社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成13年雇用-第8問(労働保険事務組合)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成13年雇用-第8問(労働保険事務組合)

労働保険事務組合(以下「事務組合」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労災保険及び雇用保険の保険関係が保険年度当初に共に成立している継続事業については、納付すべき概算保険料の額が40万円以上でなければ、延納をすることができないが、労働保険事務の処理を事務組合に委託している場合には、概算保険料の額の如何にかかわらず延納することができる。

(B)政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について、事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で事務組合が政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずることとなるので、その納付責任が、当該事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主に及ぶことはない。

(C)事業主の団体が事務組合の認可を受けた場合には、当該事業主の団体の構成員以外の事業主であっても、その事業主に係る労働保険事務の処理を当該事業主の団体に委託することが必要であると認められるものについては、当該委託をすることができる。

(D)雇用保険の失業等給付について、委託事業主に使用されている労働者が不正受給を行った場合において、それが、事務組合の虚偽の届出によるものであるときは、政府は、当該事務組合に対して、不正受給を受けた労働者と連帯して、受給金額の全部又は一部を返還すべきことを命ずることができる。

(E)政府が、事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険料についての督促を、事務組合に対して行ったときは、委託事業主と当該事務組合との間の委託契約の内容の如何にかかわらず、この督促の効果は法律上当然に委託事業主に対して及ぶ。



■解説

(A)正解
法18条、則27条1項
継続事業(一括有期事業も含む)については、納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険に係る保険関係又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、20万円)以上でなければ延納することができないが、労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託している場合は、概算保険料の納付額にかかわらず延納することが可能である。

(B)誤り
法35条2項・3項
政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずることになっている。
そして、労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、政府が労働保険事務組合に対して滞納処分を行っても、なお徴収すべき残余がある場合に限り、その残余の額を当該事業主から徴収することができることになっている。
よって、「納付責任が、当該事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主に及ぶことはない」とした問題文は誤りである。

(C)正解
法33条1項、則58条1項
事務組合の認可を受けた事業主の団体等は、団体の構成員の構成員である事業主だけでなく、団体の構成員である事業主以外の事業主であって、当該事業主に係る労働保険事務の処理を当該事業主の団体等に委託することが必要であると認められるものの委託を受けて労働保険事務を処理することができる。
なお、「委託することが必要であると認められるもの」とは、事務組合に労働保険事務の処理を委託しなければ労働保険への加入が困難であるもの及び労働保険事務の処理を委託することにより事業における負担が軽減されると認められるものをいうとされている。(昭和62年3月10日発労徴第13号)

(D)正解
法35条4項、雇用法10条の4第2項
偽りその他不正の行為により雇用保険法の失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、この場合において、事業主又は職業紹介事業者等が偽りの届出、報告又は証明をしたためその失業等給付が支給されたものであるときは、政府は、その事業主又は職業紹介事業者等に対し、その失業等給付の支給を受けた者と連帯して、失業等給付の返還を命ずることができる。
そして、労働保険事務組合が虚偽の届出を行ったことにより、失業等給付の不正受給が行われた場合は、当該労働保険事務組合は事業主とみなされ、連帯責任を負うことになる。
なお、偽りその他不正の手段により労災保険法の保険給付を受けた者があるときも同様の規定がある。

(E)正解
法34条
政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付については、これを労働保険事務組合に対してすることができる。
この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなされることになっている。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(労働保険徴収法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved