社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト | |||||||||
トップページ > 社会保険労務士の勉強メモ > 療養費の支給が認められる場合 | |||||||||
■社会保険労務士の勉強メモ(健康保険法) | |||||||||
次の場合には、療養の給付等に代えて、療養費を支給する。 1.療養の給付若しくは入院時食事療養費若しくは特定療養費の支給(「療養の給付等」という。)を行うことが困難であると認めるとき 2.保険医療機関等及び特定承認保険医療機関以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、保険者がやむを得ないものと認めるとき (法第87条第1項)
■療養の給付等を行なうことが困難であると認めるとき 1.保険医療機関がない場合 無医村で諸般の状況上、療養の給付をなすことが困難と認められるときは、支給して差し支えない。緊急の場合で売薬を服用したときは、療養の給付をなすこと困難と認められれば支給して差し支えない。 この緊急の場合とは、例えば、無医村或は医師がいても相当の距離があっても交通の利便も思うに委せぬときで疾病の状況如何によって数日通院不可能の場合、又は、医師の往診を得るまでに同様数日を要するときで応急処置として売薬を服用した場合である。(昭和13年8月20日社庶第1629号)
2.事業主が資格取得届の提出を怠った場合 被保険者が保険医について診療を受けた当時、事業主が資格取得届を懈怠していたため、当該被保険者は保険医に対し被保険者たる身分を証明し得ない状態にあったことは、法第87条の療養の給付をなすこと困難と認めたときに該当する。(昭和3年4月30日保理発第1089号) 3.柔道整復師の手当をうけた場合 (1)胸部打撲傷で保険医の診療をうけたところ保険医は柔道整復師による施術を適当と認め、保険医の指示で柔道整復師の手当を受けた場合は差し支えない。(昭和3年11月22日保理第2878号) (2)柔道整復営業者の行なう骨折脱臼については診療担当者の同意を必要とする。なお、整復術営業者にして先天性股関節脱臼等の疾病に対して施術を行い契約以外の施術料の請求をなす者があるやに聞及んでいるが、これも今後行わせないようにその旨周知せしめたい。(昭和24年5月23日保険発第194号) (3)地方医師会等の申し合わせ等により、医師が柔道整復師から、脱臼又は骨折の患部に施術するにつき同意を求められた場合、故なくこれを拒否することのないよう指導すること。 (昭和31年7月11日医発第627号) (4)療養費の請求の場合には、実際に医師から施術につき同意を得たむねが施術録に記載してあることが認められれば、必ずしも医師の同意書の添付は要しない。(昭和24年5月23日保険発第194号)
(5)応急手当の場合は、医師の同意は必要としない。(昭和24年5月23日保険発第194号) (6)柔道整復師が、施術につき同意を求める医師は、必ずしも整形外科、外科等を標榜する医師に限らない。(昭和24年5月23日保険発第194号) (7)柔道整復師宅に滞在して手当を受けた場合に要した食費、寝具料、室代等は保険者において支給する療養費に含まない。(昭和8年7月11日保規第255号) (8)柔道整復術を受けたとき、保険者は、療養に要した費用(初検料と施術料)から一部負担金を控除した費用を施術者に支払う。(昭和25年4月11日保文発第815号) 4.あんま、はり、きゅうの手当を受けた場合 (1)この施術に基いて療養費の請求をなす場合においては、緊急その他真に已むを得ない場合を除いては、すべて医師の同意書を添付する等、医師の同意があつたことを確認するに足る証憑を添えるよう指導すること。(昭和25年1月19日保発第4号) (2)療養費支給申請書に添付するはり、きゅう及びマッサージの施術に係る医師の同意書については、病名、症状(主訴を含む。)及び発病年月日の明記された診断書であって療養費払の施術の対象の適否の判断が出来るものに限り、これを当該同意書に代えて差し支えないものとすること。 ただし、脱臼又は骨折に施術するマッサージについては、なお従前のとおり医師の同意書により取り扱うものとすること。 また、同意書又は、診断書に加療期間の記載のあるときは、その期間内は第二回目以降、療養費支給申請の際、同意書または診断書の添付を省略して差し支えない。(昭和42年9月18日保発第32号) (3)はり及びきゅうに係る施術の療養費の支給対象となる疾病は、慢性病であって、医師による適当な治療手段のないものであり、主として神経痛、リウマチなどであって類症疾患については、これら疾病と同一範ちゅうと認められるものに限り支給の対象とすること。 なお、類症疾患とは、頚腕症候群、五十肩、腰痛症及び頚椎捻挫後遺症等の病名であって、慢性的な疼痛を主症とする疾患をいう。(昭和42年9月18日保発第32号) (4)はり及びきゅうに係る施術において治療上真に必要があると認められる場合に行なう往療については認めて差し支えないこと。(昭和42年9月18日保発第32号) 5.治療用装具(コルセット)について (1)療養上必要あるコルセットは、療養の給付として支給すべき治療材料の範囲に属し、法87条により支給することとする。(昭和17年3月26日社発第322号) (2)コルセットの価格に制作者の出張旅費が含まれる場合もあるが、コルセットの価格に含まれぬ場合はコルセット制作に必要不可欠な経費に限り個別に認めて差し支えない。(昭和18年8月23日保険発第277号) (3)義手義足は療養の過程において、その傷病の治療のため必要と認められる場合に療養費として支給する取扱いがなされている。症状固定後に装着した義肢に要する費用及びその修理に要する費用を療養費として支給することは認められない。(昭和26年5月6日保文発第1443号) (4)小児先天性股関節脱臼に対し「軟性コルセット」又は「関節補助器」を支給した場合に、3月から4月にて破損した場合は、その修理費は療養の給付期間以内である場合に於ては給付し、また使用に耐え得なくなった場合には新たに給付してよい。なお、汚染交換の場合は支給すべきではない。