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トップページ社会保険労務士の勉強メモ 被保険者資格の取得と喪失  
■社会保険労務士の勉強メモ(健康保険法)




■資格取得関係

1.「使用されるに至った日」とは?
「其の業務に使用せらるるに至りたる日」とは、事実上の使用関係の発生した日。(昭和3年7月3日保発第480号)

2.雇用契約日と使用されるに至った日が違う場合
製糸業では職工募集員が各地に出張し出張先で職工の募集に応じた者と雇用契約をまとめ、この場合応募により雇用契約は締結されるが、所謂入場の日までは職工及び事業主双方においてその契約により労務の提供或は報酬支払の要もなく、すなわち双方共債務履行(労務提供と賃金支払義務)の必要がないので、このような場合には、入場の日から被保険者資格を取得する。(昭和3年11月17日保発第751号)

3.発令日と着任日が異なる場合
「業務に使用せらるるに至った日」は、勤務すべき辞令を発せられたる日、赴任又は着任した日と一致する必要はない。→事実上の使用関係が発生した日が資格取得日になる。(昭和2年2月25日保理第983号)

4.資格取得届洩が発見された場合
事業場調査をした場合に、資格取得届洩が発見された場合は、すべて事実の日に遡って資格取得させる。(昭和5年11月6日保規第522号)

5.労働基準法の規定による就業禁止に該当する場合
事業主並びに被保険者の双方において労働基準法の規定による就業禁止該当の事実があるにもかかわらず、善意かつ無過失で就業し、取得届を提出した後、相当期間経過した上にその事実があることが明らかになった場合は、当初より被保険者資格があるものとして取扱う。(昭和5年6月4日保発第30号)

6.試用期間中の場合
事業所の規定により一定期間は臨時又は試みに使用すると称し又は雇用者の出入が頻繁で永続するか否か不明であるからと称して資格取得届を遅延させるものは臨時使用人と認めず、雇い入れの当初より被保険者とする。(昭和26年11月28日保発第5177号)

7.自宅待機を命じた場合
新たに使用されることになった者が、当初から自宅待機とされた場合の被保険者資格については、雇用契約が成立しており、かつ、休業手当等が支払われるときは、その休業手当等の支払の対象となった日の初日に被保険者資格を取得する。(昭和50年3月29日保険発第25号・庁保険発第8号)

■資格喪失関係

1.「使用されなくなった日」とは?
(1)「其の業務に使用せられざるに至った日」とは、事実上も使用関係が存在しなくなった日。(昭和3年7月3日保発第480号)

(2)辞職手続を履行したと否とにかかわらず、現実に業務に使用せられざる状態におかれた日。(昭和2年1月25日保理第366号)

2.在籍しているが事実上は使用関係が消滅している場合
雇用契約は存続していても、事実上の使用関係がないものについては、被保険者資格を喪失させること。(昭和25年4月14日保発第20号)

3.休職の場合の取扱い
被保険者が休職となり、休職中給料が全然支給されない場合で、名義は休職であっても実質は使用関係の消滅とみられる場合においては資格喪失させる。(昭和6年2月4日保発第59号)

(参考)
労働協約又は就業規則などにより雇用関係は存続するが、会社から賃金の支給を停止されたような場合には、個々の具体的事情を勘案検討のうえ、実質は使用関係の消滅とみるのを相当とする場合、例えば被保険者の長期にわたる休業状態が続き、実務に服する見込がない場合又は公務に就任しこれに専念する場合等においては、資格を喪失させることが妥当である。(昭和26年3月9日保文発第619号)

4.解雇無効について係争中の者の被保険者資格
(1)解雇行為が労働法規又は労働協約に違反することが明らかな場合を除いて、事業主より被保険者資格喪失届の提出があった場合は、例え裁判等で係争中であっても、一応は資格喪失したものとしてこれを受理し、被保険者証の回収等の所定の手続きを行う。

(2)その後、労働委員会又は裁判所が解雇無効の判定をなし、かつ、その効力が発生したときは、当該判定に従い遡及して資格喪失の処理を取消し、被保険者証を事業主に返付する。

(3)解雇無効の効力が発生するまでの間、資格喪失の取扱いのため自費で診療を受けていた者に対しては、療養の給付を行うことが困難であったものとして、その診察に要した費用は療養費として支給し、その他の現金給付についても遡って支給するとともに保険料も徴収する。

(4)仮処分申請等の暫定的な決定が本裁判において無効となり、解雇が遡って成立した場合には、すでに行なわれた保険給付は被保険者から返還させることとし、また徴収済保険料は事業主からの還付請求に基いて還付手続きを行う。

(5)厚生年金保険における取扱いについても、上記に準じて適切な措置をとること。
(昭和25年10月9日保発第68号)

