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■平成22年雇用-第2問(特定理由離職者)

雇用保険法第13条第2項に規定する特定理由離職者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、以下において、「基準日」とは当該受給資格に係る離職の日をいう。

(A)特定理由離職者については、基準日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば、基準日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上なくても、他の要件をみたす限り、基本手当を受給することができる。

(B)労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者は、特定理由離職者に当たらない。

(C)契約期間を1年とし、期間満了に当たり契約を更新する場合がある旨を定めた労働契約を、1回更新して2年間引き続き雇用された者が、再度の更新を希望したにもかかわらず、使用者が更新に合意しなかったため、契約期間の満了により離職した場合は、特定理由離職者に当たる。

(D)基準日が平成21年3月31日から平成29年3月31日までの間である場合、特定理由離職者である受給資格者についてはすべて、基本手当の支給に当たり、特定受給資格者と同じ所定給付日数が適用される。(一部改正)

(E)結婚に伴う住所の変更のため通勤が不可能になったことにより離職した者は、特定理由離職者に当たる。



■解説

(A)正解
法13条
特定理由離職者として失業した場合(離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あることにより基本手当の支給を受けることができる資格を有することとなる者を除く。)において、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上であったときは、所定の手続きを行うことにより基本手当の支給を受けることができる。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法23条2項、則36条2号
労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職したものは特定受給資格者となる。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法13条3項、則19条の2
期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)は、特定理由離職者となる。
なお、この場合においても、(1)期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者、(2)期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(前記(1)に該当する場合を除く。)については、特定理由離職者とならず特定受給資格者となるので注意すること。
よって、問題文は正解となる。
※労働契約において、契約更新条項が「契約を更新する場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではない場合がこの基準に該当する。

(D)誤り
法附則4条、則附則18条
特定理由離職者(「正当な理由のある自己都合により離職した者」については、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上ないが、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることにより受給資格を有することとなる者に限る。)であって、基本手当の受給資格に係る離職日が平成21年3月31日から平成29年3月31日までの間であるものについての基本手当については、当該受給資格者(就職困難者である受給資格者を除く)を特定受給資格者とみなして受給期間、所定給付日数の規定が適用されることになっている。
よって、「すべて、基本手当の支給に当たり、特定受給資格者と同じ所定給付日数が適用される」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法13条3項、則19条の2
結婚に伴う住所の変更より、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者は、特定理由離職者となる。
よって、問題文は正解となる。


(参考)
特定受給資格者の範囲

1.「倒産」等により離職した者
(1)倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続きの申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
(2)事業所において大量雇用変動の場合(1ヶ月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
(3)事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
(4)事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

2.「解雇」等により離職した者
(1)解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
(2)労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
(3)賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2ヶ月以上となったこと等により離職した者
(4)賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
(5)離職の直前3ヶ月間に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する時間(各月45時間)を超える時間外労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
(6)事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
(7)期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
(8)期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
(上記(7)に該当する場合を除く。)
(9)上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者及び事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかった場合
(10)事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
(11)事業主において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3ヶ月以上となったことにより離職した者
(12)事業主の業務が法令に違反したため離職した者

特定理由離職者の範囲
1.期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)(上記「特定受給資格者の範囲」の2の(7)及び(8)に該当する場合を除く。)
※労働契約において、契約更新条項が「契約を更新する場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではない場合がこの基準に該当する。

2.以下の正当な理由のある自己都合により離職した者
(1)体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
(2)妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条1項の受給期間延長措置を受けた者
(3)父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする家族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職をした場合
(4)配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した場合
(5)次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
・結婚に伴う住所の変更
・育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
・事業所の通勤困難な地への移転
・自己の意思に反して住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
・鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
・事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
・配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
(6)その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2の(10)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

  

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