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■社会保険労務士の勉強メモ(健康保険法)




■事業所又は事務所とは?

工場、事業場、店舗その他事業の行なわれる一定の場所をいう。(昭和18年4月5日保発第905号)

■事業所の単位について

1.当該事務所を独立単位として扱うか否かは、被保険者の身分関係、指揮監督、報酬の支払等直接人事管理を受けるか否か等に基づき、社会通念上決定すべきものである。(昭和18年4月5日保発第892号)

2.一つの事業所において明らかに異種の事業が併存的に行なわれるときは、それぞれの事業ごとに適用を決定し、また、一つの事業が他の事業に附属附帯し、包括して一つの事業を行うものと認められるときは、主たる事業と一体的にその適用を決定する。(昭和25年11月30日保文発第3082号)

3.生命保険会社の各支社に勤務する内勤職員について、報酬の支払及び人事管理等の事務がすべて本社で行われている場合は、その職員は本社に使用されるものとみなされ、本社で適用する。(昭和32年4月1日保文発第279号)

■常時5人以上の従業員の要件について

1.算定方法
従業員の員数の算定は、その事業所に常時使用されるすべての者について計算すべきものとする。すなわち、健康保険の被保険者となるべき者はもちろん、法第3条第1項但書の規定によって被保険者とすることができない者であっても当該事業所に常時使用される者についてはこれを算入すべきものとする。(昭和18年4月5日保発第905号)

2.本社と支店・出張所の従業員を併せて常時5人以上になる場合
運送店の支店又は出張所で、4人以内を使用している場合において、その支店又は出張所が独立して運送事業を遂行し本店とは単に資本的関係をもつに過ぎない場合は法の適用はないが、本店又は他の支店、出張所と連絡をとり一団となって運送事業を遂行している場合には、これら本店又は支店、出張所に使用されている者を合わせて5人以上になるときは適用され、その使用する者がかりに4人以内であっても被保険者となる。(昭和10年3月18日保発第182号)

3.一時的に5人未満になった場合
5人未満となっても、一時的現象で常時5人以上使用する事業所と認めるべき場合は、法第3条第3項(適用事業所)に該当する。(昭和10年1月28日保規第17号)

(参考)
健康保険一括適用承認基準
健康保険法第34条の規定による厚生労働大臣の承認(以下「一括適用の承認」という。)は、次の各項に定める基準に適合する適用事業所について行うものとする。

1.健康保険法第34条第1項の規定により一の適用事業所としようとする二以上の事業所のうち一の事業所において、承認申請にかかる適用事業所に使用されるすべての者の人事、労務及び給与に関する事務(健康保険に関するものに限る。)が電子計算組織により集中的に管理されており、これらの者にかかる健康保険の適用事業所の事業主が行うべき事務が、所定の期間内に適正に行われること。

2.一括適用の承認によって健康保険事業の運営が著しく阻害されないこと。
(平成14年9月7日保発第092701174号、庁保発第47号)

■使用関係について

1.法人の代表等について
会社等法人の理事、監事、取締役、代表社員等のいわゆる代表機関は、民法又は商法の規定においては、法人に使用されている者とは解されないが、健康保険法の適用については、法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者の資格を取得することになる。(昭和24年7月28日保発第74号)

2.労働組合の専従者について
被保険者が労働組合の専従職員になれば、労働組合法第2条及び第7条の規定により、その者に対するすべての報酬の支給は明確に禁止されるので、健康保険等の保険料及び保険給付は労働組合より支給される報酬の額に基づいて算定されなければならなくなる。従って、健康保険法等の適用上は従前の事業主に雇用又は使用される者として取扱われず、従前の事業主との関係では資格を喪失し、労働組合に雇用又は使用される者としてのみ被保険者となることができる。(昭和24年7月7日職発第921号)

3.技能養成工について
技能養成という名目でも、事業所と技能養成工との関係が技能の養成のみを目的とするものでなく、稼動日数、労務報酬からみて実体的に使用関係が認められる場合は被保険者となる。(昭和26年11月2日保文第4602号)

4.技術見習職員のついて
陶器製造業者が使用する職工で技術見習のために報酬を受けず、弁当自弁で通勤し技術見習の傍事業一般の手伝をなすものがある。技術見習後は適当の給料を支給するが、普通6ヵ月、遅いものは2年位見習となり、当該期間は報酬を受けない。しかし、健康保険の適用事業所に使用される限り被保険者である。(昭和3年1月30日庶発第92号)

5.職業実習について
在学のまま職業実習するものが卒業後の就職予定先である適用事業所において職業実習をする場合は、被保険者として扱う。(昭和16年12月22日社発第1580号)

6.請負業者について
請負業者がその事業を自己の統制管理及び計算の下に遂行し企業上独立している場合は、請負業者を事業主として取扱うべきもの(※被保険者にならない)であるが、請負制度が労務供給上の一方法又は賃金支払の一形態と認められる場合においては請負業者は事業主として取扱わない。(※被保険者になる場合もある)(昭和10年3月18日保発第181号)

■強制適用事業所の分類

1.塩田採鹹業
塩田採鹹(さいかん)場は、通常製塩工場の附随事業として製塩工場と一体とした「物の製造」事業所として適用する。(昭和24年1月13日保文発第78号)

2.共同炊事場
栄養改善の目的をもって一定の設備のもとに被保険者の食事一切を調理する共同炊事場も適用がある。(昭和11年7月1日保規第145号)

3.映画提供事業
外国に本社があり、日本に出先機関たる事業所をもち代表者は外国人で映画提供の事業を取扱っているものは、「媒介周旋の事業」として適用がある。(昭和23年10月2日保険発第82号)