5.嘱託として再雇用された者の取扱い
(1)原則
同一の事業所において雇用契約上一旦退職した者が1日の空白もなく引き続き再雇用された場合は、退職金の支払の有無又は身分関係若しくは職務内容の変更の有無にかかわらず、その者の事実上の使用関係は中断することなく存続しているものであるから、被保険者資格も継続する。

(2)例外
特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者であって、定年による退職後継続して再雇用される者については、使用関係が一旦中断したものと見なし、事業主から被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出させる取扱いとして差し支えない。
この場合は、被保険者資格取得届に定年退職であることを明らかにできる書類(就業規則や退職辞令の写しなど)を添付させる。
(平成8年4月8日保文発第269号・庁文発第1431号)

6.3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する被保険者の休業措置に係る取扱いについて
育児介護休業法第24条の規定により、3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置として育児休業に準じた休業期間が設けられている場合において、

(1)当該休業期間の長さが社会通念上妥当なものであること
(2)当該休業期間満了後は必ず復職することを前提として認められたものであること
(3)当該休業期間中は他で就労しないことを前提としていること

等により事業主等と被保険者との使用関係が継続すると認められるときには、当該被保険者の被保険者資格は存続するものであること。
ただし、当該期間は保険料の免除期間には該当せず、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定の契機ともならない旨を周知すること。
(平成17年3月29日保保発第0329001号・庁保発第0329002号)

■被保険者資格の確認

1.資格取得届提出前の事故の取扱い
事業主が資格取得の届を行う前に生じた事故であっても、さかのぼって資格取得の確認が行われれば、保険事故となり給付の対象になる。(昭和31年11月29日保文第10148号)

2.手続き遅延による遡及確認について
事業に経営不振等で会社が相当以前から閉鎖状態にあるにもかかわらず、資格喪失手続きが遅れたときは、社会保険事務所において職権により遡及して喪失の確認をする。(昭和30年7月13日保文第6167号)

■適用除外

1.試に使用される者
試みに使用される者で、「永続するか否か不明であるためとして取得届を遅怠したもの」、「工場内に内規により2週間は試みに使用するものとして取得届を遅怠したもの」、「見習工であるとして取得届を遅怠したもの」はいずれもいわゆる臨時使用人とは認められず、雇い入れの当初より被保険者となる。(昭和13年10月22日社庶第229号)

2.日々雇い入れられる者
日々雇い入れられる者が、連続して30日間労務に服し、なお引き続き労務に服したときは被保険者資格を取得する。この場合、当該事業所の公休日は、労務に服したものとみなし、右の日数の計算に加える。(昭和3年3月30日保理第302号)

3.2ヵ月以内の期間を定めて使用される者
(1)2ヵ月以内の期間を定めて雇用される者が、その期間中に負傷し休業のまま引き続き2ヵ月を超えて使用関係が存続するときは、61日目から被保険者資格を取得するが、将来労務に服することができず、単に健康保険の給付をうけるために使用関係を継続する場合は、被保険者資格を取得しない。(昭和5年8月6日保規第344号)

(2)2ヵ月の雇用期間を更新する電話交換手(パートタイマー)は2ヵ月を超え引き続き使用されるときは被保険者とする。(昭和31年7月10日保文発第5114号)

(3)農業協同組合又は山林組合の組合長は、組合との間に実体的な使用関係がなければ適用しない。(昭和31年7月10日保文発第5114号)

4.季節的業務に使用される者
(1)季節的業務とは、一地方特有のものであるか全国的なものであるかを問わず、季節によって行う業務はすべて包合する。(例 清酒の製造、海水浴場の海の家など)(昭和2年2月12日収保第124号)

(2)当初4ヵ月未満の使用期間であったが、業務の都合により、継続して4ヵ月以上使用されることになった場合においても被保険者としない。(昭和9年4月17日保発第191号)

(3)季節的業務の稼動日数の予定は、事業主の主観的申告により決定すべきものではなく、事業主の意見を参酌し、四囲の事情により保険者が認定すべきものである。(昭和12年5月4日保規第96号)

(4)需要の関係上季節により繁閑の差のある事業(※季節的業務に該当しない)に使用されるものは被保険者になる。(昭和2年4月1日保理第1622号)

5.臨時的事業の事業所に使用される者
「臨時的事業の事業所」とは、博覧会の如き臨時的に開設される事業の事業所をいう。(昭和18年4月5日保発第905号)

6.事業所に一定しない事業に使用される者
「事業所に一定しない事業」とは、巡回興業の如き事業をいう。(昭和18年4月5日保発第905号)

7.国民健康保険組合の事業所に使用される者
健康保険の被保険者が、国民健康保険の被保険者になるための保険者の承認の要件は、国民健康保険制度の育成を図る趣旨から、当該申請者が、移行しようとする国民健康保険の事業運営上必要な人物であり、かつ、その事業が現に活発に運営されているものに限る。(昭和23年10月27日保文発第665号)

  

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