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■平成23年厚年-第6問(厚生年金保険法の時効)

厚生年金保険法の時効に関する次の記述(ただし「厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律」が適用される場合を除く。)のうち、誤っているものはどれか。

(A)保険料を徴収する権利は、2年を経過したとき、時効により消滅する。

(B)保険料以外の、厚生年金保険法の規定による徴収金を徴収する権利は、2年を経過したとき、時効により消滅する。

(C)保険給付を受ける権利は、5年を経過したとき、時効により消滅する。

(D)年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されたときは、中断する。

(E)保険料その他、厚生年金保険法の規定による徴収金の納入の告知又は第86条第1項の規定による督促は、民法第153条の催告に関する規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。



■解説

(A)正解
法92条1項
厚生年金保険事業においては、早期にその法律関係を安定させる観点から、一定の債権について短期消滅時効や受給権についての消滅時効が規定されている。
2年の短期消滅時効の対象になるのは保険料その他厚生年金保険法による徴収金を徴収する国の権利と国からその還付を受ける権利となっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法92条1項
厚生年金保険事業においては、早期にその法律関係を安定させる観点から、一定の債権について短期消滅時効や受給権についての消滅時効が規定されている。
2年の短期消滅時効の対象になるのは保険料その他厚生年金保険法による徴収金を徴収する国の権利と国からその還付を受ける権利となっている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法92条1項
厚生年金保険事業においては、早期にその法律関係を安定させる観点から、一定の債権について短期消滅時効や受給権についての消滅時効が規定されている。
保険給付を受ける権利(いわゆる基本権)と基本権に基づき支払期月ごとに年金給付の支給を受ける権利(いわゆる支分権)は5年で時効消滅することとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、いわゆる支分権については、公法上の金銭債権に該当するものであることから、年金時効特例法による厚生年金保険法の改正前までは、会計法の規定が適用され、時効の援用を要せず、その権利発生から5年で自動的に時効消滅することとされてきたところであるが、年金制度において年金記録が事後的に訂正される可能性があるなど支分権が時効の援用を要せず、自動的に時効消滅することが必ずしも適当でない場合があることが明らかとなったために会計法の規定を適用しないこととされた。(法92条4項)
また、いわゆる基本権については、年金時効特例法による改正前においても、民法の規定により個別に時効の援用を行った場合に限り、当該権利が時効消滅するという取扱いがなされていたが、法92条4項の規定を設けることにより会計法の規定が適用されないことが明確化された。

(D)誤り
法92条2項
年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しないこととされている。
よって、「中断する」とした問題文は誤りとなる。
この規定は、例えば、業務上の事故で労働基準法による障害補償または遺族補償を受けることができるときは、障害厚生年金または遺族厚生年金は6年間その支給を停止されることになっていることから、6年経過後にはじめて裁定請求がなされる事例が少なくない。その場合、時効か完成して支給が受けられないということを防ぐため、保険給付がその全額について支給を停止されている間は、消滅時効は進行しないこととされているものである。

(E)正解
法92条3項
保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の納入の告知又は法86条1項の規定による督促については、催告は6か月以内に裁判上の請求等の手続きをとらないと時効中断の効力を生じない旨を定めた民法153条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有することとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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