4.授産所
授産所又は授産場が共同作業所のようなもので副業的形態をとり、家庭の延長とみられるもの又は職業の補導又は教授を主とする組織のものである限り、本条の適用はない。(昭和10年4月1日保規第79号)

5.無尽業
無尽業法によらない無尽講の事務所は強制適用ではない。(昭和26年10月13日保文発第4050号)

6.料理店・飲食店
料理店・飲食店等は物の販売のみを目的とするものではなく、場所の提供、サービス等をも含んでおり、社会通念上も物品の販売業とは区別されているから強制適用事業所とはならない。(昭和18年4月5日保発第905号)

7.貸席業等
「物の保管又は賃貸の事業」には、貸席業及び貸座敷業は含まない。(昭和18年4月5日保発第905号)

8.駐留軍要員
連合国軍要員のうち非軍事的業務に使用される者は、その事業主がたとえ連合国軍自体であっても、事業の業態が強制適用業種であれば適用する。

イ.P・X(物の販売の事業)等に使用される者は強制被保険者

ロ.ハウス、ホテル等のいわゆる家事使用人及びクラブ、宿舎施設、食堂、映画事業等に使用される者は強制被保険者にならない
(昭和26年7月3日保発第51号)

■任意包括被保険者

1.任意包括認可基準
(1)認可申請に係る事業所と被保険者となるべき者との使用関係が明確であり、かつ、安定しているものについて認可することとし、擬装雇用等、実体的要件を欠くものについて認可することのないよう注意すること。

(2)過去における公租公課の納入の状況等からみて、保険料の滞納が生ずるおそれが大であると認められる事業所については認可しないこと。
(昭和38年7月25日保発第23号)

2.任意包括加入の擬制について
(1)法第32条(任意包括加入の擬制)の規定により、法第31条(任意包括加入)の認可があったものとみなされる事業所に使用される者は、第3条第1項の被保険者とする。(昭和2年7月7日保発第1597号)

(2)法第32条(任意包括加入の擬制)該当の工場で、法第33条第1項(任意包括脱退)の認可を受けない限りは、該当工場に使用される被保険者全部を一時解雇し、さらに前被保険者その他の者を雇入れても、これらの雇入れられた者は依然第3条第1項の被保険者であるものとする。(昭和2年11月17日保理第3758号)

(3)法第32条(任意包括加入の擬制)該当の工場で、いったん廃業した後あらたに開業した場合においては、該当工場に使用される者は、第3条第1項の被保険者ではないものとする。(昭和2年11月17日保理第3758号)

(参考)
破産事務処理のために雇用された従業員の被保険者資格について

破産事務処理のため破産管財人が従業員を雇用した場合、破産管財人を事業主と考え、その事務が行なわれる場所を事業所と考えることができるが、この事業所は法第3条第3項の事業所には該当しないので、ここにおいて使用される者は、いわゆる健康保険の強制適用被保険者とならない。

しかし、上記の限りにおいては、当該事業所は、法第3条第1項第5号の「臨時的事業の事業所」に該当すると思われ、当該事業所に6ヵ月以上継続して使用される見込みである従業員については、法第31条の規定により包括して被保険者とすることができるものであること。(昭和35年5月4日保文発第3467号)

■任意継続被保険者

1.資格喪失後に事業主になった場合
被保険者がその工場の事業を承継して事業主となった場合でも任意継続被保険者となり得る。(昭和2年5月5日発第981号)

2.任意包括被保険者が資格喪失した場合
任意包括脱退により資格を喪失した者は、任意継続被保険者にはなれない。(昭和3年8月17日保理第2059号)

3.申請の効果
被保険者資格取得の申請を法定期間内に行なったときは資格を継続し、その者を被保険者の資格がないもとして取扱うことはできない。(昭和3年8月17日保理第3059号)

4.正当な理由
法37条第1項但書の「正当な理由」とは、天災地変の場合とか、交通通信関係のスト等によって法定期間内に届出ができなかった場合が考えられる。(昭和24年8月11日保文発第1400号)

■外国人に対する健康保険の適用について

1.外国人に対する適用の基本原則について
適法に就労する外国人に対しては、短時間就労者も含めて日本人と同様の取扱いをするものであることから、適用事業所と実態的かつ常用的な使用関係のある被用者については、被保険者資格取得届の届出漏れ及び届出誤りのないよう適用の徹底を図ること。

2.事業主に対する指導について
上記1の基本原則にしたがって外国人に対して適用を行い、外国人の届出漏れや届出誤りを防止するためには、事業主及び外国人に対する指導や広報等を通じた啓発活動が重要であること。

事業主に対しては、具体的に以下のような指導を行うこと。

(1)外国人を雇用する場合には、当該外国人に対し、我が国の社会保険制度について十分説明を行うこと。特に、保険料の源泉徴収方式等制度の内容について具体的に説明すること。

(2)常用的使用関係にある外国人については、被保険者資格取得届の届出漏れ等がないよう十分に留意すること。なお、外国人の就労に関して市町村から情報提供があった場合、これを有効に活用し、これらの指導を行うこと。

3.指導及び広報の方法について
前記の指導方針に基づく事業主及び外国人に対する指導、広報等については、
(1)新規適用事業所説明会、算定基礎届説明会等各種講習会・説明会における事業主への指導
(2)外国人の就労者が多いと見られる業種や地域での重点的な説明や個別指導の実施
(3)総合調査時等における重点的な指導
(4)地方自治体の広報、社会保険広報、健康保険組合及び関係団体での広報等の各種の機会を捉えて具体的に適用の周知徹底と届出の励行に努めること。なお、事業主の理解を深めるための広報用パンフレットを別途送付する予定であること。

※厚生年金保険についても同様
(平成4年3月31日保発第38号・庁文発第1244号)

  

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