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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 令和1年雇用-第2問(基本手当の日額)
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■令和1年雇用-第2問(基本手当の日額)

基本手当の日額に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

(ア)育児休業に伴う勤務時間短縮措置により賃金が低下している期間中に事業所の倒産により離職し受給資格を取得し一定の要件を満たした場合において、離職時に算定される賃金日額が勤務時間短縮措置開始時に離職したとみなした場合に算定される賃金日額に比べて低いとき、勤務時間短縮措置開始時に離職したとみなした場合に算定される賃金日額により基本手当の日額を算定する。

(イ)基本手当の日額の算定に用いる賃金日額の計算に当たり算入される賃金は、原則として、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の3か月間に支払われたものに限られる。

(ウ)受給資格に係る離職の日において60歳以上65歳未満である受給資格者に対する基本手当の日額は、賃金日額に100分の80から100分の45までの範囲の率を乗じて得た金額である。

(エ)厚生労働大臣は、4月1日からの年度の平均給与額が平成27年4月1日から始まる年度(自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。

(オ)失業の認定に係る期間中に得た収入によって基本手当が減額される自己の労働は、原則として1日の労働時間が4時間未満のもの(被保険者となる場合を除く。)をいう。

(A)一つ
(B)二つ
(C)三つ
(D)四つ
(E)五つ



■解説

(ア)正解
法17条3項、平成26年7月17日厚生労働省告示292号、行政手引50661
離職直前の賃金に基づいて算定した額を賃金日額とすることが適当でないと認められる場合には、厚生労働大臣が定めるところにより算定する額を賃金日額とするとされており、このうち、育児休業、介護休業又は育児・介護に伴う勤務時間短縮措置により賃金が喪失、低下している期間中又はその直後に倒産・解雇等の理由等により離職し、受給資格を取得し一定の要件を満たした場合については、離職時に算定される賃金日額が、短縮措置等開始時に離職したとみなした場合に算定される賃金日額に比べて低い場合は、短縮措置等開始時に離職したとみなした場合に算定される賃金日額により基本手当の日額を算定することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(イ)誤り
法17条1項
基本手当の日額の算定に用いる賃金日額の計算に当たり算入される賃金は、原則として、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6か月間に支払われたものとされている。
よって、「3か月間」とした問題文は誤りとなる。

(ウ)正解
法16条
受給資格に係る離職の日において60歳以上65歳未満である受給資格者に対する基本手当の日額は、賃金日額に100分の80から100分の45までの範囲の率を乗じて得た金額とされている。
これは、高齢期においては賃金が年齢とともに低下する傾向にあることから、他の年齢層と同じ給付率とすると60歳以上65歳未満の高賃金層の者を中心に基本手当の水準が割高になり過ぎ、高齢者の再就職賃金の実態を勘案すれば、他の年齢層と比較して再就職の大きな阻害要因となることから、特に高賃金層について基本手当の日額が高くなり過ぎないよう、給付率について必要な調整を行うこととしたためである。
よって、問題文は正解となる。

(エ)正解
法18条1項
厚生労働大臣は、年度(4月1日から翌年の3月31日までをいう。)の平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者1人当たりの給与の平均額をいう。)が平成27年4月1日から始まる年度(この規定により自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(オ)正解
法19条1項、行政手引51255
失業の認定を受けるべき期間中において受給資格者が就職した日があるときは、就職した日についての失業の認定は行わない。また、その期間中に自己の労働によって収入を得た場合には、その収入の額に応じて基本手当等の支給額を減額する場合がある。
自己の労働による収入とは、就職には該当しない短時間の就労等による収入であり、原則として1日の労働時間が4時間末満のもの(被保険者となる場合を除く。)をいう(雇用関係の有無は問わない)。
よって、問題文は正解となる。
なお、1日の労働時間が4時間未満であっても、それに専念するため安定所の職業紹介にすぐには応じられないなど、他に求職活動を行わない場合は、当然に、労働の意思及び能力がないものとして取り扱うものとされている。

※誤っているものは、(イ)であるため、(A)が正解となる。

  

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