父母、祖父母についての年齢要件の取扱いが昭和60年改正で改められたことに伴う経過措置である。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法63条
障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にない子の場合、直系血族及び直系姻族の養子となった場合であっても、遺族厚生年金の受給権は、18歳に達した日以後最初の3月31日が終了するまで失権しない。
設問の事例の場合、父方の祖父は受給権者である子からみて直系血族となるため、養子になっても遺族厚生年金の受給権は失権しない。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解だった
公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63号)が平成26年4月1日に施行され、施行日以後は厚生年金基金の新設は認めないこととし、施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し解散を進めるとともに、厚生年金基金から他の企業年金等への積立金の移行についての特例等が設けられたため参考問題とする。
なお、本問の規定は、存続厚生年金基金については適用される。
老齢年金給付の額が、厚生年金基金令第23条第1号又は第2号により算定される額に、同第3号に規定される加算額を加算する方法によって算定される加入員であって、当該老齢年金給付に当該加算額が加算されないものに支給する脱退一時金は、当該加算額の算定の基礎となる加入員であった期間が3年以上の者に支給するものとされている。
なお、平成14年4月1日前に設立された基金(同日以後に当該基金が合併し、又は分割したことにより設立された基金を含む。)にあっては、当分の間、この規定は適用しないこととされている。

(D)正解
法63条
30歳未満で遺族厚生年金及び遺族基礎年金の受給権を取得した妻が、その受給権取得後30歳未満である間に遺族基礎年金の受給権が消滅(子の死亡、離縁、18歳到達等)した場合は、当該遺族基礎年金の失権から5年を経過したときに遺族厚生年金の受給権が失権することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法3条2項、法59条、平成23年3月23日年発0323第1号
離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているにもかかわらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者の取扱いについては、その者の状態が次の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定するものとされている。
(1)当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること
(2)当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること
よって、問題文の場合は、配偶者の死亡に係る遺族厚生年金の遺族とされるため、誤りの肢となる。

  

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