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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成15年雇用-第8問(労働保険料)
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■平成15年雇用-第8問(労働保険料)

労働保険料に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働保険の保険料の徴収等に関する法律第21条の2第1項の規定による申出を行い、所轄都道府県労働局歳入徴収官の承認を受けて、口座振替による労働保険料の納付を行う事業主については、所轄都道府県労働局歳入徴収官が指定する日までに納付すれば、その納付は、納期限においてされたものとみなされる。

(B)労働保険料を納付しない事業主があるときは、政府は期限を指定して督促しなければならないが、督促状に記載された指定期限を過ぎた後に督促状が交付された場合であっても、交付の日から10日経過した日以後は、滞納処分を行うことができる。

(C)追徴金の徴収の決定について不服があるときは、当該決定をした都道府県労働局歳入徴収官に対し、異議申立てをすることができる。

(D)延滞金の計算において、滞納している労働保険料の額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨て、また、計算した延滞金の額に100円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。

(E)追徴金とは、納付すべき保険料額を不当に納付しない場合に課する懲罰的金銭をいい、いわゆる認定決定に係る概算保険料若しくは確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合に徴収するものである。



■解説

(A)誤り
法21条の2第2項、則38条の5
所轄都道府県労働局歳入徴収官により送付された納付書が、金融機関に到達した日から2取引日(金融機関の休日以外の日)を経過した最初の取引日(災害その他やむを得ない理由によりその日までに納付することができないと所轄都道府県労働局歳入徴収官が認める場合には、その承認する日)までに納付すれば、その納付は、納期限においてされたものとみなされることになっている。
よって、「所轄都道府県労働局歳入徴収官が指定する日までに納付すれば」とした問題文は誤りである。

(B)誤り
法26条2項・3項
労働保険料を納付しない事業主があるときは、政府は、納付義務者に対して督促状を発することになっている。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならず、この督促を受けた者が、その指定の期限までに、労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金を納付しないときは、国税滞納処分の例によって、これを処分することになっている。
したがって、督促状に記載された指定期限を過ぎた後に督促状が交付された場合は、その督促は無効となり、これに基づいて行った滞納処分は違法となる。
よって、「督促状に記載された指定期限を過ぎた後に督促状が交付された場合であっても、交付の日から10日経過した日以後は、滞納処分を行うことができる」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法37条、法38条、行審法5条・20条、行事訴法8条1項
概算保険料の認定決定又は確定保険料の認定決定の処分に不服があるときは、処分を行った都道府県労働局労働保険特別会計歳入徴収官(処分庁)に対して異議申立てをすることができる。
そして、異議申立てに対する処分庁の決定に不服がある場合は、厚生労働大臣に対して審査請求することができる。
概算保険料の認定決定又は確定保険料の認定決定に関する処分の取消しの訴えは、異議申立てに対する処分庁の決定及び厚生労働大臣の裁決を経た後でなければ提起することができないことになっている。
なお、概算保険料の認定決定又は確定保険料の認定決定以外の労働保険料その他の徴収金等に関する処分に不服があるときは、厚生労働大臣に対して審査請求をし、その裁決を経た後でなければ処分取消しの訴えを提起できないことになっている。
よって、追徴金の徴収の決定について不服がある場合は、厚生労働大臣に対して審査請求しなければならず、「都道府県労働局歳入徴収官に対し、異議申立てをすることができる」とした問題文は誤りである。

(D)正解
法27条3項・4項
延滞金の計算において、滞納している労働保険料の額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨て、計算した延滞金の額に100円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てることになっている。

(E)誤り
法21条1項、法25条2項
政府は、事業主が認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合には、その納付すべき額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)に100分の10を乗じて得た額の追徴金を徴収することになっている。
ただし、事業主が天災その他やむを得ない理由により、認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付しなければならなくなった場合は追徴金は徴収されない。
また、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、印紙保険料の納付を怠ったときは、認定決定された印紙保険料の額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)の100分の25に相当する額の追徴金が徴収されることになっている。
よって、追徴金は、「認定決定に係る確定保険料又はその不足額」及び「認定決定された印紙保険料」を納付しない場合に徴収されるものであり、「認定決定に係る概算保険料若しくは確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合に徴収するもの」とした問題文は誤りである。
なお、追徴金の額が1,000円未満の場合には追徴金は徴収されない。

  

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