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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成27年雇用-第4問(教育訓練給付)
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■平成27年雇用-第4問(教育訓練給付)

教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
なお、本問において、「教育訓練」とは、雇用保険法第60条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練のことをいう。


(ア)一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとする者は、やむを得ない理由がある場合を除いて、当該教育訓練給付金の支給に係る一般教育訓練を修了した日の翌日から起算して3か月以内に申請しなければならない。

(イ)教育訓練支援給付金は、教育訓練給付の支給に係る教育訓練を修了してもなお失業している日について支給する。

(ウ)指定教育訓練実施者が偽りの届出をしたために、教育訓練給付が不当に支給された場合、政府は、当該教育訓練実施者に対し、当該教育訓練給付の支給を受けた者と連帯して同給付の返還をするよう命ずることができる。

(エ)教育訓練給付金の支給の対象となる費用の範囲は、入学料、受講料及び交通費である。

(オ)適用事業Aで一般被保険者として2年間雇用されていた者が、Aの離職後傷病手当を受給し、その後適用事業Bに2年間一般被保険者として雇用された場合、当該離職期間が1年以内であり過去に教育訓練給付金の支給を受けていないときには、当該一般被保険者は教育訓練給付金の対象となる。

(A)一つ

(B)二つ

(C)三つ

(D)四つ

(E)五つ

■解説

(ア)誤り
則101条の2の11
教育訓練給付対象者は、一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとするときは、当該教育訓練給付金の支給に係る一般教育訓練を修了した日の翌日から起算して1か月以内に、教育訓練給付金支給申請書に所定の書類を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないことになっている。
よって、「3か月以内」とした問題文は誤りとなる。
また、「やむを得ない理由がある場合」の例外的規定は平成27年4月1日から改正により削除されているため、この部分についての記述も誤りとなる。

(イ)誤り
法附則11条の2
教育訓練支援給付金は、教育訓練給付対象者(専門実践教育訓練を開始した日前に教育訓練給付金の支給を受けたことがない者にうち、専門実践教育訓練を開始した日に一般被保険者である者以外の者であって厚生労働省令で定めるものに限る。)であって、平成34年3月31日以前に専門実践教育訓練を開始したもの(当該教育訓練を開始した日における年齢が45歳未満であるものに限る。)が、当該教育訓練を受けている日(当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者によりその旨の証明がされた日に限る。)のうち失業している日(失業していることについての認定を受けた日に限る。)について支給することとされている。
よって、問題文は誤りとなる。

(ウ)正解
法10条の4
偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができることになっている。
この場合において、事業主、職業紹介事業者等、募集情報等提供事業を行う者又は指定教育訓練実施者が偽りの届出、報告又は証明をしたためその失業等給付が支給されたものであるときは、政府は、その事業主、職業紹介事業者等、募集情報等提供事業を行う者又は指定教育訓練実施者に対し、その失業等給付の支給を受けた者と連帯して、失業等給付の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができることになっている。

(エ)誤り
則101条の2の6、行政手引58014
教育訓練給付金の支給の対象となる費用の範囲は、(1)入学料及び受講料、(2)一般教育訓練の受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタントが行うキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用(その額が2万円を超えるときは、2万円)である。
よって、「入学料、受講料及び交通費」とした問題文は誤りとなる。
なお、教育訓練経費とされるのは、指定教育訓練実施者に対して支払われた入学料(対象教育訓練の受講の開始に際し当該指定教育訓練実施者に納付する入学金又は登録料)及び受講料(受講に際して支払った受講費、教科書代及び教材費であって最大1年分)として、指定教育訓練実施者が証明する額であり(消費税込み) 、その他の検定試験の受験料、受講に当たって必ずしも必要とされない補助教材費、教育訓練の補講費、教育訓練施設が実施する各種行事参加に係る費用、学債等将来受講者に対して現金還付が予定されている費用、受講のための交通費及びパソコン、ワープロ等の器材等については教育訓練経費とはならない。また、クレジットカードの利用等、クレジット会社を介して支払う契約を行う場合の、クレジット会社に対する分割払い手数料(金利)は教育訓練経費に該当しない。
また、当該受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタントが行うキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を、教育訓練経費に加えることができる。ただし、その額が2万円を超える場合の教育訓練経費とできる額は2万円までとする(平成29年1月1日以降にキャリアコンサルティングを受けた場合に限る。)。

(オ)正解
法60条の2
教育訓練給付金は、対象教育訓練を開始した日(基準日)において一般被保険者(65歳前に一般被保険者への切替え要件に該当する短期雇用特例被保険者を含む。)である者のうち、支給要件期間が3年(当分の間、初めて教育訓練給付を受けようとする者については支給要件期間が1年)以上ある者が支給の対象となる。
この場合の支給要件期間は、基準日までの間に同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者(高年齢継続被保険者及び日雇労働被保険者を除き、短期雇用特例被保険者を含む。)として雇用された期間をいい、当該雇用された期間に係る被保険者となった日前に被保険者であったことがある者については、当該雇用された期間と当該被保険者であった期間を通算した期間とされている。(基本手当等の支給の有無は、支給要件期間の通算には影響しない。)
しかしながら、通算した期間からは、次の期間を除くこととされている。
(1)当該雇用された期間又は当該被保険者であった期間に係る被保険者となった日の直前の被保険者でなくなった日が、当該被保険者となった日前1年の期間内にないときは、当該直前の被保険者でなくなった日前の被保険者であった期間
(2)教育訓練給付金の支給を受けたことがあるときは、当該給付金に係る基準日前の被保険者であった期間
よって、問題文の事例の場合は適用事業Aで一般被保険者として雇用されていた期間と適用事業Bで一般被保険者として雇用された期間を通算した4年間の支給要件期間があるため教育訓練給付金の対象となるため正解の肢となる。

※誤っているものの組合せは、(ア)(イ)(エ)であるため、(C)が正解となる。

  

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