社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成26年厚年-第10問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年厚年-第10問(法令全般関係)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)育児休業中で厚生年金保険料が免除されている者に対して賞与が支給された場合、当該賞与に係る厚生年金保険料は免除されるため、賞与支払届を提出する必要はない。

(B)遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない場合、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したときに、その受給権は消滅する。

(C)障害基礎年金の受給権者である男性が65歳で遺族厚生年金の受給権を得た場合、それぞれを併給することができる。

(D)障害等級2級の障害厚生年金を受給する者が死亡した場合、遺族厚生年金を受けることができる遺族の要件を満たした者は、死亡した者の保険料納付要件を問わず、遺族厚生年金を受給することができる。この場合、遺族厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300か月に満たないときは、これを300か月として計算する。

(E)60歳を定年とする適用事業所における被保険者が、定年退職後も引き続き再雇用されるときは、定年退職した時点で特別支給の老齢厚生年金の受給権を有していない場合であっても、使用関係が一旦中断したものとみなし、当該適用事業所の事業主は、被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出することができる。



■解説

(A)誤り
法81条の2、則19条の5
育児休業等の申出をしていて厚生年金保険料が免除されている被保険者に対して賞与が支給された場合、当該賞与に対する保険料についても免除の対象となるが、その場合であっても賞与支払届の提出は必要とされている。
よって、「賞与支払届を提出する必要はない。」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法63条1項
子を養育しない妻が受給する遺族厚生年金のうち夫の死亡時において30歳未満である妻が受給する遺族厚生年金については、一定期間(5年間)を経過した時点で失権することとされている。具体的な要件は次のとおりとなっている。
(1)30歳未満で遺族厚生年金の受給権のみを取得した妻が、その受給権取得以後に胎児出生により遺族基礎年金の受給権を取得することなく5年が経過したとき
(2)30歳未満で遺族厚生年金及び遺族基礎年金の受給権を取得した妻が、その受給権取得後30歳未満である間に遺族基礎年金の受給権が消滅した場合は、当該遺族基礎年金の失権から5年を経過したとき
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法38条、法附則17条
65歳に達した後は、障害基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と遺族厚生年金の併給が可能となっている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法58条、法60条1項
障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡した場合の遺族厚生年金の支給要件においては、保険料納付要件は問われない。
遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者又は被保険者であった者の被保険者記録に基づき老齢厚生年金額計算の例により算出した額の4分の3に相当する額であるが、短期要件に該当する場合において、その計算の基礎となる被保険者期間が300月に満たない場合は、300月として計算することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
平成25年1月25日保保発0125第1号・年年発0125第1号・年管管発0125第1号
健康保険法及び厚生年金保険法においては、一定の事業所に使用される者が事業主との間に事実上の使用関係が消滅したと認められる場合にその被保険者の資格を喪失するものと解されている。
したがって、同一の事業所においては雇用契約上一旦退職した者が一日の空白もなく引き続き再雇用された場合は、退職金の支払いの有無又は身分関係若しくは職務内容の変更の有無にかかわらず、その者の事実上の使用関係は中断することなく存続しているものであるから、被保険者の資格も継続するものとされている。
しかしながら、60歳以上の者で、退職後継続して再雇用されるものについては、使用関係が一旦中断したものと見なし、事業主から被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出させる取扱いとして差し支えないこととされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、この取扱いをおこなう場合には、被保険者資格取得届にその者が退職をした後、新たな雇用契約を結んだことを明らかにできる書類(事業主の証明書等)を添付することになっている。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(厚生年金保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved