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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成26年厚年-第4問(脱退一時金)
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■平成26年厚年-第4問(脱退一時金)

日本国籍を有しない者に対する脱退一時金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)老齢厚生年金の受給資格期間を満たしているが、受給開始年齢に達していないため、老齢厚生年金の支給を受けていない者は、脱退一時金を請求することができる。

(B)脱退一時金を請求した者が、当該脱退一時金を受給する前に死亡した場合、一定の遺族は未支給の脱退一時金を請求することができる。

(C)障害手当金の受給権を有したことがある場合であっても、脱退一時金を請求することができる。

(D)最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して1年を経過しているときは、脱退一時金を請求することができない。

(E)脱退一時金の額は、最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月の標準報酬月額に、被保険者であった期間に応じた支給率を乗じて得た額とする。



■解説

(A)誤り
法附則29条1項
脱退一時金は、(1)請求のときに日本国籍を有していないこと、(2)厚生年金保険の被保険者期間が6月以上であること、(3)老齢厚生年金等の保険料納付要件を満たしていないこと、(4)脱退一時金の請求をしたことが支給要件となっている。
よって、老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者には脱退一時金は支給されないため、問題文は誤りとなる。

(B)正解
法附則29条8項
脱退一時金は形式上、法32条の規定する保険給付には含まれていないが、法附則29条8項で保険給付についての関係規定を準用しており、未支給の保険給付の規定も適用される。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法附則29条1項2号、令12条
脱退一時金の支給要件に該当している場合であっても、本人の納付した保険料が障害厚生年金等の給付の受給権に結びついたことがある場合は脱退一時金の支給を請求でききないことになっている。
よって、「脱退一時金を請求することができる。」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法附則29条1項3号
脱退一時金は、支給要件を満たしている場合であっても、最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた場合は、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているときは請求できないことになっている。
よって、「1年を経過しているとき」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法附則29条3項・4項
脱退一時金の額は、平均標準報酬額に被保険者期間に応じた次の支給率を乗じて得た額となっている。
よって、「最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月の標準報酬月額」とした問題文は誤りとなる。

原則的な支給率
被保険者期間 支給率
6月以上12月未満 保険料率×2分の1×6
12月以上18月未満 保険料率×2分の1×12
18月以上24月未満 保険料率×2分の1×18
24月以上30月未満 保険料率×2分の1×24
30月以上36月未満 保険料率×2分の1×30
36月以上 保険料率×2分の1×36

※保険料率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月の保険料率(最終月が1月から8月までの場合にあっては、前々年10月の保険料率)を用いる。
※支給率に少数点以下一位未満の端数があるときは、四捨五入する。

平成17年4月1日前の被保険者期間のみの場合
被保険者期間 支給率
6月以上12月未満 0.4
12月以上18月未満 0.8
18月以上24月未満 1.2
24月以上30月未満 1.6
30月以上36月未満 2.0
36月以上 2.4

(参考)
平均標準報酬額
各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を被保険者期間の月数で除して得た額とされている。
平成15年4月1日前の被保険者期間がある場合は、平成15年4月1日前の各月の標準報酬月額に1.3を乗じて得た額と平成15年4月1日以後の各月の標準報酬月額及び標準賞与額を合算した額を全被保険者期間の月数で除して得た額となる。
なお、標準報酬月額及び標準賞与額は再評価前のものを使用することになっている。

  

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