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■平成26年雇用-第3問(雇用保険法に定める賃金)

雇用保険法に定める賃金に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組み合わせは、後記AからEまでのうちどれか。

(ア)月あたり一定の時間外労働があったものとみなして支給される定額残業手当が、実際に行われた時間外労働に基づいて算出された額を上回るとき、その差額は賃金に含まれない。

(イ)賃金日額の最高限度額は45歳以上60歳未満が最も高いが、最低限度額は年齢に関わりなく一律である。

(ウ)賃金日額の計算にあたり算入される賃金は、被保険者期間として計算された最後の3か月に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金を除く)の総額を90で除して得た額とされている。

(エ)支払義務が確定した賃金であって所定の支払日を過ぎてもなお支払われていない賃金は、賃金日額の算定対象に含まれる。

(オ)事業主が労働の対償として労働者に住居を供与する場合、その住居の利益は賃金日額の算定対象に含まない。

(A)(アとイ)

(B)(アとウ)

(C)(イとエ)

(D)(ウとオ)

(E)(エとオ)



■解説

(ア)誤り
法4条、行政手引50402
雇用保険法による賃金とは、賃金、給料、手当その他名称の如何を問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてものをいうのであるが、この場合、労働の対償として支払われるものとは、現実に提供された労働に対して支払われるもののみを意味するものではなく、一般に、契約その他によってその支給が事業主の義務とされるものを意味すると解されている。
よって、「定額残業手当が、実際に行われた時間外労働に基づいて算出された額を上回るとき、その差額は賃金に含まれない。」とした問題文は誤りとなる。

(イ)正解
法17条4項
算定された賃金日額については最高額の制限をするとともに、最低額が保障されており、算定された額が最低額を下回る場合はその最低額、最高額を超える場合はその最高額を賃金日額とすることとされている。
賃金日額の最高額については、離職日において45歳以上60歳未満の者が最も高く設定されている。
よって、問題文は正解となる。

(ウ)誤り
法17条1項
基本手当の算定の基礎となる賃金は、受給資格者の離職した月に最も近い月の賃金をとるべきであるが、離職した月の賃金のみによって基本手当の算定をすることとすれば、事業主が意図的に離職の月の賃金を名目的に増額し、退職手当金の減額を図るという不正の介在する余地が大きくなり、逆に、たまたま離職した月のみの賃金が通常の月より低い場合には、その離職者にとってはなはだ不利となる結果ともなるため、基本手当算定の基礎となる賃金日額を被保険者が離職した月前の最後の6か月の被保険者期間として計算された月に支払われた賃金の平均日額(6か月間に支払われた賃金の合計を180で除して得た額)によることとされている。
なお、臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は賃金総額から除かれることになっている。
よって、「最後の3か月に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金を除く)の総額を90で除して得た額」とした問題文は誤りとなる。

(エ)正解
行政手引50609
賃金日額を算定するにあたり、未払賃金のある月については、未払額を含めて算定することとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、未払賃金とは支払義務の確定した賃金が所定の支払日を過ぎてもなお支払われないものとされているが、次の点に留意することとされている。
(1)未払額の認定に当っては、当該労働者の稼働実績、過去の賃金額等に基づいて確実と認められるもののみを認定し、事業主又は労働者が未払賃金であると称する場合であってもその算定基礎の明確でないものは、未払額として認定しない。
(2)離職後において、未払額として認定した額を超えて未払賃金が支払われた場合には、再計算を行う。

(オ)誤り
行政手引50501
住居の利益は賃金とされている。
よって、「住居の利益は賃金日額の算定対象に含まない。」とした問題文は誤りとなる。
なお、住居施設を無償で供与される場合において、住居施設が供与されないものに対して、住居の利益を受ける者と均衡を失しない定額の均衡手当が一律に支払われない場合は、当該住居の利益は賃金にならない。
また、寄宿舎等が設置されている場合、入寮者が受ける住居の利益は、実際費用の3分の1を下回って入寮費が徴収される場合に限り、実際費用の3分の1と徴収金額との差額を賃金として評価することとし、入寮費として実際費用の3分の1以上が徴収される場合は、賃金日額の算定の基礎に算入されない。

※正しいものの組合せは、(イ)と(エ)であるため、(C)が正解となる。

  

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