社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 令和1年雇用-第9問(労働保険事務組合)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■令和1年雇用-第9問(労働保険事務組合)

労働保険事務組合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)金融業を主たる事業とする事業主であり、常時使用する労働者が50人を超える場合、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することはできない。

(B)労働保険事務組合は、労災保険に係る保険関係が成立している二元適用事業の事業主から労働保険事務の処理に係る委託があったときは、労働保険徴収法施行規則第64条に掲げられている事項を記載した届書を、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長を経由して都道府県労働局長に提出しなければならない。

(C)労働保険事務組合は、定款に記載された事項に変更を生じた場合には、その変更があった日の翌日から起算して14日以内に、その旨を記載した届書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

(D)労働保険事務組合は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、労災保険の保険給付に関する請求の事務を行うことができる。

(E)労働保険事務組合が、委託を受けている事業主から交付された追徴金を督促状の指定期限までに納付しなかったために発生した延滞金について、政府は当該労働保険事務組合と当該事業主の両者に対して同時に当該延滞金に関する処分を行うこととなっている。



■解説

(A)正解
法33条、則62条2項
常時300人(金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下の労働者を使用する事業主が、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法33条、則64条1項、則78条3項
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業又は労災保険の特別加入に係る一人親方等の団体についての「労働保険事務等処理委託届」及び「労働保険事務等処理委託解除届」については、当該事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して、当該事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出することとされている。
よって、「所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長を経由」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法33条、則65条
労働保険事務組合は、「労働保険事務組合認可申請書」又は「定款、規約等団体又はその連合団体の目的、組織、運営等を明らかにする書類」若しくは「労働保険事務の処理の方法を明らかにする書類」に記載された事項に変更を生じた場合には、その変更があった日の翌日から起算して14日以内に、その旨を記載した届書をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならないことになっている。
よって、「厚生労働大臣に提出」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法33条、平成12年3月31日発労徴31号
労働保険事務組合は、労災保険の保険給付及び労働福祉事業として行う特別支給金に関する請求書等に係る事務手続及びその代行を行うことはできない。
よって、問題文は誤りとなる。

(参考)
労働保険事務組合に委託することができない事務処理
1.印紙保険料に関する手続
2.労災保険の保険給付及び労働福祉事業として行う特別支給金に関する請求書等に係る事務手続及びその代行
3.雇用保険の給付に関する請求書等に係る事務手続及びその代行
4.雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行

(E)誤り
法35条2項、平成12年3月31日発労徴31号
政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収につき事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度において事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずることになる。
事務組合の責任の有無については、事務組合事務処理規約等事務処理の方法に関する書類に定めるところを基礎として判断するものであるが、その徴収について事務組合に責任がある場合の具体的事例としては次のとおりである。

1.追徴金の納付責任
(1)事務組合事務処理規約等に規定する期限までに、確定保険料申告書を作成するための事実(前年度中に支払った賃金の総額等)を事業主が報告したにもかかわらず、事務組合が法の定める申告期限までに確定保険料申告書を提出しないため、政府が確定保険料の額を認定決定し、その納付すべき額の100分の10に相当する追徴金を徴収することとした場合
(2)その他事務組合の責めに帰すべき理由によって生じた追徴金を徴収することとした場合

2.延滞金の納付責任
(1)政府から各滞納事業主に係る督促状を受けた事務組合が、事務組合事務処理規約等の定めるところにより事業主に対し督促があった旨の通知をしないため、督促状の指定期限までに納付できず、延滞金を徴収される場合
(2)事務組合から督促状による督促があった旨の通知を受けた事業主が、事務組合事務処理規約等に規定する期限までに、労働保険料の納付のための金銭を事務組合に交付したにもかかわらず、事務組合が督促状の指定期限までに当該労働保険料を政府に納付しないために延滞金が徴収される場合
(3)その他事務組合の責めに帰すべき理由によって生じた延滞金を徴収することとした場合
以上の場合には、事務組合は「政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずる」ことになり、政府はその限度では、追徴金又は延滞金を当該事務組合からのみ徴収することになる。
よって、問題文の場合は、労働保険事務組合が延滞金の納付の責任を負うこととなり、「当該労働保険事務組合と当該事業主の両者に対して同時に当該延滞金に関する処分を行う」とした問題文は誤りとなる。
なお、事務組合と委託事業主が共謀して保険料申告書に故意に事実と異なる記載をしたために徴収される追徴金等両者の責めに帰すべき追徴金又は延滞金の納付責任は、事務組合と委託事業主の連帯債務となる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(労働保険徴収法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved