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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成23年厚年-第4問(障害厚生年金)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成23年厚年-第4問(障害厚生年金)

障害厚生年金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)障害厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。

(B)障害厚生年金(その権利を取得した当時から1級又は2級に該当しないものを除く。以下本肢において同じ。)の受給権者が、更に障害厚生年金の受給権を取得した場合に、新たに取得した障害厚生年金が、労働基準法第77条の規定に定める障害補償を受ける権利を取得したことによりその支給を停止すべきものであるときは、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害厚生年金を支給する。

(C)障害厚生年金の受給権者は、厚生年金保険法施行令第3条の8に定める程度の障害の状態に該当しなくなったときは、速やかに、所定の事項を記載した届書を、日本年金機構に提出しなければならない。

(D)傷病の初診日において65歳未満の被保険者であり、障害認定日において障害等級の1級、2級又は3級に該当する程度の障害の状態にあり、かつ保険料納付要件を満たしているときは、当該障害に係る障害認定日が65歳に達する日前までになくても、障害厚生年金を支給する。

(E)老齢基礎年金(繰上げ支給を含む。)の受給権者又は65歳以上の者であって、かつ障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一事由に基づく障害基礎年金(障害の程度により支給停止となっているものを含む。)の受給権を有しないものに限る。)は、障害の程度が増進しても障害厚生年金の額の改定を請求することはできない。



■解説

(A)誤り
法38条1項
障害厚生年金は、同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できるが、老齢基礎年金及び付加年金、遺族基礎年金とは併給できない。
よって、「老齢基礎年金及び付加年金と併給できる」とした問題文は誤りとなる。

併給調整のまとめ
老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金
老齢厚生年金 ×
障害厚生年金 × ×
遺族厚生年金
※○可能、△65歳以後可能、×不可

(B)正解
法49条2項
障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く。)の受給権者が更に障害厚生年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害厚生年金が労働基準法77条の規定による障害補償を受ける権利を取得したことによりその支給を停止すべきものであるときは、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害厚生年金が支給されることとなる。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
則48条1項
障害厚生年金の受給権者は、厚生年金保険法施行令第3条の8に定める程度の障害の状態に該当しなくなったときは、速やかに、所定の事項を記載した届書を、日本年金機構に提出しなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者、これらの者に係る事業主及び第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間又は第4号厚生年金被保険者期間に基づく保険給付の受給権者については、この規定は、適用しないこととされている。(法98条5項)

(D)正解
法47条
傷病の初診日に被保険者であり、障害認定日において障害等級1級から3級に該当し、保険料納付要件を満たしている場合は、当該障害に係る障害認定日に65歳未満であるかどうかに関係なく、障害厚生年金の受給権を取得することになる。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法52条7項、法附則16条の3第2項
障害の程度が増進したことにより障害厚生年金について3級から2級への等級変更があった場合、事後重症による障害基礎年金の支給の請求があったとみなすことにより、2級の障害厚生年金には必ず2級の障害基礎年金が合わせて支給されることになっている。しかしながら、事後重症による障害基礎年金の受給権の発生は65歳到達時までに限られているため、65歳以後に障害の状態が3級から2級に増進した場合には障害基礎年金は支給されない。このような場合に2級の障害厚生年金のみが支給されることのないよう、65歳以後は3級から2級以上への等級改定は行わないこととされている。
なお、65歳以上の3級障害厚生年金の受給権者のうち、以前に2級の障害状態に該当していたことがあり、障害基礎年金の受給権を有しているものについては、前記のような問題が生じないため、障害の状態が増進して再び2級に該当したときは、障害基礎年金については支給が解除され、障害厚生年金についても3級から2級に等級改定が行われることとされている。
この規定の適用において、老齢基礎年金の繰上げ受給者については65歳到達者として取り扱われることになっている。
よって、問題文は正解となる。

  

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