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■平成29年厚年-第6問(離婚時の年金分割)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問における合意分割とは、厚生年金保険法第78条の2に規定する離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例をいう。

(A)障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間に係る標準報酬が、合意分割により改定又は決定がされた場合は、改定又は決定後の標準報酬を基礎として年金額が改定される。ただし、年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たないため、これを300月として計算された障害厚生年金については、離婚時みなし被保険者期間はその計算の基礎とされない。

(B)厚生年金保険法第78条の14の規定によるいわゆる3号分割の請求については、当事者が標準報酬の改定及び決定について合意している旨の文書は必要とされない。

(C)離婚時みなし被保険者期間は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算の基礎とはされない。

(D)離婚が成立したが、合意分割の請求をする前に当事者の一方が死亡した場合において、当事者の一方が死亡した日から起算して1か月以内に、当事者の他方から所定の事項が記載された公正証書を添えて当該請求があったときは、当事者の一方が死亡した日の前日に当該請求があったものとみなされる。

(E)第1号改定者及び第2号改定者又はその一方は、実施機関に対して、厚生労働省令の定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報の提供を請求することができるが、その請求は、離婚等が成立した日の翌日から起算して3か月以内に行わなければならない。



■解説

(A)正解
法78条の10第2項
障害厚生年金の受給権者について、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときに被保険者期間の月数を300として計算されている場合は、離婚時の標準報酬の決定又は改定されたときの年金額の改定において、離婚時みなし被保険者期間は当該障害厚生年金の年金額の計算の基礎としないことになっている。(離婚時みなし被保険者期間の標準報酬を年金額の計算の基礎に含めると平均標準報酬が下がり障害厚生年金の額が下がることになるため)
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法78条の14
特定被保険者と被扶養配偶者(特定被保険者の配偶者として第3号被保険者であった者)が離婚又は婚姻の取消しをしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるときは、第3号被保険者であった配偶者は、特定期間(被扶養配偶者の第3号被保険者期間)に係る被保険者期間の標準報酬の改定及び決定を請求できる。この場合において、当事者が標準報酬の改定及び決定について合意している旨の文書は必要とされていない。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法附則17条の10
離婚時の年金分割により標準報酬が改定等された者について、離婚時のみなし被保険者期間については定額部分の額の算定の基礎に含めないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法78条の2第3項、令3条の12の7
合意分割の請求をする前に当事者の一方が死亡した場合において、当事者の一方が死亡した日から起算して1か月以内に、当事者の他方から所定の事項が記載された公正証書を添えて当該請求があったときは、当事者の一方が死亡した日の前日に当該請求があったものとみなされることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法78条の4第1項
当事者又はその一方は、実施機関に対し、厚生労働省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要となる対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲、これらの算定の基礎となる期間等についての情報の提供を請求することができる。
ただし、当該請求が標準報酬改定請求後に行われた場合、標準報酬改定請求の請求期限経過後(離婚等が成立した日の翌日から起算して2年経過後)に行われた場合、前回情報の提供を受けた日の翌日から起算して3月を経過していない場合等には行うことができないとされている。
よって、問題文は誤りとなる。

  

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