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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成28年厚年-第9問(法令全般関係)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)第1号厚生年金被保険者期間が15年、第3号厚生年金被保険者期間が18年ある老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金は、それぞれの被保険者期間に応じてそれぞれの実施機関から支給される。

(B)障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したとしても、それらは併給されないため、いずれか一方のみを受給することができるが、遺族厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したときは、それらの両方を受給することができる。

(C)厚生年金保険法第78条の6第1項及び第2項の規定によるいわゆる合意分割により改定され、又は決定された標準報酬は、その改定又は決定に係る標準報酬改定請求のあった日から将来に向かってのみその効力を有する。

(D)障害厚生年金は、その受給権者が当該障害厚生年金に係る傷病と同一の傷病について労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を取得したときは、6年間その支給を停止する。

(E)適用事業所に平成28年3月1日に採用され、第1号厚生年金被保険者の資格を取得した者が同年3月20日付けで退職し、その翌日に被保険者資格を喪失し国民年金の第1号被保険者となった。その後、この者は同年4月1日に再度第1号厚生年金被保険者となった。この場合、同年3月分については、厚生年金保険における被保険者期間に算入されない。



■解説

(A)正解
法78条の32第2項
長期要件による二以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る遺族厚生年金については、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとにそれぞれの実施機関から支給されることになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、この場合の年金額は、死亡した者に係る二以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして遺族厚生年金を計算し、その額をそれぞれの種別の被保険者期間に応じて按分することとされている。

(B)正解
法38条1項、法附則17条
受給権者が65歳に達しているときであっても、老齢基礎年金と障害厚生年金は併給されず、どちらか一方を選択して受給することになっている。
一方、受給権者が65歳に達しているときは、老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給が可能である。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法78条の6第4項
実施機関は、標準報酬改定請求があった場合において、第1号改定者が標準報酬月額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準報酬月額をそれぞれ次に定める額に改定し、又は決定することができる。(標準賞与額についても同様。)
なお、この場合において、改定され、又は決定された標準報酬は、当該標準報酬改定請求のあった日から将来に向かってのみその効力を有することとされている。
(1)第1号改定者
改定前の標準報酬月額に1から改定割合を控除して得た率を乗じて得た額
(2)第2号改定者
改定前の標準報酬月額(標準報酬月額を有しない月にあつては、零)に、第1号改定者の改定前の標準報酬月額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額
※改定割合とは、按分割合を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した率をいう。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法54条1項
障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、6年間その支給を停止することとされているが、同一の傷病について、労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付の受給権を取得しても支給停止とはならない。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)正解
法19条2項
被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したとき(同月得喪)は、その月を1か月として被保険者期間に算入することとされているが、その月に更に国民年金第1号被保険者になった場合、その月は国民年金の被保険者期間とされ、厚生年金保険の被保険者期間とはならない。
問題文の場合は、平成28年3月21日に厚生年金保険の資格を喪失し同月得喪をしたが、その日に国民年金第1号被保険者となり、平成28年4月1日に再度、厚生年金保険の被保険者資格を取得しているため、3月は国民年金の被保険者期間となる。
よって、問題文は正解となる。

  

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