(昭和26年6月8日保険発第142号) (5)くる病に対し治療上必要と認め、補助器の使用を指示した場合、コルセットに準じ支給する。(昭和27年4月15日保険発第99号) (6)一側股関節同側大腿骨結核のためコルセットを装用中、破損せる場合の再製については、療養給付の法定期間内で、破損等のため使用不可能、かつ、治療上必要がある症例については、給付するも差し支えない。(昭和28年7月30日保険発第170号) (7)第一肢位の先天性股関節脱臼用装具を装着した時に治療上の必要があって第二肢位の装具を装着した場合(亜脱臼位矯正のために当該装具を装着した場合等)には、保険給付して差し支えない。(昭和41年2月24日保文発第171号) (8)療養費として支給する額については、身体障害者福祉法の規定に基づく補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準に定められた装具の価格の100分の103に相当する額を基準として算定する。ただし、患者の年齢が15歳未満の場合においては、児童福祉法の規定に基づく補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準に定められた年齢階層別の価格の100分の103に相当する額を基準として算定する。 (昭和36年7月24日保発第54号) (9)義眼については、眼球摘出後眼窩保護のため装着を必要とする場合の義眼は治療材料の範囲とし、コルセットに準じ支給する。(昭和25年2月8日保発第9号) 6.生血液代について (1)輸血の場合の血液料金は、療養費として支給する。ただし、保存血は現物給付である。(昭和14年5月13日医発第336号) (2)血液の価格は、地方の事情により相違がある。従って、各府県の最も妥当と認められる額による。(昭和25年3月15日保険発第39号) (3)特に血液が得られなくて、移送費(旅費)もしくは運賃を要した場合は、その事由が絶対的なものであれば血液代に含めることもやむを得ないが、保存のために要した氷代等を血液代に含めることは認めない。(昭和31年5月22日保険発第81号) 7.海外で療養を受けた場合 (1)海外療養費の支給 1.被保険者又は被扶養者が、海外の病院等において療養等を受けた場合の費用については、健康保険法第87条又は船員保険法第29条ノ2に基づき療養費の支給が行なわれるものであること。 2.療養費の支給は、病院等が発行する診療等の内容を明らかにした費用の額に関する証拠書類等に基づき行なうものとすること。 3.海外における療養に要する費用の算定に関しては、国内において保険医療機関以外の病院等で療養を受けた場合と同じく、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(現行 平成6年3月厚生省告示第54号)」の算定の例によるものであるが、これによることが困難である場合は、国内における同様の傷病に係る療養に要する費用の実績額によって算定することもやむを得ないものであること。 (昭和56年2月25日保発第7号・庁保発第3号) (2)海外療養費の申請手続 1.療養費支給申請書等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付すること。 2.療養費支給申請書等の証拠書類に添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載させること。 3.海外における療養費の支給申請書に添付させる証拠書類の様式は、別添6「診療内容明細書」及び同6「領収明細書」を参考にすること。 4.現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行なわせ、その受領は事業主等が代理して行なうものとし、国外への送金は行なわないこと。なお、療養費等の受領が事業主又は事業主の代理人に委任された場合は、当該療養費等の授受の状況を明らかにしておくよう指導すること。 5.現に海外にある被保険者の療養費等の支給に係る照会は、事業主等を経由して行なうこと。 6.海外における療養費等の支給額の算定に用いる邦貨換算率は、その支給決定日の外国為替換算率(売りレート)を用いること。 (昭和56年2月25日保険発第10号・庁保険発第2号) 8.支給が認められない事例 (1)胃下垂帯、脱腸帯は現在認められていない。(昭和26年7月27日保険発第193号) (2)人工肛門受便器(ペロッテ)は療養費としても認められない。(昭和27年4月28日保発第117号) (3)補聴器は眼鏡に準じて給付外とする。(昭和25年11月7日保険発第235号) (4)給骨者に対する骨採取にかかる療養はその給骨者が被保険者(又は被扶養者)たると否とにかかわらず給付外とする。(昭和31年9月5日保険発第158号) ■やむを得ない場合 「やむを得ない場合」とは、例えば疾病又は負傷等に際し直に診療又は手当を受けなければならないため、保険医の処に行って診療又は手当を受ける時間的余裕のない場合等通常の場合において保険医を選定することが不能又は著しく困難と認められる状態を意味する。(昭和24年6月6日保文発第1017号) ※交通事故で怪我をした場合に、とりあえず担ぎ込まれた病院が、保険医療機関でなかった場合など。
療養費の額は、療養に要する費用を標準として定めるのであって、その療養の観念は一つの傷病に対する初診とか投薬とかの個々の診療行為を指すものでなく、これを包括した行為を総称する。診療内容の適否を審査し適正でないものは査定減額する。(昭和24年4月13日保険発第167号) ※被保険者が支払った全額が療養費の対象になるのではなく、保険者が算定方法に基いて算定した額を基準に療養費の支給額が決定されることになる。もちろん、保険者が算定した額より、実際に被保険者が支払った額の方が少額である場合は、実際に支払った額を基準にして支給額が決定されることになる。
|
|||||||||
→社会保険労務士の勉強メモに戻る | |||||||||
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved | |||||||||