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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成26年雇用-第1問(被保険者期間と基本手当の受給資格)
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■平成26年雇用-第1問(被保険者期間と基本手当の受給資格)

被保険者期間と基本手当の受給資格に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、以下において「被保険者期間」とは、雇用保険法第14条に規定する被保険者期間のことである。


(A)事業主が健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったことで健康障害の生ずるおそれがあるとして離職した者は、当該離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば、他の要件を満たす限り、基本手当を受給することができる。

(B)最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が高年齢受給資格を取得したことがある場合には、当該高年齢受給資格に係る離職の日以前における被保険者であった期間は、被保険者期間に含まれない。

(C)被保険者であった者が、離職の日まで業務外の事由による傷病のため欠勤し引き続き6か月間賃金を受けていなかった場合、雇用保険法第13条第1項にいう「離職の日以前2年間」は、2 年間にその6か月間を加算した期間となる。

(D)事業主の命により離職の日以前外国の子会社に出向していたため日本での賃金の支払いを引き続き5年間受けていなかった者は、基本手当の受給資格を有さない。

(E)被保険者が平成26年4月1日に就職し、同年9月25日に離職したとき、同年4月1日から4月25日までの間に賃金の支払の基礎になった日数が11日以上あれば、被保険者期間は6か月となる。



■解説

(A)正解
法23条2項、則36条、特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
事業主が健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったことで健康障害の生ずるおそれがあるとして離職した者は、特定受給資格者に該当し、当該離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば、他の要件を満たす限り、基本手当を受給することができる。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
特定受給資格者の範囲

「倒産」等により離職した者
(1)倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
(2)事業所において大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
(3)事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
(4)事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
「解雇」等により離職した者
(1)解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
(2)労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
(3)賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者
(4)賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
(5)離職の直前6か月間のうちに3月連続して45時間、1月で100時間又は2〜6月平均で月80時間を超える時間外労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
(6)事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者
(7)事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
(8)期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
(9)期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(8)に該当する者を除く。)
(10)上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者、事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者及び事業主が職場における妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者
(11)事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
(12) 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者
(13)事業所の業務が法令に違反したため離職した者

(B)正解
法14条2項
被保険者期間を計算する場合において、最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得したことがある場合には、当該受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格に係る離職の日以前における被保険者であった期間は、受給資格等による受給の有無にかかわらず、被保険者であった期間に含めないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法13条1項、行政手引50151
被保険者期間の算定対象期間は、原則として、離職の日以前2年間(受給資格に係る離職理由が特定理由離職者又は特定受給資格者に該当する場合は2年間又は1年間)(原則算定対象期間)であるが、当該期間に疾病、負傷その他一定の理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を原則算定対象期間に加算した期間(最大限4年間)について被保険者期間を計算することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法13条1項、行政手引50151
被保険者期間の算定対象期間は、原則として、離職の日以前2年間(受給資格に係る離職理由が特定理由離職者又は特定受給資格者に該当する場合は2年間又は1年間)(原則算定対象期間)であるが、当該期間に疾病、負傷その他一定の理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を原則算定対象期間に加算した期間(最大限4年間)について被保険者期間を計算することとされている。
よって、受給延長が認められるのは最大で4年間であり、「日本での賃金の支払いを引き続き5年間受けていなかった者」は被保険者期間がないため、受給資格が発生しないため、問題文は正解となる。
なお、事業主の命による外国における勤務(いわゆる海外出向と称されるもので、事業主との間に雇用関係を存続させたまま、事業主の命により一定の期間海外にあるわが国の雇用保険の適用されない事業主のもとで雇用されるような場合)は受給要件の緩和が認められることになっている。(行政手引50152)

(E)誤り
法14条1項
被保険者期間の計算は、被保険者であった期間を離職の日からさかのぼって1か月ごとに区切っていき、このように区切られた1か月の期間に賃金支払の基礎となった日数が11日以上あるときに、その1か月の期間を被保険者期間の1か月として計算し、賃金支払の基礎となった日数が10日以下のときは、被保険者期間には含めないこととしている。このように1か月ごとに区切っていくことにより1か月未満の期間が生じる場合があるが、この場合には、その期間の日数が15日以上であり、かつ、その期間内に賃金支払の基礎となった日数が11日以上であるときは、その期間を被保険者期間の2分の1として計算することとされている。
問題文の事例の場合は、9月25日に離職しているので資格喪失日は9月26日となり、そこから1か月ごとに区切っていくと喪失応当日は、8月26日、7月26日、6月26日、5月26日、4月26日となる。
資格取得日が4月1日であるため最初の期間は4月1日から4月25日となるが、この期間の日数が15日以上あるため賃金支払基礎日数が11日以上あれば、この期間は2分の1か月として被保険者期間に算入することになる。
よって、問題文の事例の場合の被保険者期間は5か月と2分の1か月となり、「被保険者期間は6か月となる。」とした問題文は誤りとなる。

  

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